はじめに
米国日付2026年4月10日(金)に2026年3月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。
前回2026年3月発表のCPIは、あくまで米・イスラエルのイラン大規模攻撃が発生する前のデータに基づくものであったことと、結果がほぼ市場予想通りだったこと、そして当時は中東情勢が優先される状況だったことから、市場への影響はほとんどなかった。
ただ今回のCPIは、中東情勢に起因する原油高が数値に表れてくると予想されており、その結果が非常に注目されていた。
そんな状況の中で今回発表のCPIはどういう結果となったのか、そしてそれを受けて市場がどう反応したかについて確認し、整理しておく。
2026年4月10日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年3月消費者物価指数(CPI)
以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。
- 2026年3月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月比0.9%の上昇、市場予想も0.9%の上昇

- 2026年3月の前年比消費者物価指数は全品目では3.3%上昇、市場予想は3.4%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比2.6%上昇、市場予想は2.7%の上昇、前月比では0.2%上昇、市場予想は0.3%の上昇

- 家庭用食品(Food at home)は前年比1.9%上昇。2026年2月は前年比2.4%上昇
- 電気代(Electricity)は前年比4.6%上昇。2026年2月は前年比4.8%上昇
- 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比3.0%上昇。2026年2月も3.0%上昇

特に目に付くのはエネルギー(Energy)の上昇だが、4月1日のトランプ大統領の演説でも言及されたガソリン(Gasoline)が前月比で21.2%上昇しており、これが全品目指数の月間上昇分の約4分の3を占めているとのこと。
これが影響して消費者物価指数は前月比0.9%の上昇となり、2022年6月以来、約4年ぶりの大幅な伸びとなっている。
同日の市場の動き
米国株式市場

米国株式市場開場前の米東部夏時間8:30にCPIは発表されており、自分は発表直後に総合CPIが大きく上昇したのを資料で確認して市場がどうなることかと不安を抱いたのだが、実際には発表後の時間前取引でも大きな反応は無く、本取引でも上記の様に取引開始時は前日とあまり変わらない程度で始まっており、若干動きはあったものの結局前日と大きな差はなく取引を終えている。これは上述した様にCPIの上昇が既に織り込まれており市場予想とほぼ変わらなかったこと、そして週末の米イラン停戦交渉を控えての様子見ムードが強かったことが原因だろう。
ちなみに現地時間11時台に下落が目立っているのは、イランのガリバフ国会議長がSNSへ「レバノンでの停戦とイランの凍結資産解除は米国とすでに合意済みで、履行されるまで交渉は開始されない」と投稿したことに反応したと思われる。約1時間後にはトランプ大統領がSNSに「イランは国際水路を利用して世界を短期的に脅迫する以外に、自分たちに切り札がないことに気づいていないようだ。彼らが今日生きている唯一の理由は交渉するためだ!」と投稿しているが、こちらは反応薄。
米国10年債

CPIが発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCST(米国中部夏時間)では7:30。
債券市場はCPI結果を受けて利回り上昇となったがその変動幅は限定的。その後イランのガリバフ国会議長のSNS投稿でやや低下したものの、再び利回り上昇に転じて取引を終えている。ただやはり停戦交渉を控えての様子見感が強いためか、前日比での変動はそれほど大きくは無かった。
ドル円為替

CPIの発表があった米東部夏時間8:30は上記ドル円チャートのGMT+1の13:30。
それまでややドル安傾向にあったのがCPIを受けて1ドル=159円近辺まで。しかし僅か一瞬のことですぐに発表前の水準に戻る。その後はイランのガリバフ国会議長やトランプ大統領のSNS投稿を受けて1ドル=159円台前半で方向感に乏しい激しい動きが続いたが、米東部夏時間の午後になるとややドル高傾向となって1ドル=約159.3円で週の取引を終えている。
やはりCPI結果はそれほどドル円為替には影響せず、週末の停戦交渉を控えての様子見感が強く変動幅は限定的となっている。
まとめ
以上、2026年4月発表の3月米CPI結果と市場の動きについてまとめてみた。
前月比の総合CPIが大きく上昇したが、既に市場に織り込み済みで、変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは小幅上昇となったが市場予想を下回ったこともあって、いずれも市場の反応は限定的だった。また繰り返しになるが週末に控えた米イランの停戦交渉を見極めようとする様子見模様が強かったのも影響しているだろう。
ただ今回は無難に乗り切ったとはいえ、今回大きな影響を及ぼしたガソリン価格の高騰が今後他の項目に影響を及ぼさないとも限らないので、次回のCPI結果についても気を付けておく必要があるのは変わらない。
そして週末に始まる米イランの停戦交渉がどうなるかに注目しておきたい。双方の隔たりは大きくすんなり停戦合意には至らないと思われるが、何とか上手くいってもらいたいものだ。