エクソン(XOM)2022年第4四半期決算発表(2023/1)

はじめに

2023年1月31日(火)には自分の所有銘柄であるエクソン・モービル(XOM)の2022年第4四半期決算発表があった。

前回の2022年10月の第3四半期決算以降のエクソン株は原油先物価格が下がっているにもかかわらず特に目立って株価が低調な印象は無い。

ちなみに2022年12月8日にエクソンの「2022 Corporate Plan Update overview」があったようだが自分は気が付いていなかった。今回カバーできるところはカバーしておきたい。

以下最新の決算内容を確認し実際の株価がどうなっているかを整理しておくことにする。


エクソン2022年第4四半期決算概要

以下の情報はエクソン・モービルの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2022年第4四半期の総収入(Total revenues and other income)は954億2900万ドル、前年同期は849億6500万ドル
  • 2022年第4四半期のGAAPベースでのエクソン帰属純利益(Net income/(loss) attributable to ExxonMobil)は127億5000万ドル、前年同期は88億7000万ドル

  • 2022年第4四半期の1株あたり利益(EPS)は3.09ドル、前年同期は2.08ドル

  • 2022年第4四半期の特別項目を除く調整後1株あたり利益(Earnings Excluding Identified Items Per Common Share)は3.40ドル、前年同期は2.05ドル
  • 2022年第4四半期の設備及び探鉱用投資(Capital and Exploration Expenditures)は74億6300万ドル、前年同期は58億800万ドル

事業部別業績

各事業部の結果は以下の通り。

【アップストリーム(U/S)(探索権の獲得、原油の探鉱、開発、生産)】

GAAPベースの利益は82億100万ドルで、前年同期は39億5100万ドル、前四半期は124億1900万ドル。前四半期からは原油とガスの価格が共に10%以上下落しているため利益が減少してはいるが、前年と比べれば増加している。

【エネルギー製品(EP)】

GAAPベースの利益は40億7000万ドルで、前年同期は9億100万ドル、前四半期は58億1900万ドル。前四半期からはデリバティブの時価評価額10億ドルの悪影響などが影響し減少している。

【化学製品(CP)】

GAAPベースの利益は2億5000万ドルで、前年同期は13億7100万ドル、前四半期は8億1200万ドル。前四半期に比べてヨーロッパと北米での需要の低迷を減益の理由として挙げている。

【特殊製品(SP)】

GAAPベースの利益は7億6000万ドルで、前年同期は11億1600万ドル、前四半期は7億6200万ドル。前年からの減少は前年に資産売却の利益を計上している為。

2023年見通し

2023年の見通しに関しては以下の通り。

例年通り数値目標的なものはあまりないが、数値を挙げているものは以下。

  • 2023年に20億ドルの構造的コスト削減。対2019年比で90億ドルの削減目標
  • 2023年の設備投資は230~250億ドル
  • 2023~2024年の累計で最大350億ドルの自社株買い

ただしこれら数値目標は先に挙げた2022年12月8日の2022 Corporate Plan Update overviewで既に発表されている内容。

2023年第1四半期の見通しは以下の通り。


その他

その他気になった項目は以下の通り。

  • 欧州連合(EU)が導入した超過利潤税(Windfall Profit Tax Act)により2022年第4四半期利益は13億ドルの悪影響を受けている(2022年末エクソンは不当として提訴している)
  • 2022年通期の利益(Net income/(loss) attributable to ExxonMobil)は554億7000万ドルで2021年から倍以上増加し過去最高(これまでは2008年)

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2022年第4四半期の総収入(Total revenues and other income)は954億2900万ドル、市場予想の1010億6000万ドルを下回っている
  • 2022年第4四半期の特別項目を除く調整後1株あたり利益(Earnings Excluding Identified Items Per Common Share Assuming Dilution)は3.40ドル、市場予想の3.29ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてエクソン・モービルの株価は

2.16%の上昇。同日の米国市場も

いずれも上昇しているがエクソンはそれを上回る上昇振り。ただし日中の動きを見てみると

開場直後は前日比2%下落する局面の後に上昇して終えているという判断しにくい動きとなっている。

気になる今後であるが過去3ヶ月の動きを市場(S&P 500)と比べてみると

ほぼ同程度の伸びとなっている。流石に2022年の様な過去最高益とはならないだろう。

それに加えて先に挙げたEUの超過利潤税や米国でもホワイトハウスが先日の同業シェブロンの決算後に「石油会社は増産に向け必要なあらゆる手段を持っているにもかかわらず、幹部や株主の懐を潤すために利益をつぎ込むことを選択している」と声明を発表するなど、政治的圧力も強まりそうな気がするのが不安材料。何とか市場と同程度の推移を保ってくれるといいのだが。

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