ウォルトディズニー(DIS)2020年3Q決算(2020/8)

はじめに

2020年8月4日の米国市場閉場後に自分が所有しているウォルト・ディズニー(DIS)の2020年第3四半期決算発表があった。翌日の日本のテレビで赤字額が約5000億円と報道されていたのだが、それ以外の決算数値、そして決算を受けての株価がどうなったかについて整理・確認しておく。


2020年第3四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第3四半期の売上高(Revenues)は117億7900万ドル、前年同期は202億6200万ドルで前年同期比42%の減少
  • 2020年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items affecting comparability)は0.08ドル、前年同期は1.34ドルで前年同期比98%の減少

2020年第3四半期の各事業セグメントごとの売上(Revenues)、営業利益/損失(operating income/loss)は以下の通り。

メディア・ネットワークス部門

売上は65億6200万ドルで前年同期比2%減、営業利益は31億5300万ドルで前年同期比48%増。

売上が減少しているにもかかわらず営業利益が増加しているのは、広告収入は減少したのだがプログラミングコスト削減とAffiliate revenueが増加したためとしている。

テーマパーク部門

売上は9億8300万ドルで前年同期比85%減少、営業損失は19億6000万ドルで前年同期は17億1900万ドルの営業利益があった。

ほとんどのテーマパークが4~6月は閉鎖されていたため予想されていた結果ではある。

  • We estimate the total net adverse impact of COVID-19 on segment operating income in the quarter was approximately $3.5 billion.
    当四半期の(テーマパーク部門)セグメント営業利益に対するCOVID-19の影響は合計で約35億ドルと推定しています

前四半期のCOVID-19の影響は約10億ドルだったのに比べ、影響額が大きく拡大している。

映画部門

売上は17億3800万ドルで前年同期比55%減、営業利益は6億6800万ドルで前年同期比18%減少。

COVID-19の影響で映画館の閉鎖、映画配給の延期が影響した一方で、TV/SVOD配信の成長により相殺されたともしている。

ディレクト・トゥ・コンシューマー・アンド・インターナショナル部門

売上は39億6900万ドルで前年同期比2%増加、営業損失は7億600万ドルで前年同期比26%拡大。

営業損失となっているのは主にディズニー・プラスに関連するコストのため。

以下はディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2020年第3四半期末有料視聴者数と月平均利用額。

【有料視聴者数(単位100万)】

いずれも有料視聴者数は増加。ディズニー・プラスの加入者数に関してはアナリストとのカンファレンスコールで上級副社長兼最高財務責任者のChristine McCarthy氏が、now grown to 60.5 million as of August 3としており、8月3日時点で6050万人と6000万人を突破している。

【月平均利用額】

前四半期と同様にバンドルサブスクリプションサービスに視聴者が移行した影響、Huluの販売価格の値下げにより、単価は前年比で減少しているものが多い。

フリーキャッシュフローは

一応改善傾向にはあるが、COVID-19の不透明さを考えると何とも言えない。配当も停止していることだし。その配当については決算資料では言及されたなかったが、アナリストとのカンファレンスコールで上級副社長兼最高財務責任者のChristine McCarthy氏が以下の様に述べている。

  • (上半期配当を停止したことについて)And we all believe that, that decision provided the company with additional financial flexibility, given what we were seeing in the COVID environment we’re in and all the uncertainty that we’re dealing with and continue to deal with.
    私たち全員が、私たちが置かれているCOVID環境で見たこと、対処し続けている不確実性を考えると、この決定は会社に追加の財務上の柔軟性を与えたと信じています
  • (配当に関して)And in making the recommendation to the board, we, again, are going to take into consideration, where we are with COVID and the impact that it’s having not only on our financial performance but, you know, what measures we’re taking to mitigate COVID impact.
    取締役会への勧告を行う際には、COVIDとの関係やそれが財務パフォーマンスに及ぼす影響だけでなく、COVIDの影響を軽減するためにどのような対策を講じているかを考慮します

通常11月、12月に行われる配当の決定時の状況によるという事だろう。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第3四半期の売上高(Revenues)は117億7900万ドル、市場予想の123億7000万ドルを下回っている
  • 2020年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items affecting comparability)は0.08ドル、市場予想の0.64ドルの損失を上回っている

となっている。


まとめ

この決算発表を受けてウォルト・ディズニーの株価がどうなったかというと、

8.8%の上昇。

冒頭に述べた様に、8月4日閉場後の決算発表を受けて8月5日の日本の報道では5000億円近い赤字であったことや、赤字に転落するのが19年振りということで悲観的な論調で語られていたが、実際の株価は大きく上昇となった。これは特定項目を除く一株当たり利益が市場予想のマイナスに反してプラスを維持したことが大きいのだろう。

日本に限らないがニュース・報道は必ずしも当てにはならないなあ、と改めて思うと共にやはり自分でデータを見てある程度納得するのが投資には必要だと再認識させられた。

直近ウォルト・ディズニー株をどうするかだが、少なくとも配当の状況が分かる11月、12月までは待つのが妥当だと思う。もともと配当率の高い銘柄でもないので、9月の定期購入時は見送るべきだろう。

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