はじめに
2023年3月31日(金)は2月の米個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)価格指数が米商務省経済分析局より発表された。
2023年3月の米国株式市場は米銀の破綻やパウエル議長の議会証言、FOMC結果などを受けて大きく下がっていたが、月末になってPMIが経済成長復活の兆し(2ヶ月連続で節目の50を超えた)を見せていたことや銀行株の下落が一段落した(様に見える)ことからやや持ち直している感がある。
そんな中インフレを判断する重要な指標の一つである米個人消費支出(PCE)価格指数の結果はどうだったのか、そしてそれに伴う市場の動きはどうだったのか。以下に確認しまとめておく。
2023年3月31日(金)発表の米個人消費支出(PCE)価格指数
以下の情報は米商務省経済分析局の発表より引用・抜粋。
- 個人消費支出(PCE)は前年比0.2%上昇(市場予想は0.3%上昇)
- 個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.0%上昇(市場予想は5.1%上昇)
- 変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比4.6%上昇(市場予想は4.7%上昇)
前回発表時は上述の3点はいずれも市場予想を上回っていたのだが、今回はいずれも市場予想を下回っており、コアPCE価格指数は2021年9月以来の低い伸びとなっている。
同日の市場の動き
米国市場
3市場とも開場後から緩やかに上昇し、いずれも前日比1%を超える上昇で終えている。これはやはり開場前に発表された米個人消費支出(PCE)価格指数でインフレ鈍化の兆候があったことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げサイクルを終了する可能性があるという期待が強まったためだろう。
米国10年債
米国10年債はやはり米個人消費支出(PCE)価格指数でインフレ鈍化の兆候があったことから債券需要が高まり利回りは低下している。
ドル円為替
ドル円為替は米個人消費支出価格指数の発表直後(上記チャートはBSTなので13:30の辺り)に大きくドル安となり、その後は上下動を繰り返しながらPCE発表直後の為替水準で取引を終えている。
まとめ
今回のPCE価格指数は市場予想を下回り、特にコアPCE価格指数の鈍化が顕著だったことが市場に好感されて株式市場は上昇、債券利回りは低下という結果になった。
3月上旬から中旬に発表された経済指標はインフレ圧力が未だ根強いことを示唆するものが多かったのだが、下旬に発表されたPMIが経済成長をうかがわせ、今回のPCE価格指数もインフレ圧力の鈍化を示唆するなど少し流れが変わったようにも見受けられる。
経済指標に加えて銀行システムに関する懸念も和らいだ(様に見える)ことも相まって3月最終週はまずまず回復したのだが、その流れが今後も続くかはまだまだ自信が持てない状況。4月の半ばからは米国企業の四半期決算が本格化するので、何とかこのやや安定した株式市場の流れを引き継いで無難な決算結果、そしてそれに伴う株価上昇となって欲しいのだがなあ。