はじめに
2024年1月12日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、シティグループ(C)の米銀株が先陣を切って決算を発表している。
JPモルガンは前回10月の第3四半期決算を無難に通過した後も市場の好調さと同様に堅調に推移していた印象があり、今回の決算結果がその流れを継続するものとなるのかが気になるところ。
以下JPモルガンの2023年第4四半期決算を確認し整理しておく。
JPモルガン・チェース2023年第4四半期決算発表
以下の内容はJPモルガン・チェースの企業サイトから引用・抜粋。
- 総収入(Managed Revenue)は399億4300万ドルで、前四半期比2%減、前年同期比12%増
- 報告ベースの総収入(Net revenue – reported)は385億7400万ドル、前四半期比3%減、前年同期比12%増
- 純利益(Net income)は93億700万ドルで、前四半期比29%減、前年同期比15%減
- 希薄化後1株あたり純利益(EPS – diluted)は3.04ドルで前四半期比30%減、前年同期比15%減
純金利収入(Net Interest Income:NII)242億ドルで前四半期に過去最高だった229億ドルを再び更新している。
また今四半期の貸し倒れ引当金繰入額(Reserve Build/(release))は5億9800万ドルの積み増し、純償却額(Net charge-offs)を含めた総与信費用は28億ドルで前四半期の14億ドルから増加している。
2024年通期見通し
2024年の通期見通しに関しては以下の通り。
- 2024年通年のCIBマーケット事業を除く企業全体の純金利収入(Net interest income excluding Markets):~880億ドル
- 調整後経費(Adjusted expense):~900億ドル
- Card NCO(Net Charge-Off) rate(カード純貸倒償却率):~3.50%
その他
その他気になった点をピックアップすると以下の様のものがある。
- 2023年第4四半期決算にはシリコンバレー・バンクとシグネチャー・バンク破綻に伴う連邦預金保険公社(FDIC)への追加拠出金約29億ドルが含まれる
- この拠出金はEPSに0.74ドルの悪影響を及ぼしている
- 2023年第4四半期に23億ドル相当の自社株買いを実施
- 2023年通期の純利益は約496億ドルで過去最高だった2021年の約483億ドルを上回った
- 部門別の業績
- Consumer & Community Banking:純利益47億8800万ドル(前四半期比19%減、前年同期比5%増)
- Corporate & Investment Bank:純利益25億2400万ドル(前四半期比18%減、前年同期比24%減)
- Commercial Banking:純利益16億5300万ドル(前四半期比15%減、前年同期比16%増)
- Asset & Wealth Management:純利益12億1700万ドル(前四半期比14%減、前年同期比7%増)
- 決算発表資料中のコメント
- 2023年の記録的な業績は、NIIとクレジット両方での過剰な収益を反映したものだが、これらが正常化した後も非常に健全なリターンを提供し続けることができると確信している
- 米国経済は引き続き底堅く消費者の消費は続いており、市場は現在のところソフトランディングを予想している
- 景気は、政府の巨額の赤字支出と過去の景気刺激策によって支えられていることに注意することが重要だ
- アナリストとのカンファレンスコール
- 米国の政策金利は現時点で今年6回の利下げが想定されており、預金については残高が現在の水準から非常に緩やかに減少すると予想
- 金利の引き下げによりNIIが減少すると想定されるが、NIR(noninterest revenue)によってある程度相殺されるだろう
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第4四半期の総収入(Managed Revenue)は399億4300万ドル、市場予想の402億3000万ドルを下回っている
- 2023年第4四半期の希薄化後1株あたり純利益(EPS)は3.04ドル、市場予想の3.35ドルを下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてJPモルガンの株価は
前日比0.73%の下落。同日の米国市場は
前日とほぼ変わらずで終えていることから、JPモルガンの決算は今一つ評価されなかったようだ。日中の動きを見てみると
決算結果が市場予想に届かなかったことから考えると下落して始まるかと思ったが、開場直後には何故か前日の終値@170.30ドルを上回っていた。結局その後すぐに下落しその後もやや軟調な動きで取引を終えている。
今後のJPモルガン株だが、決算を受けて株価は下落したものの大幅な下落ではなかったことを考えると堅調な動きを期待したいところ。ただ2024年はFRBが政策金利を引き下げることが見込まれ、それに伴い好調であるNII収入が減少することが見込まれる。何とかうまく対処して業績/株価への影響を最小限にとどめて欲しいものだ。