JUULに関するアルトリア(MO)の調査開始、他(2020/2)

はじめに

昨日2020年2月21日(現地時間)の午後にウォール・ストリート・ジャーナルが、掲題の内容を報道していた。あくまで端的に述べているだけで、それが今後どう株価に影響を及ぼすかは不明だが、その点と最近のJUUL関連の情報をまとめておくことにする。


JUULに関するアルトリア(MO)の調査開始報道(2020/2/21)

以下はウォール・ストリート・ジャーナルより引用・抜粋。

  • Securities regulators have opened a probe related to Altria Group Inc.’s investment in controversial e-cigarette startup Juul Labs Inc., according to people familiar with the matter.
    この件に詳しい人によると、証券規制当局は電子タバコのスタートアップ企業JUULへのアルトリアの投資に関連する調査を開始しました
  • The Securities and Exchange Commission is investigating whether Altria adequately disclosed to shareholders the risks when it spent $12.8 billion in 2018 to take a 35% stake in Juul, the people said.
    米証券取引委員会(SEC)は、2018年にアルトリアがJUULの35%の株式を取得するために128億ドルを費やした際、株主にリスクを適切に開示しているかどうかを調査しています

関係筋によると、米証券取引委員会(SEC)は既にJUUL、アルトリア双方に召喚状を発行し、両社はこれに対応しており、JUULはJULLへの投資を決定する前のアルトリアとの通信及びアルトリアに提供した財務予測を含む文書をSECに提出したとのこと。

この件に関してはSEC、アルトリア、JUULともコメントを控えている。

といった報道を受けて昨日の米国市場閉場後のアルトリア株がどうなったかというと、

0.72%の上昇。ただ昨日の取引を細かく見てみると、

となる。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道があったのが15時半ぐらいで、そこから下がった後少し持ち直している。

これは報道内容を受けて、今後調査がどう進みアルトリアにどういう影響を与えるかが不明瞭であるためなのだろう。ただ個人的には良い方向に進むとは思えないのだが。


最近の主なJUUL関連情報

2019年7月:

市販前タバコ申請(PMTA)を機関に提出する期限を2020年5月12日に設定。 企業は米食品医薬品局(FDA)に資料を提出し、FDAが電子タバコおよび蒸気製品のPMTAを承認することで市場に留まることが出来る

2019年10月:

米連邦取引委員会(FTC)の、アルトリアのJUUL買収に関する調査の報道。アルトリアがJUULへ128億ドル出資し35%の株式を取得しているが、依然としてエージェンシーから独占禁止法の承認が必要な状態。そのため両社の協力体制には一部制限があるとのこと

2019年10月31日:

アルトリア・グループが2019年第3四半期決算でJUULに関して45億ドルの評価損を計上

2019年12月16日:

2020会計年度(2020年9月30日まで)の米連邦予算案に、若者の喫煙対策としてタバコの最低購入年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる措置が盛り込まれる。米食品医薬品局(FDA)が半年以内に規制案を策定し、3年をかけて州当局と連携して新たなルールを導入する予定

2020年1月15日:

JUULがフレーバー付き電子タバコのカナダでの販売を停止。ただしタバコとミント味の製品販売は継続。すでに米国ではフルーツ、デザート、ミント味の製品を販売していない

2020年1月31日:

アルトリア・グループの2019年第4四半期決算でJUULに関して追加で41億ドルの評価損を計上。このため2020年~2022年の調整後利益(Adjusted diluted EPS)の成長目標を従来の5~8%から4~7%に引き下げる。これはJUULから今後3年収益貢献を受け取ることがないと予想されるため

2020年2月7日:

JUULが転換社債(convertible debt)で7億ドルの資金調達を行ったとウォール・ストリート・ジャーナルが報道。ちなみに2019年8月にも同様に転換社債で7億8500万ドルを調達している

この他にもティーンエイジャーへの違法広告の疑いや、ニールセンの調査で1月25日までの4週間でJUULの売上が25%減少した、など色々あるが前向きなものはない。

上記の中で重要なのは、

  • 米連邦取引委員会(FTC)からの独占禁止法の承認
  • 2020年5月12日提出期限の市販前タバコ申請(PMTA)の承認

だろう。1番目の方は直近の四半期決算で2020年上半期で決着するとしているが、昨日の報道とも絡んでいるだろうし、不透明な部分が多い。これによってアルトリアとJUULの協力体制も四半期決算の発表資料の中で都度変わって来ている。2番目の方はこれに通らなければJUUL製品が米国から撤去されることになる。


まとめ

こういった点を踏まえて今後のアルトリア・グループ株をどうするべきか、という点が個人的には一番重要な訳だが、判断が難しいところ。

  • あくまでアルトリアの業績・株価に占めるJUULの割合は限定的である。前四半期の決算資料でも言及しているように、JUULから今後3年収益貢献を受け取ることがない前提でも今後3年の調整後利益(Adjusted diluted EPS)の成長目標が4~7%である
  • 一方で、JUULへの投資に対して前々四半期、前四半期と合計で86億ドルの評価損を計上し元々の128億ドルの投資に対し、価値は3分の1。そして上の様な状況を踏まえると、収益貢献が期待できないのはまだしも、更なる減損やコストが発生する可能性もあるのでは、という懸念

非常に大まかに考えると、この2点をどう考えるかということになる。まだ自分の購入タイミングまでは1ヶ月ある事だし、ゆっくりと情報収集をしながら自分の考えをまとめることにしよう。

あと忘れてはならないのは、あくまでアルトリア株は自分の保有株の1つであるという点。直近で購入していることと、何かとJUUL関連の報道が多いため、自分の意識が向かいがちではあるが、あくまで選択肢の一つなので過度に考えすぎる/入れ込み過ぎるのは良くない。

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