アルトリア(MO)2022年第3四半期決算(2022/10)

はじめに

2022年10月27日(木)には自分の所有銘柄であるアルトリア・グループ(MO)の2022年第3四半期決算発表があった。

アルトリア・グループは7月の第2四半期決算以降、市場の下落傾向もあって自分の取得価額である@43.03ドルを下回る時もあり先行きが気に掛かっている。

そんな状況の中、アルトリアの決算内容そしてそれを受けての株価はどうだったのか。以下に決算内容を確認し整理しておく。


アルトリア・グループ2022年第3四半期決算概要

以下の内容はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2022年第3四半期の売上高(Net Revenues)は65億5000万ドル、前年同期比3.5%減少
  • 2022年第3四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は54億1200万ドル、前年同期比2.2%減少
  • 2022年第3四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.28ドル、前年同期比4.9%増加

売上高が前年比で減少しているのは主に2021年10月のワイン事業売却と次に述べるタバコ製品の出荷減少によるもの。

  • 2022年第3四半期のタバコ製品の出荷量は前年同期比9.0%の減少

2022年通期見通し

2022年通期の見通しについては以下の通り。

  • 2022年通年の調整済み希薄化後EPS:4.81~4.89ドル、2021年比で4.5%~6%の成長率(前回は4.79~4.93ドル、2021年比で4%~7%の成長率)
  • 2022年通年の設備投資額:1億7500万~2億2500万ドル(前回は2億~2億5000万ドル)

その他

【自社株買い戻し】

  • 第3四半期に850万株を3億6800万ドルで買い戻し
  • 2022年9月までに2990万株を14億5000万ドルで買い戻し
  • 2022年12月31日までの35億ドルの株式買戻しプログラム残は約3億7500万ドル

【JUUL関連】

  • 2022年9月6日、ジュール・ラブズは10代など未成年者を対象に販促活動をしていたとされる問題を巡る訴訟で米国の30州超などとの間で計4億3850万ドルの和解金で合意したと発表
  • 2022年9月29日、アルトリアはジュールの非競争義務から解放されるためのオプションを行使し以下の様な立ち位置となる。ただしJUUL株式の35%は未だ保有(評価額は2022年6月末時点で4億5000万ドル。2018年12月の最初の投資額は128億ドル)
    • ジュールに対する非競争義務を永続的に終了
    • ジュール株式は単一議決権普通株式へ転換されアルトリアの議決権数は大幅に減少
    • ジュールの取締役の指名権および先買権を喪失

【アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)関連】

アルトリア・グループはABI株の約10%を保有している。

  • 最近のABI株の低迷に伴い第3四半期に25億ドルの減損費用を計上

【IQOS関連】

  • 2024年4月末にIQOSシステムに対する米国での独占的商業化権をフィリップ・モリスに譲渡することと引き換えに27億ドルの現金を受け取る。詳細は最近の発表を参照
  • 加熱式タバコに関しては本日JTとの戦略的パートナーシップを発表

【JTとの戦略的パートナーシップ】

決算資料とは別資料で発表。

  • アルトリア傘下のPM USA、JTの子会社であるJTインターナショナル(JTI)と加熱式タバコの米国での販売および商業化に関する合弁事業を締結
  • 合弁は永続的に存続する構造とし、ホライズン・イノベーションズを設立
  • PM USAがホライズンの75%、JTIが25%の経済的利益を保有する
  • PM USAが最初に1億5000万ドルを出資し、以降の出資は経済的所有権に準ずる
  • 両当事者は現在2025年前半に商品化されていない最新バージョンのPloom HTS製品の製品市販前タバコ製品申請書 (PMTA) を提出する予定
  • PMTAの承認により、ホライズンは両当事者が米国でHTS製品を販売および商品化するための独占的な事業体になる
  • JTIはPloom HTSデバイスを供給し、PM USAは米国での商品化に向けてMarlboro HTS 消耗品を製造する

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2022年第3四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は54億1200万ドル、市場予想の56億2000万ドルを下回っている
  • 2022年第3四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.28ドル、市場予想の1.31ドルを下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算発表を受けてアルトリア・グループの株価は

1.92%の下落。同日の米国市場は

まちまちだったが、下落はハイテク銘柄中心であったことを考えるとアルトリア・グループの下落幅は大きい。物品税控除後の売上高、1株当たりの調整後利益がいずれも市場予想を下回っていることが重視されたのだろう。

加熱式タバコでは先日発表のあった2024年4月末にIQOS システムに対する米国での独占的商業化権をフィリップ・モリスに譲渡する契約を締結した代わりに、JTとのジョイントベンチャー設立を発表しているが、製品投入までのタイムラインは製品市販前タバコ製品申請書 (PMTA) の提出が2025年前半とした以外はアナリストとのカンファレンスコール中でも明確にしておらず、製品投入の時期が不透明かつ時間がかかりそうなことも嫌気されたかもしれない。

年初来のアルトリア・グループ株は

6月半ばからの下げがキツイものの市場の20%下落に比べればまだ4%程の下落に留まっており、7月の第2四半期決算時には

「最近の傾向や決算内容で特筆すべき好材料が無かったことを考えると、今後のアルトリア株は残念ながら市場を下回るパフォーマンスが続きそうな気がする。」

としていた想定よりも意外と踏ん張っている。

今後のアルトリア株だが、決算発表を受けて下落したことを考えると先行きが安定しているとは思えない。JUULが破産回避を目指した動きをしているとのウォール・ストリート・ジャーナルの最近の報道やJTとのパートナーシップによる米国での加熱式タバコ展開などの動向によっては大きく株価が動く可能性もあるので注意深く見守っておきたい。

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