はじめに
2020年8月6日はブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)の決算発表があった。前四半期と同様に、ブリストルは新型コロナウイルスに関して目立った報道は無かったと思うのだが、今四半期決算の内容はどうだったろうか。それらを含めて整理しておくことにする。
2020年第2四半期決算概要
以下の情報はブリストル・マイヤーズ スクイブの企業サイトより引用・抜粋。
- 2020年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は101億2900万ドル、前年同期は62億7300万ドルで前年同期比61%増加
- 2020年第2四半期の調整後1株当たり利益(Non-GAAP Diluted EPS)は1.63ドル、前年同期は1.18ドルで前年同期比38%増加
この増加は前四半期と同様に主に2019年11月20日完了したセルジーンの買収によるもの。また、
- as sales were estimated to be negatively impacted by approximately $600 million due mainly to COVID-19 related channel inventory work downs from the first quarter
売上高は主に第1四半期からCOVID-19関連の流通在庫の減少により、約6億ドルの悪影響を受けると推定される
と述べており、前四半期はbenefitted by approximately $500 million due to COVID-19 related buying patterns(COVID-19に関連する購買パターンにより、約5億ドルの利益)だったのだが、今四半期はCOVID-19の影響がネガティブな方向に出ている。
2020年第2四半期の主力製品の収益は以下の通り。
相変わらずオプジーボが振るわず、収益が減る傾向に歯止めがかからない。セルジーンの買収が無かったら酷い事になっていた。買収発表時は株価も下がりどうなる事かと思ったのだが、現時点ではそのおかげで助かっていると言えるだろう。
2020年通期の見通しについては、以下の様にアップデートされている。
太字で強調されている売上(Net Sales)と調整後1株当たり利益(Diluted EPS)に注目だろうか。
Non-GAAPベースの売上は下限値が50億ドル上昇し、Non-GAAPベースの調整後1株当たり利益も下限値が0.10ドル、上限値が0.05ドルそれぞれ上昇している。
ちなみにGAAPベースとNon-GAAPベースの違いは、
- GAAPベース:Generally Accepted Accounting Principles(一般に公正妥当と認められる会計原則)。米国株の場合は米国会計基準に基づくP/L、B/Sなどの財務諸表に含まれる各利益、資産、負債等の情報など
- Non-GAAPベース:GAAPの対象とされていない情報。例えばEBITDAや減損等特殊要因による損益を控除した「調整後利益」はGAAPベースには含まれていない。ただ、Non-GAAPベースはGAAPベースに基づかない情報であるため、監査法人等のチェックがない点には注意が必要
といった点。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2020年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は101億2900万ドル、市場予想の99億5000万ドルを上回っている
- 2020年第2四半期の調整後1株当たり利益(Non-GAAP Diluted EPS)は1.63ドル、市場予想の1.49ドルを上回っている
- 2020年通期のNon-GAAPベース売上(Net Sales)見通しは400~420億ドル、市場予想は418億ドル
- 2020年通期のNon-GAAPベース調整後1株当たり利益(Non-GAAP Diluted EPS)見通しは6.10~6.25ドル、市場予想は6.18ドル
となっている。
まとめ
この様な決算内容を受けてブリストル・マイヤーズの株価は、
2.75%の上昇。同日のダウ工業平均は0.68%、S&P 500は0.64%それぞれ上昇しているが、それに比してもまずまずの上昇。決算内容が市場予想を上回ったことや2020年通期見通しをやや上方修正したことが好感されたのだろう。
とはいえオプジーボの売上減少傾向が気に掛かる。オプジーボはいくつかの併用療法の治験を行っており、
これらが上手くいって売上に寄与してくれればいいのだが。
年初来のBMY株のパフォーマンスは
となっておりやや市場よりは悪いが、自分の所有している銘柄の中では年初来の落ち込みは少ない銘柄となっている。長い間購入はしていないのだが(最後の購入は2007年3月)、税引き後の年間配当も約30万円と良く働いてくれている。追加購入は難しいが、このまま保持していきたい銘柄である。