はじめに
昨年も同様に2020年の上半期の米国株受取配当をまとめたのだが、その際のタイトルは
「配当金生活に向けて」という名の通り、まだ完全リタイアせず配当金生活が始まる前のことだった。現在は配当金生活が始まって昨年とは切実さが違っているので、昨年とは異なる形で整理したいと思う。
2021年上半期各月の受取配当状況は以下を参照。
2021年上半期の受取配当
まずは2021年上半期の受取配当が実際にいくらだったのかを確認してみる。
ドルベースでは税引前:23,467.98ドル、税引後:16,849.50ドルとなり、受取時の為替レートを使用すると税引後で1,798,051円となる。
これに対し昨年同期(2020年1~6月)と前半期(2020年7~12月)は以下の通り。
【2020年1~6月】
【2020年7~12月】
見やすく整理し比較してみると以下の様になる。
税引前ドル配当 | 税引後ドル配当 | ドル配当変動率 | 税引後円ベース受取配当 | 円配当変動率 | |
2020年上半期 | 22,277.41 | 15,995.60 | 1,701,724 | ||
2020年下半期 | 23,174.81 | 16,639.31 | 3.87% | 1,734,235 | 1.87% |
2021年上半期 | 23,467.98 | 16,849.50 | 1.25% | 1,798,051 | 3.55% |
以下考察してみる。
税引後受取ドル配当
2021年上半期の税引後ドル配当は16,849.50ドルと2020年下半期の16,639.31ドルに比べて約200ドルの増加(1.25%)に留まっている。2020年上半期から下半期は640ドル程増加(3.87%)しており、それに比べて見劣りがする。
2020年下半期は完全リタイア前の2020年6月に購入したアルトリア・グループ(MO)の配当が1回反映されているため2020年上半期よりそれなりに増加となっている。後はあまり受取配当の多くない銘柄の増配の積み重ね。
一方、2021年上半期は2020年下半期と比べて上のアルトリア株の株数増+配当増(四半期で税引後約280ドル)が2回分反映されているものの、コカ・コーラ株が配当タイミングにより1回(税引後約110ドル)しか受け取れていないこともあり、2020年下半期より増分が少なくなっている。
税引後受取円配当
2021年上半期の税引後円配当は、2020年下半期に比べてドル配当が上記の様に約210ドルしか増えていないのに6.4万円増加している。言うまでもなく受取時の為替レートがドル高に振れているため。
ただ円ベースの受取配当増は今までも何回か触れてきたが、配当金生活が始まった今となっては以下の様に必ずしも良いものではない(前提として自分が使用している楽天証券の米国株配当はドルで受取)。
- 確定申告時の計算は円ベースで行うため、ドルの配当金が同じでも為替レートがドル高/円安になると納める税金が多くなる
ただ実際には受取ドル配当を円変換する時にはドル高/円安の方が有利なので、今回の様にドル高/円安傾向が続くのは税金の問題は別としてそれほど悪くはない。
自分がまだ完全リタイアせず、定期購入を続けている状況であれば、ドル安/円高の方が同じ金額(円)でより多くの米国株(ドル)を購入できるので、米国株に追加投資をする時はドル安/円高が有利なのだが。
受取配当増銘柄が5銘柄
2021年上半期で受取配当増(税引前)のあった銘柄は以下の5銘柄。
- ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY):8.9%配当増
- コカ・コーラ(KO):2.4%配当増
- シスコ・システムズ(CSCO):3%配当増
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG):10%配当増
- ケロッグ(K):2%配当増
自分の所有株数を加味して、実際にドルベースでどれ位税引後四半期配当が増えたのかを実績で見てみると
増配前配当 | 最新配当 | 増加配当額 | |
ブリストル | 710.02 | 773.13 | 63.11 |
コカ・コーラ | 108.82 | 111.46 | 2.64 |
シスコ | 25.84 | 26.56 | 0.72 |
PG | 73.17 | 80.48 | 7.31 |
ケロッグ | 151.27 | 153.92 | 2.65 |
となり、所有株数(2,200株)つまり投資額の多いブリストル以外は10ドル未満の増加であり、全部合わせても76.43ドルと1万円にも満たない増加に過ぎない。
ただこれが年4回と考えれば前年に比べ300ドル、3万円超の増加になる訳でそれ程悪くはないと考えるべきなのだろう。
ちなみに2020年上半期の配当増も同じく5銘柄。ただし2020年上半期はAT&Tが増配しており、ケロッグが据え置きだった。
投資額/資産額の大きい銘柄の増配が少なかった
投資額/資産額の大きい銘柄が増配してくれれば2021年の上半期の受取配当も上記より増加したのだろうが、ブリストルを除いて資産額の大きい銘柄の増配は無し。これはあくまで上半期なので下半期に期待、としたいところなのだが実際にはその期待は叶わない可能性が高い。
自分の資産額が大きい銘柄のベスト5は、
- シティグループ(C)
- AT&T(T)
- ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)
- エクソン・モービル(XOM)
- アルトリア・グループ(MO)
なのだが、
【シティグループ】
先月6月の2021年米銀ストレステストを受けて配当増の凍結が解除されたのだが、その後の発表で配当据え置きの可能性を匂わせている(他の主要米銀は増配)
【AT&T】
5月に2022年半ばでのメディア事業スピンオフ/統合を発表し、現時点ので情報ではそれが完了するまでは配当据え置き
【エクソン・モービル】
2年以上配当据え置きのままで増配の可能性は低い
【アルトリア・グループ】
これは増配をしてくれる可能性が高い。例年であれば8月に発表
と資産額の大きいベスト3が軒並み配当据え置きの可能性が高くなっている。しかもAT&Tに至っては、2022年の統合完了以降は実質配当減となってしまう。
まとめ
2021年上半期は完全リタイア後の配当金生活が始まり、会社員時代に行っていた定期購入(3ヶ月に1回)の株数増加の影響が無くなったので、今後の配当金は所有銘柄の配当増のみでこの程度の増加に留まるのかもしれない。
配当金生活が始まる前の想定でも完全リタイア後の配当金は増えない前提でキャッシュフローを想定してはいたが、今回まとめてみて実際の数値として把握すると想定通りとはいえガッカリしているのが正直なところ。上にも書いた2022年半ば以降はAT&Tのスピンオフにより配当がかなり減るので、配当増がその減少をある程度相殺してくれるのではと少し思ったのだが、その可能性は限りなく低そうだ。まあ最新の想定では2022年以降のAT&T配当減を加味しても配当金生活を維持できるのだが。
下半期はアルトリア・グループの配当増が期待できるものの、上記上半期の結果からは全体の受取配当が大きく増えることはなさそうだ。まあ配当減や配当停止が無いだけマシと前向きに捉えるしかないのだろう。