はじめに
昨日2020年9月2日の米国市場閉場後のポートフォリオを確認していたところ、以下の様に
デュポン・ドゥ・ヌムール(DD)、ダウ・インク(DOW)、ゼネラル・エレクトリック(GE)といった製造業関連の銘柄の上昇率が高かった。
これは恐らく9月1日のISM製造業景況指数、9月2日の製造業新規受注といった主要指標が良好だったため、その内容を整理しようと思って上記に挙げた3銘柄の過去5日間の株価推移のグラフを確認してみたところ、
【デュポン・ドゥ・ヌムール(DD)】
【ダウ・インク(DOW)】
【ゼネラル・エレクトリック(GE)】
デュポンとダウは同じ様な動きだったのだが、GEはそれ以前の8月31日、9月1日に大きく下がっていた。
これはGEに特化した何かの理由があったのだろうと思って調べてみたところ、掲題の通りJPモルガンのアナリストであるStephen Tusa氏が8月31日に発表したノートによるものだったようだ。
Tusa氏がGEに関する情報をアップデートするとGEの株価が変動することが非常に多いので、自分も折に触れてまとめている。
GEのキャッシュフロー見通しアップデート雑感(2019年3月)
JPモルガンのツサ氏がGEの投資判断格下げ(2019年4月)
JPMのツサ氏がGE格付けを遂にアップグレード(2020/3)
以下に今回の内容を確認しておく。
8月31日(月)のStephen Tusa氏のノート
以下はStephen Tusa氏のノートより引用・抜粋。
- we are more negative on GE
私たちはGEにより否定的です - We see little equity value here
ここでは、株式の価値はほとんど見られません - the collapse of this forward estimate curve is coming soon
この(GEの)見込み(フリーキャッシュフロー)曲線の崩壊が間もなく始まる(と考えています) - Our simple math is that with a sector at 17x EBITDA, subtracting the 17x leverage burden here, equity value is below $5 and we are withdrawing our price target
私たちのシンプルな計算では、セクターがEBITDAの17倍であり、ここでレバレッジの17倍の負担を差し引くと株式価値は5ドル未満になるので、私たちは価格目標を撤回しています
ここで重要なのはTusa氏がGEの価格目標を撤回したことだろう。Tusa氏はまた未払いの債務満期などにより2024年までは”see normal”にはならない可能性があるともしている。
まとめ
製造業株の上昇ぶりに関するまとめをしようと思ったら、Tusa氏のGEに対する見解のアップデートを見つけた訳だが、予想よりも厳しい見通しだった。
2020年第2四半期決算でGEは、2021年にはインダストリアル事業のフリーキャッシュフローがプラスになると見込んでいるとしているが、Tusa氏はそれについても先に述べたように懐疑的な立場。
年初来の株価を見ても、
ダウ工業平均、S&P 500がプラスとなっているのに対し、GEはマイナス40%超となっている。GE株は当分この様な状態が続き、株価の上昇は見込め無さそうな気がする。
最後に元々気になったISM製造業景況指数と製造業新規受注に触れておくと、
米ISM製造業景況指数:市場予想54.6、実際56.0
米製造業新規受注(7月):市場予想前月比6.0%、実際前月比6.4%
と市場予想を上回っている。ここ最近の市場の上昇具合が実体経済とかけ離れているのではと個人的には懸念しているのだが、こういった数値を見ると全くかけ離れている訳でもないのだろうか。
自分の資産は市場に比べて2020年3月からの戻りが著しく悪いのだが、市場そのものも低調な2020年2月下旬から3月に比べれば許容範囲。このまま市場が上昇基調を続けてくれて、それに付随して自分の資産も市場程では無いにしても緩やかに増えていってくれればいいのだが。