2023年2月発表の米個人消費支出指数と市場(2023/2)

はじめに

先日

米インフレは自分が思ったより根強いかもしれない(2023/2)

で2023年2月21日(火)の米総合購買担当者指数(PMI)速報値を受けて市場が下落したことをまとめた際に

「今週金曜日(2月24日)に発表される1月のPCE指数次第では市場にさらに大きな下落の可能性も頭に入れて前もって備えておくことにしたい。」

と書いていたのだが、実際の米個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)指数とそれに伴う市場の動きはどうだったのか。以下に確認しまとめておく。


2023年2月24日(金)の米個人消費支出(PCE)指数

以下の情報は米商務省経済分析局の発表より引用・抜粋。

  • 個人消費支出(PCE)は前年比1.8%上昇(市場予想は1.4%上昇)
  • 個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.4%上昇(市場予想は5.0%上昇)
  • 変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比4.7%上昇(市場予想は4.3%上昇)

個人消費支出は前月までのマイナスから今回はプラスに転じ、個人消費支出価格指数も前月までの減少傾向から今回は上昇へと転じ、市場予想も上回っている。個人消費支出の伸びは2021年3月以来の大きさ、コアPCE価格指数の伸びも2022年8月以来の大きさ。


同日の市場の動き

米国市場

3市場いずれも開場直後から前日比大きくマイナスで日中もほぼ変わらない動き。同日はPCE指数の他にも1月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済み)が発表されており、年率換算で前月比7.2%増の67万戸と2022年3月以来10ヶ月ぶりの高水準であった。

これら経済指標がここ最近の経済指標と同様に堅調となったことで、FRBが市場が想定しているより長期に渡って金利を高水準に維持するとの観測が強まったため市場は下落したのだろう。

ここで再度最近の金利上昇観測が株式市場に悪影響を与えている理由を簡単に整理すると

  • インフレ圧力が強い/経済指標が堅調
  • インフレ圧力を弱めるためFRBが政策金利を高水準に維持
  • 金利が高水準で維持されるとインフレ圧力は弱まるが、景気も減速/後退する
  • 景気が減速/後退すると企業の業績/株価が下落する
  • そのため前もって株式市場から資金を引き揚げ、より安定が見込める債券市場などへ投資する動きが加速するので債券利回りは上昇し、株式市場は下落する

という形になっている。勿論様々な要素が複雑に絡んでいるため一概には言えないが、ここ1年程度は概ねその流れに沿った動きとなっているだろう。

米国10年債

米国10年債は

先に述べた理由のロジック通り、前日から大きく上昇。ここ最近は細かく見ていなかったが気が付けば4%に近い利回りとなっている。

ドル円為替

ドル円為替は

米個人消費支出指数の発表直後(上記チャートはGMTなので14:00の辺り)にそれまでのドル上昇の流れが加速し1ドル=136円台に突入。日米金利差が意識され約2ヶ月振りのドル高水準となっている。


まとめ

冒頭に挙げていた懸念の通り、今回発表の米個人消費支出指数そして新築一戸建て住宅販売戸数といった経済指標も堅調でインフレ圧力が根強いことが示されて株式市場は下落するという流れになった。為替がドル高になっているので米国株ドル資産が減少しても

円ベース資産は

増加しているのがまだ救いではある。

2月の経済指標がここまで同じ様な傾向を示すということは、やはりしばらくはFRBの利上げが長期化する見込みが強まり、それに応じて米国市場はやや弱気で神経質な動きが続くことになるのだろう。自分の見込が外れてくれるといいのだがなあ。

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