2023年3月FOMC結果とパウエル議長発言(2023/3)

はじめに

米現地時間2023年3月21日(火)、22日(水)には2023年2回目のFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)が行われた。

前回のFOMCでは市場予想通りの0.25ポイント利上げで市場に大きな変化は無かったが、その後のパウエル議長の会見で「ディスインフレ(インフレ鈍化)のプロセスが始まった」などインフレ圧力緩和で進展しているという見解を示したことで市場は上昇していた。

しかしその後の経済指標はディスインフレどころかインフレ圧力が強いことを示して市場は軟調の上、米銀が破綻する状況となっている。そのような状況を踏まえて今回FOMCが金利をどうするか、そしてパウエル議長がどう発言するか非常に注目されていた。

実際の決定、そして会合後のパウエル議長の会見は市場にどのような影響を与えたのか。以下内容を確認し整理しておく。


2023年3月21日、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果及びパウエル議長の発言まとめ

FOMC会合結果

以下は米連邦準備制度理事会(FRB)のサイトで現地時間14時に公開されたFederal Reserve issues FOMC statement(FOMC声明)より引用・抜粋。

前回からの主な変更点は以下の通り。

【インフレに関して】

幾分和らいだという表現が削除。

  • 前回:
    Inflation has eased somewhat but remains elevated.
    インフレ率は幾分和らいだが、引き続き高止まりしている
  • 今回:
    Inflation remains elevated.
    インフレ率は引き続き高止まりしている

【金融システムに関して】

前回はロシアのウクライナ侵攻に関して「委員会は引き続きインフレのリスクを非常に注視している」としていたが、今回はロシアのウクライナ侵攻の記述は無くなり

  • The U.S. banking system is sound and resilient. Recent developments are likely to result in tighter credit conditions for households and businesses and to weigh on economic activity, hiring, and inflation. The extent of these effects is uncertain. The Committee remains highly attentive to inflation risks.
    米国の金融システムは健全で強固だ。最近の展開により家計や企業の信用状況が引き締まり、経済活動、雇用、インフレの重しになる可能性がある。これらの影響の程度は不透明だ。委員会は引き続きインフレのリスクを非常に注視している

と変更されている。

【今後の政策金利決定に関して】

一部表現に微妙な違いが見られた

  • 前回:
    The Committee anticipates that ongoing increases in the target range will be appropriate …
    委員会は目標範囲の継続的な増加が適切…と予想しています
  • 今回:
    The Committee anticipates that some additional policy firming may be appropriate…
    委員会は追加の政策確定が適切である可能性が…と予想しています

また以下の文言が新たに追加されている。

  • The Committee will closely monitor incoming information and assess the implications for monetary policy.
    委員会は今後もたらされる情報を注意深く監視し、金融政策への意味を評価する

今回はフェデラルファンドレートの目標範囲が4.75~5.00%となっており、前回が4.50~4.75%だったので、25bp(0.25%)の金利引き上げとなっている。

経済予測要旨(Summary of Economic Projections)

  • FRB当局者の2023年末の政策金利の予想中央値は5.1%と2022年12月時から変わらず
  • 現在の政策金利から考えると、2023年内の利上げはあと1回25bp(0.25%)の想定となる
  • 2024年末政策金利の予想中央値は4.3%に低下する見込み。ただ4人が5.1%を超える水準を想定する一方、4人は4%未満になると指摘するなど見解は大きく分かれている

パウエル議長の発言

以下はFOMC会合結果開示後のパウエル議長の会見における主な発言より。

  • 銀行問題を放置すれば銀行システムが脅かされる可能性があり、このために決断的な行動をとった
  • われわれの融資プログラムは効果的に銀行のニーズを満たしており、十分な流動性が確保されていることが示されている
  • 銀行システム全般の弱さの問題では決してない。SVBは保険対象外の預金の割合とデュレーションリスク保有の双方で例外的な存在だった。監督担当者はそこで検査を行っていたが、それでも今回のようなことが起きた
  • (最近の銀行システム混乱について)家計と企業に信用状況の引き締まりをもたらす可能性が高く、そうなれば経済にも影響が広がる。ただ金融政策面でどう対応すべきかを判断するのは時期尚早だ
  • インフレ率を2%に引き下げることに引き続き強くコミットする
  • インフレはわれわれの目標をはるかに超えているが最近のインフレ指標の強さは圧力の高止まりを示唆している。一方でインフレ引き下げにはまだ長い道のりがあり、その道筋は一様でない
  • われわれは物価安定の回復にコミットしている。われわれがそうすると国民が信頼していることは、あらゆる証拠が示している。われわれが言葉と行動でそうした信頼を維持することは重要だ
  • (前回の声明からの文言変更について)私としては「かもしれない(may)」と「いくらかの(some)」という文言に注目したい
  • 銀行混乱を踏まえて利上げ休止も検討されたが、最近のデータはインフレ圧力が引き続き強いことを示していることから、利上げを支持するコンセンサスは強かった
  • FRBに足かせはなく、必要に応じて利上げを継続する

FOMC会合結果及びパウエル議長の発言を受けての市場

上記FOMC会合結果及びパウエル議長の発言を受けて市場にどの様な動きがあったか確認してみる。

米国主要3市場

更に細かくS&P 500の日中の動きを見てみると

となっており、14時に発表されたFOMC声明や経済予測要旨を受けてやや上昇し、その後14時半からのパウエル議長会見開始直後に一段高となったもののその後会見が進むにつれて不安定な動きとなり結果的には大きく下落して終えている。

この動きの理由として考えられるのは、FOMC声明では0.25ポイントの政策金利利上げ、経済予測要旨では2023年内の利上げはあと1回25bp(0.25%)の想定と利上げ停止が近いことが伺われやや上昇に寄与し、パウエル議長の会見が進むにつれてFRBが(利上げ)完全停止を一時検討したと聞いて更に一段高となったが、最終的にFRBに足かせはなく必要に応じて利上げを継続すると言明したため下落に転じたのだろう。

またイエレン米財務長官が、連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険対象を全ての預金に拡大することは検討されていないと発言したことも市場終盤の下落に影響を与えたようだ。

米国債長期金利(10年債)

米国債長期金利(10年債)の利回りの日中変化は以下の通り。

FOMC声明や経済予測要旨を受けて利回り低下が加速したが、パウエル議長会見が進むにつれて利回りが上昇している。債券市場は15時に終了しているので本日の取引でどうなるか。

ドル円為替

ドル円為替の日中変化は以下の通り。

FOMC声明や経済予測要旨を受け利上げの打ち止めが意識されドルは下落。株式市場とは異なり、パウエル議長の会見はあまり為替には影響しなかった模様。


まとめ

2023年3月のFOMC結果とパウエル議長の会見での発言について確認してみたが、今後の見通しは不透明なまま。政策金利の0.25ポイント利上げや経済予測は年内の利上げが後1回0.25ポイントと予想の範囲内だったものの、その後のパウエル議長の会見や経済予測の当局者の見解では統一感があるとは言えず、今後の状況次第では更なる利上げもあるかもしれない。実際問題、直近で米銀が複数破綻していることを考えると、なかなか統一感のある明確なメッセージを出すことは難しいのだろう。

また市場への影響だが、FOMC会合とパウエル議長の会見とは別にイエレン財務長官の発言が市場に影響を与えた可能性もあるので一概には言えない。状況が状況なだけに、ちょっとした発言、報道に各種市場が敏感に反応する時期が続く気がしている。

結果、自分の資産はドルベースでは

市場を上回る下落となり、円ベースでもドル安の影響を受けて

と負の相乗効果で大幅減少。かなり痛いのだが、場合によっては円ベースで500万円を超える資産減の可能性もあると覚悟していたので、何とかまだ我慢できる範囲でイベントを乗り切ったといったところ。

ただ今回のFOMCを受けて市場に(良いにしろ悪いにしろ)方向感が出てきたとはとても思えないので、まだまだこのような神経質で落ち着かない状況は続きそうだ。何時になったらこの状況から脱せる事やら。

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