AT&T(T)2020年第2四半期決算発表(2020/7)

はじめに

昨日2020年7月23日は自分が所有しているAT&T(T)の2020年第2四半期決算発表があった。所有株数が多く、配当額も高いことから自分にとっては重要な銘柄である。

従って非常にその決算発表を受けての結果が気になっていたのだが、株価だけを見るとかなり判断に難しい終値となった。

市場全体としてはダウ工業平均が1.31%、S&P 500が1.23%それぞれ下落していたので、それに比べればマシと言えるかもしれないのだが、昨日1日のAT&Tの値動きを見てみると、

開場と同時に開場前の決算発表の結果を受け前日から大きく下がる。市場の方はそこまで下がらずで、これは朝起きたら酷い事になっているのだろうなあという覚悟を決めて就寝したのだが、上記の通り市場が時間経過と共に下落傾向だったのに対し、AT&Tは逆に中盤に上昇し後半も市場の下落につられることなくほぼフラットな感じで取引を終えている。

普通に考えれば、AT&Tの決算内容が悪かったので市場の下落につれてAT&Tの株価は更に下落して終わるのが当然の気がするのだが、何故こうなったのか。これから決算内容を確認してその理由を考えてみることにする。


AT&T2020年第2四半期決算概要

以下の内容はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第2四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は409億5000万ドルで、前年同期の449億5700万ドルから8.9%減少
  • 2020年第2四半期のAT&T帰属の純利益(Net Income Attributable to AT&T)は12億8100万ドルで、前年同期の37億1300万ドルから65.5%減少

  • 2020年第2四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.83ドルで、前年同期の0.89ドルから6.7%減少

各事業部を見てみると、

Communication事業部は相変わらずで、その中のEntertainment Groupが低調。

契約者数が88万6000人減少しているPremium TVには「DIRECTV」が含まれている。DIRECTVは売却検討の噂が度々上がっているが、今後どうなるか。

ワーナーメディアは相変わらず低調。これはCOVID-19の影響による映画館の閉鎖が続いたため仕方がない面もあるだろう。

そしてHBO MAXのアップデート。

期待した詳細なデータはなし。加入者数が3600万人としているが、これはHBO Max/HBOを併せた数値なので何とも言えない。アナリストとのカンファレンスコールで最高経営責任者(CEO)のJohn Stankey氏は、

  • We’re right on track with the targets we discussed with you last fall for HBO Max subscribers, activations and revenues. HBO Max’s diverse library of content appeals to everyone in the family, letting us reach a much broader demographic than our traditional HBO service. And with that broader appeal, we’ve been able to expand beyond the traditional HBO subscriber base. We finished the quarter with 36.3 million U.S. subscribers to HBO Max and HBO, up from 34.6 million at the end of last year.
    昨年秋にHBO Maxのサブスクライバー、アクティベーション、および収益について議論した目標は順調に進んでいます。HBO Maxの多様なコンテンツライブラリは、家族全員にアピールできるため、従来のHBOサービスよりも幅広いユーザー層にリーチできます。 そしてその幅広い魅力により、従来のHBO加入者ベースを超えて拡大することができました。昨年末の3460万人からHBO MaxとHBOへの米国の加入者は3630万人で四半期を終えました。

としているがちょっと漠然としており「Successful Launch」とは言えない気がするのだが。

また今回はCOVID-19による財務的な影響度を発表しており、全体として売上高に28億1000万ドルの影響があったとしている。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第2四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は409億5000万ドルで、市場予想の413億9300万ドルを下回っている
  • 2020年第2四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.83ドルで、市場予想の0.79ドルを上回っている

となっていた。


まとめ

決算内容を確認してみたのだが、冒頭に上げたような値動きをしたはっきりとした理由は分からなかった。一株当たり利益が市場予想を上回ったことが昨日そこまでAT&T株が下がらなかった理由の一つではあるだろうが、かといって相変わらずワーナーとDirecTVの低調さも気に掛かる。ただワーナーに関しては今後の映画館の営業再開や7月30日から再開するNBAなどスポーツ放送に関連する広告収入などが期待できそうではある。HBO MAXも本当に成功しているのかよく分からない。

といった具合に色々な考え方が出来ると思う決算内容だったと個人的には思う。恐らくこの決算内容を受けて複数のアナリストが何らかのコメントをしたことで、昨日のあまりスッキリしない株価の動きとなったのではないだろうか。

決算発表を受けて思ったほど大きな上昇、下落はなかったのは個人的には良かったのだが、見通しが今一つはっきりしないのが今後の懸念材料。しばらくは大きな上昇・下落がない状態が続きそうな気がするのだがどうだろうか。

最後に忘れてはいけない配当についてだが、アナリストとのカンファレンスコールの中でJohn Stankey氏が、

  • We remain committed to our dividend, which we’ve increased for 36 consecutive years.
    我々は36年連続で増加している配当に引き続きコミットします

としているので取りあえずは安心だろうか。

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