シティグループ(C)2023年第4四半期決算(2024/1)

はじめに

2024年1月12日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、そしてシティグループ(C)の米銀株が先陣を切って決算を発表している。

前回2023年10月の2023年第3四半期決算は無難に乗り切り、その後は市場の上昇や2024年初頭に投資格付けアップデートもあって好調に推移していた印象があったのだが、決算発表直前に

シティグループが決算発表に先立ち費用計上を開示(2024/1)

でまとめた様に費用計上を報告したこともあって株価が下落しており、今回の決算内容そして株価の行く末が非常に懸念されていた。

そんな状況の中実際の2023年第4四半期の決算内容はどうだったのか、そしてそれを受けて株価はどう動いたのか。以下確認し整理しておく。


シティグループ2023年第4四半期の決算概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Total Revenues)は174億4000万ドルで前四半期より13%減、前年同期比3%減
  • 純利益(Net Income)は18億3900万ドルのマイナスで、前四半期は35億4600万ドル、前年同期は25億1300万ドル
  • 希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.16ドルのマイナスで、前四半期は1.63ドル、前年同期は1.16ドル

今四半期の貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)は計15億5300万ドル(前四半期は2億300万ドル)、総与信費用は35億4700万ドル(前四半期は18億4000万ドル)と大きく増加。

2024年通期見通し

2024年通期見通しは以下の通り。

  • Revenues(収入):800億ドル~810億ドル
  • Net interest income excluding Markets(Markets以外の純金利収入):前年比微減
  • Expenses(経費):535~538億ドル

その他

その他決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 今四半期から事前発表のあった通り新事業部に合わせて決算を報告

  • 部門別の業績は以下の通り
    • Services:純利益7億7600万ドル(前四半期は13億3200万ドル、前年同期は13億6800万ドル)
    • Markets:純損失1億3400万ドル(前四半期は10億6600万ドル、前年同期は7億8700万ドル)
    • Banking:純損失3億2400万ドル(前四半期は1億6900万ドル、前年同期は5500万ドルの損失)
    • U.S. Personal Banking(USPB):純利益2億100万ドル(前四半期は7億5600万ドル、前年同期は5400万ドル)
    • Wealth:純利益500万ドル(前四半期は1億1800万ドル、前年同期は1億7500万ドル)
  • カンファレンスコールでの主な発言
    • 2023年はシティの簡素化と策定した戦略の実行において大幅な進歩を遂げた基礎の年だった
    • とはいえ第4四半期は明らかに非常に残念なものだった
    • 組織構造の簡素化は第1四半期の終わりに完了する予定
      • ランレートで第1四半期末までに10億ドル以上の節約効果を生み出す想定
    • 中期的には、簡素化、変革のメリット、滞留コスト、その他の生産性向上の取り組みによりメキシコを除く20000のポジションが削減され、その結果実行率が 20 億ドル以上節約されると予想
    • 今週初め当社は追加の外部的な悪影響を開示し、四半期のEPSは1.16ドルのマイナスになった。これらの項目は明らかに非常に苦痛であるが、本質的には非常に特異なものであり、私たちが設定した道筋には影響を与えない
    • 2024年は金利とインフレが緩和され、マクロ環境の点では2023年と同様になると思われる
    • 当社は(2024年)世界的に成長が鈍化すると予想しているが、もし現実に米国が不況になったとしてもそれに耐えられる態勢にある

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第4四半期の収入(Total Revenues)は174億4000万ドル、市場予想の186億6000万ドルを下回っている
  • 2023年第4四半期の希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.16ドルのマイナス、市場予想の0.11ドルのマイナスより悪い

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比1.04%の上昇。同日の米国市場が

前日比とほぼ変わらずであり、市場予想を下回る決算結果だったことを考えると意外な結果であった。調べてみると日中のシティ株の動きは

開場直後は昨日まとめた同じ米銀株のJPモルガン・チェース(JPM)と同様に何故か前日比プラスでスタートしてその後マイナスに沈んだのだが、12時半以降に上昇に転じてそのまま取引を終えている。

これは普段は米国市場開場前に開催されるシティグループのアナリストとのカンファレンスコールが今回東部標準時の12時から行われたためで、そこで通常1時間程度で終わるカンファレンスコールが1時間半に渡って行われ、組織再編の効果や見通しなどを密度濃くポジティブに応答したことが評価されたものと思われる(特にどのトピックがというわけではなく全体的に)。

他の主要米銀バンク・オブ・アメリカ(BAC)、JPモルガン・チェース(JPM)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)も同日決算発表があったが、

いずれも前日比マイナスに沈んでいることを考えるとシティの決算後の株価上昇は望外の結果。ただ事前の費用計上で下落していることもあり、その分を差し引いて考える必要もあるかと思って念のため年初来の動きを市場(S&P 500)、他主要銀行と比べてみると

これまた意外にも短期間での結果ではあるもののシティが一番良いパフォーマンスとなっている。

今後のシティ株だが、とりあえず決算は予想外に良い結果で乗り切ったものの、年初来の短期間での情報が多過ぎるため決算を経ても方向性が今一つ掴めないというのが正直なところ。決算前に発表された費用計上で悪材料がこれで株価に反映済みであるといいのだが。しばらくはシティ株の方向性が定まるのを注意して見ておきたい。

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