中国でのボーイング737MAX運航再開情報更新(2021/12)

はじめに

2021年11月29日週は前週に検出されたCOVID-19の新変異株の影響もあり上下動が激しく基本的には下落基調の週となった。

個別株の動向は市場の動向に紛れてしまいなかなか目が届かなかった週であったが、振り返ってみたところ掲題の報道もあり、自分が所有しているボーイング(BA)株が12月2日(木)に

7.54%の急上昇をしていた。以下にその内容の確認と、最近のボーイング株の動きについて整理しておくことにする。


2021年12月2日の中国民用航空局(CAAC: Civil Aviation Administration of China)の発表

以下の情報はロイター及ぶブルームバークの報道より引用・抜粋。

  • 中国民用航空局(CAAC)が12月2日、ボーイングの737MAXについての耐空性改善命令(airworthiness directive)を発行
  • 航空局はボーイングから提案された設計変更の審査を完了したとし、十分な評価の結果、取られた改善措置は安全性の欠陥を解決する上で適切だと考える、との声明を発表
  • 耐空性改善命令(Airworthiness Directive)は、各航空会社に対し運航再開に必要とされた改修項目の進展を通知するもの
  • 中国民用航空局の当局者は記者団に対し、中国国内にある737MAXの商業運航再開とボーイングによる新規引き渡しの再開には、機体の改修や操縦士の追加研修が必要になるとコメント
  • ボーイングの広報担当者は「中国での737MAXの安全な運航再開に向けた重要な節目になる」と電子メールでコメント

このまま何も問題がなければ、10月の第3四半期決算時に中国当局からの運航再開の承認を年末までに取り付け、2022年1~3月に737MAXの引き渡しを再開できるとしていた見通しが実現する可能性が高い。


ボーイングの最近の株価

ここ1ヶ月のボーイング株の動きを見てみると

11月19日に欧州でのCOVID-19再拡大に伴うオーストリアのロックダウン発表、そして787 Dreamlinerの不具合がまたも検出されたことから急落。その後も新変異株(オミクロン変異株)の検出などがあり200ドルを下回る株価となっていた。2日は先の様に大きく上昇したものの翌日3日は下落して現在はやはり200ドルを下回っている。

同じ期間を市場(S&P 500)と比較してみると

11月18日までは欧州でのCOVID-19の状況にも関わらずS&P 500を上回っていたが、その後、特にオミクロン変異株が検出されて以降は市場より大きい下落に思える。


まとめ

ボーイング737MAXの中国での運航再開に関するアップデートと直近のボーイング株について整理してみた。

11月22日に787 Dreamlinerの不具合についてまとめて以降も特に欧州でのCOVID-19再拡大は止まらず(アメリカは少し落ち着いた様にも見える)、上述の様にオミクロン変異株が検出されたこともあり、今後の航空需要については11月16日に書いた

「今後もこの直近の傾向が続いてくれるといいのだが、日本以外の国では再びCOVID-19新規感染者数が増加傾向に転じているように見受けられ、旅客需要の冷え込みの可能性も考えられるので過度な期待は持たずに見守ることにしたい。」

内容から11月22日

「残念ながらCOVID-19再拡大について懸念していたことが今の所は当たってしまっており、それに加えて787 Dreamlinerの問題が更に長引きそうとなるとやはり期待できそうにない。」

とアップデートした見解からさらに状況は悪化したと言えるだろう。

オミクロン変異株の感染力、重症化率などについては未だ不明な部分が多いのだが、少なくともオミクロン変異株が出現するまでの欧州におけるCOVID-19再拡大傾向を考えると引き続き新規感染者数が増加傾向となる可能性が高く、そうなるとロックダウン、移動制限などで航空需要が更に減少し、ボーイング株の下落傾向が続く要因となる可能性は高い。

一方で中国での737MAX運航再開が実現すれば737MAXの増産が見込めるので、もしかするとCOVID-19の影響をある程度相殺できる可能性もあるのではとも思える。

また787 Dreamlinerが不具合のため引き渡しが滞っている状況であるが、それが解消されればボーイング株を押し上げることが期待される。

結局のところ今後のボーイング株はやはりCOVID-19の影響は避けられず、特にオミクロン変異株の影響が拡大してロックダウンや渡航制限が起これば更なる下落となる可能性は高い一方で、中国での737MAX運航再開や787 Dreamlinerの不具合解消となれば上昇する可能性もあるのでは、という不安定な状況が続く気がする。まあボーイング株はまだ自分の取得価額を上回っており配当も停止されているので、気長に待つことにしよう。現時点で取得価額とトントンだったら多分売却しているのだろうなあ。

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