2021年6月16日のシティグループ(C)株3%超下落について

はじめに

昨日2021年6月16日(水)は自分の所有銘柄であるシティグループ(C)が

3.20%と大きく下落。

昨日は米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の政策金利発表とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見があったので、その影響かと思ったのだが同じ銀行株で所有銘柄でもあるJPモルガン・チェース(JPM)は、

0.70%の上昇。

昨日のFOMC、パウエル議長の会見結果を受け金融緩和の早期縮小観測から長期金利が上昇したことから、銀行株の金利収入上昇が見込まれるのでJPMが上昇したのは納得できるのだが、ではなぜシティグループ株がこれ程大きく下落したのかについて確認しておくことにする。


2021 Morgan Stanley US Financials Conferenceにおけるシティグループの最高財務責任者(CFO)Mark Mason氏の講演まとめ

調べてみると前々日6月15日(火)の2021 Morgan Stanley US Financials Conferenceにおけるシティグループの最高財務責任者(CFO)Mark Mason氏の講演によるシティ株の下落が原因だったようだ。

以下はシティグループの企業サイトのWebcastより引用・抜粋。

  • 第2四半期の事業からの収益が30%台前半の割合で減少する可能性がある
  • 主な原因は投資銀行手数料が一桁台半ばから後半の割合で下がる可能性があるため
  • 消費者は政府の米国経済への刺激策に支えられてローンを高額で返済し続けており、これがシティの米国カード部門における全体的なローンの伸びに影響を与えている
  • 全体として北米の消費者ビジネスからの収益は約15パーセント減少する可能性が高い
  • ローンをカバーするため準備金をリリースすることを想定している
  • 四半期の経費(expense)はおそらく112億ドルから116億ドルの範囲の中間になる
  • 経費は主に昨年末に規制当局から受け取った2つの同意命令を満たすため費やされている
  • 今のところ経費が3%上昇するの通年のガイダンスは変更しない

上記の様に自分が聞き取れた範囲ではネガティブな要素ばかり。

ちなみにその前の6月14日(月)にはJPモルガン・チェースも同じカンファレンスの1日目で最高経営責任者(CEO)のJamie Dimon氏が第2四半期の取引収益(CORPORATE & INVESTMENT BANK (CIB) のMarkets revenue)は60億ドル程度(前年比38%減)との見通しを述べている。

ただシティがJPモルガンと異なるのは講演でも言及された規制当局関連の費用。

シティグループ(C)が誤送金訴訟で連邦地裁敗訴(2021/2)

シティ、課徴金4億ドル支払いと業務改善に同意(2020/10)

シティのリスク管理に関する懸念で株価5%超下落(2020/9)

などで整理し、認識はしていたがここ最近のシティ株が堅調だったため気にしていなかった問題がまだ解決されていないことを再認識させられてしまった。

勿論本来の銀行業務でも銀行によって強いところ、弱いところがあり一概には言えないが、シティの場合、このリスク管理に関する費用は他の銀行にはない収益圧迫要因の一つと未だなっているようだ。


2021年6月14~16日の所有銀行株とS&P 500の動き

6月14~16日3日間のシティ、JPモルガン(ピンク)、S&P 500(青)の日中の動きを見てみると以下の様になる。

まずJPモルガンの講演が6月14日(月)の米東部時間11時にあり、そのタイミングでJPモルガン、シティ株共に同じ様に下落。6月15日(火)の取引開始時には、JPモルガンが前日の講演内容を反映してか下落傾向で始まった一方で、シティは前日と変わらない株価で始まる。

そしてシティの講演は6月15日(火)の米東部時間15時半から行われ、それを契機に閉場前30分で急速に下落。繰り返しになるが講演内容がネガティブだったので、これは致し方ないところだろう。

6月16日(水)はシティが15日(火)で消化できなかった分が、15日のJPモルガンの開場直後の様に株価に反映され大幅下落。

最終的にはFOMC、パウエル議長の会見結果が出た14時以降に銀行株は上昇し、S&P 500は下落して終わるという結果となっている。

結局シティは直近の3日間で6.56%下落となった(JPモルガンは2.50%の下落)。


まとめ

上記の様にこの2日間のシティグループ株は大幅下落した訳だが今後どうなるのか。

個人的な期待としては、この2日間の下落で市場の懸念を株価に反映して下げ止まり、第2四半期決算の際も業績の悪化を既に株価に織り込み済みであってくれれば、と思う。FOMC、パウエル議長の会見に基づき長期金利も上昇したので、銀行株が大幅に下がることは無いと思うのだが、上述の様にシティにはリスク管理に関する経費という他行には無い懸念材料があるので、それがどの程度/いつまで業績に影響を及ぼすか早期に明確になって欲しい。

また金利が上昇すると昨日の市場(S&P 500)の様に金融株以外は下落することが多いので、今後の自分の資産全体は神経質な動きが続きそうだ。

シティ、JPモルガンの第2四半期の決算結果発表(シティは7月14日、JPモルガンは7月13日)には要注目だが、その前に2021年の米銀ストレステストの結果発表が6月24日(木)の米東部時間16時半に行われるので、その内容と翌日の銀行株にも注目しておきたい。結果を受けて凍結されていた配当増が認められると良いのだが。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。