エリオットのAT&T(T)株保有に関して(2021/5)

追記有

はじめに

本日2021年5月17日には週末に報道されていた通り、自分の所有主力銘柄であるAT&T(T)傘下のワーナーメディアがDiscoveryと経営統合することが発表された。

正式リリースは米国市場開場前だったので詳しい内容は後日まとめるとして、その内容を確認している際に、Elliott Investment Management(以前はElliott Managementだったはず。何故かはよく分からない)がこの発表に対してコメントをしていたのが気になった。

自分の理解では

エリオット・マネジメントがAT&T(T)株売却(2020/11)

でまとめた様に2020年7~9月期にElliott ManagementはAT&T株500万株を売却してAT&T株から撤退したという認識だったので、Elliott Investment Managementがコメントを発表するのはおかしいのだが。

以下自分の認識の齟齬について調べてみた。


Elliott Investment ManagementのAT&T株保有について

どうも調べてみたところ、2021年2月に開示された米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると2020年9~12月期に再びAT&T株500万株を購入していたようだ。ちなみにその際の購入価格は一株当たり@28.76ドル。

何故この短期間にAT&T株を再度購入するに至ったかは不明。


まとめ

という事で調べてみた結果、Elliott Investment Managementが再びAT&Tに投資をしていたので、本日のワーナーメディアとDiscoveryの経営統合にElliott Investment Managementがコメントを発表するのはおかしくは無い、ということが判明した。

コメントの内容は

  • “It has been a transformational year at AT&T year since John Stankey took over as CEO, and today’s announcement represents another impressive step in the Company’s recent evolution. AT&T has now executed on its promise to streamline operations and re-focus on its core businesses, all while improving operational execution, enhancing its financial position and advancing its corporate governance. As investors, Elliott supports AT&T in its efforts to best position the company for future success.”
    John Stankey氏がCEOに就任して以来AT&Tは変革の年でした。そして本日の発表はAT&Tの最近の変革におけるもう1つの印象的な一歩を表しています。 AT&Tは現在業務の合理化とコアビジネスへの再集中という約束を実行し、同時に業務の実行を改善し、財政状態を強化し、コーポレートガバナンスを推進しています。Elliottは投資家として、AT&Tが将来の成功に向けて会社を最適な位置に置くための取り組みを支援しています」

と今回の発表を支持している。

ただ以前と違うのは、2019年9月に初めてElliott ManagementがAT&T株を所有しているのを明らかにした際はAT&T株を32億ドル保有していたのが、今回(2月の発表時点の500万株)は昨日の終値時点では1.6億ドル程の保有になっている点。

前回は何回か経営方針に対してLetterを出していたが、今回の保有額でどれほどの影響力が行使できるのか、そもそも一度売却してまた購入という経過を経て経営方針に何かするつもりであるのかは不明。

一応アクティビストが率いる投資家グループがAT&T株を保有しているという点について留意しておくようにしよう。

それにしてもこれを書いている現在(もう日本時間5月18日の0時を過ぎた)は、

米国市場は主要3市場共に下落。そんな中AT&T株はプラスではあるものの

市場につられるように上げ幅を縮小している。これから寝て起きた時に株価がどうなっていることか。まさかマイナスになったりしない事を祈る。

追記:

どうもElliott Managementは一部報道によるとAT&Tの普通株は確かに昨年売却したらしいが、スワップ取引でAT&T株を所有している可能性があるとのこと。

スワップ取引は今年の野村ホールディングスとArchegos Capital Management LLCの取引の際にも触れたが、Elliott Managementも規制当局への提出書類で保有を開示する必要がないためその正確な規模感は不明。Letterを発行したのもスワップ取引含めたAT&T株の所有割合が多く、上に書いたよりもその影響力が大きいためなのかもしれない。Elliott Managementの動向については先に書いたよりも注意深く気に留めておくべきだろう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする