ゼネラル・エレクトリック2020年第2四半期決算(2020/7)

はじめに

2020年7月29日には所有銘柄の一つであるゼネラル・エレクトリック(GE)の2020年第2四半期決算の発表があった。

GEへの投資額は累計で6万ドルを超えているのだが、2017年から株価の下落が始まり配当も一株当たり@0.01ドルまで減配されているため、自分の中では放っておいて何とかカムバックするのを期待しているいわゆる塩漬け銘柄。

今後しばらく購入はないと思うが、いつ頃に株価が戻るか(あるいは戻らないか)を考える一助とするため今回も決算内容を整理しておく。


2020年第2四半期決算概要

以下の内容は、ゼネラル・エレクトリックの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は177億5000万ドル、前年同期は234億1400万ドルで前年同期比24%の減少
  • 2020年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.15ドルの損失、前年同期は0.16ドル
  • 2020年第2四半期のインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は20億6700万ドルの赤字、前年同期は9億9600万ドルの赤字

事業部別にもう少し詳しく確認してみる。

いずれも低調だが、まず目立つのがAviation(航空機事業)。受注は37億3900万ドルで前年比56%減、売上は43億8400万ドルで前年比44%減。6億8000万ドルの損失。電力事業の受注が28億7200万ドルと前年比42%減少しているのも気に掛かる。

AviationはCOVID-19による航空需要の減少に伴う受注減、電力事業はCOVID-19に加えて今年に入ってからの原油安によるエネルギー需要の減少に伴って電力関連設備投資の受注減とある意味わかりやすい結果ではある。

長らくGEの懸念となっているフリーキャッシュフローは以下の様になった。

先にも述べたインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は20億6700万ドルの赤字。青い部分に書いてあるようにAviationの影響が大きいが、下半期には改善と見込んでいる。そして

  • We expect to return to positive Industrial free cash flow in 2021.
    2021年にはインダストリアル事業のフリーキャッシュフローがプラスになると見込んでいる

と別資料で言及している。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は177億5000万ドル、市場予想の170億1100万ドルを上回っている
  • 2020年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.15ドルの損失、市場予想の0.10ドルの損失よりも悪い
  • 2020年第2四半期のインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は20億6700万ドルの赤字、市場予想では33億ドルの赤字
  • Aviationの売上(Revenue)は43億8400万ドル、市場予想の46億2000万ドルを下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてGEの株価は、

4.35%のマイナス。同日のダウ工業平均が0.61%、S&P 500が1.24%それぞれ上昇した事を踏まえると大幅な下落だったと言える。調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)が0.15ドルの損失と市場の予想より悪かったことが株価下落の主要因だったのだろう。個人的にはキャッシュフローが予想よりも悪くなかったので、これ程株価は下落しなくても良いと思うのだが。

ただ、アナリストとのカンファレンスコールでは最高経営責任者(CEO)のLawrence Culp氏の発言で気に掛かる部分がいくつかあった。

例えばAviationについての「Is 2Q the low point?(第2四半期が底ですか?)」という質問に対して、

  • I think this is going to continue to be a challenging environment
    引き続き厳しい環境になると思います

とYesとは明確に答えていない。また先に上げた2021年にインダストリアル事業のフリーキャッシュフローがプラスになるとしている点について具体的なプランを質問された際にも

  • It’s really about sequential improvement from here. Again, the environment remains challenging. But with respect to those things that are within our control, we think healthcare is well-positioned to lead. The turnarounds in power and renewables continue, and we’re expecting a multiyear recovery in aviation.
    ここから順次改善していくことになります。 繰り返しになりますが、環境は依然として厳しいままです。 しかしそれらは私たちの管理下にあるものとして、ヘルスケアがリードするのに適切な位置にあると考えています。 電力と再生可能エネルギーの好転は続き、航空業界では数年の回復が見込まれています

と具体性に欠けるまとめとなっている。この質問があった時点で予定時間をオーバーしたせいもあるが、突っ込んだ応答は出来ずに切り上げられている(答えられない質問が来たので切り上げた様にも見えた)。

こういった事を踏まえて、いつ頃業績が回復するかについてはかなり不明瞭な感じがする。冒頭に書いたようにしばらくGE株の購入はないだろう。


補足

ゼネラル・エレクトリック(GE)の決算発表のあった翌日の株価は、

さらに5%超のマイナス。ダウ工業平均が0.85%、S&P 500が0.38%それぞれマイナスだった事を差し引いても大幅な下落。特にGEに特化したニュースやアナリストの格付け変更などは無かったのだが、米国第2四半期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)が年率換
算で前期比32.9%減と統計の記録を開始した1947年以来最も大きな落ち込みだったことが影響したのだろうか。とはいえ先に挙げたように市場よりGE株の落ち込みが激しいことから、GE株の脆弱性が際立つ気がする。やはりしばらくはGE株は放っておくしかないだろう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。