はじめに
2020年1月29 日は、自分が多く所有しているAT&T(T)の2019年第4四半期決算発表があった。概要は既に簡単にまとめているのだが、より詳細な情報についても確認し、まとめておくことにする。
AT&T2019年第4四半期決算発表
以下の内容はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。
- 2019年第4四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は468億2100万ドルで、前年同期の479億9300万ドルから2.4%減少
- 2019年第4四半期のAT&T帰属の純利益(Net Income Attributable to AT&T)は23億9400万ドルで、前年同期の48億5800万ドルから50.7%減少
- 2019年第4四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.89ドルで、前年同期の0.86ドルから3.5%増加
事業部別で目に付いたのは、エンターテインメント部門の売上高が前年同期比6.1%減の112億3000万ドルだった点。第4四半期の衛星放送有料契約者数が94万5000人減少したことが影響したのだろうか。アナリストの予想は64万1000人減。
また期待がかかるHBO MAXについては特に目新しい具体的な発表はなし。ただ、アナリストとのカンファレンスコールでは、
- We made the strategic decision to give HBO Max exclusive streaming rights for top programs, including Friends, Big Bang Theory and other popular shows. In the past, we would have sold these externally.
我々は戦略的決定として、Friends、Big Bang Theory、その他の人気番組などのトッププログラムに関する独占的なストリーミング権をHBO Maxに提供することにしました。以前はこれらを外部に販売していました
と触れていた点がAT&Tの戦略の一端として興味深くはあった。ちなみにFriendsの最終シーズン(シーズン10、2003~2004)時の米国視聴者数は2,280万、Big Bang Theoryの最終シーズン(シーズン12、2018~2019)時の米国視聴者数は1,731万。
通年の目標に関しては以下の通りすべて達成となった。特に気になっていた有利子負債(Net Debt)も予定通り減少を続けている。
2020年の通期目標と3年計画は以前と変わらず以下の通り。
まとめ
上記決算発表の主な数値を市場予想と比較してみると、
- 総売上高:市場予想は469億9000万ドルだったが、実際は468億2100万ドルと市場予想を下回る
- 調整後一株当たり利益:市場予想は0.87ドルだったが、実際は0.89ドルと市場予想を上回る
- 第4四半期の衛星放送有料契約者数:市場予想は64万1000人減だったが、実際には94万5000人減
とまちまち。この結果を受けて決算発表後のAT&T株は、
と3.97%のマイナス。ちなみに同日のS&P 500が前日比0.09%のマイナス、ダウ工業平均が前日比0.04%のプラスとほぼフラットだった。
市場に比べて大きく下落した要因はやはりエンターテインメント部門の不調なのだろう。2019年11月にアナリストが指摘していた点が当たっていたということになるのだろうか。2019年12月にはCFOのジョン・スティーヴンス氏が「第3四半期がAT&Tのビデオ加入者損失のピークとなる」としており、確かに前四半期よりは純減は改善されているのだが、市場予想より大幅に減少したことが有料契約者数の更なる流出に歯止めがかかるか懸念されるところ。
この結果をどう自分の投資に活かすか。決算発表後の株価は大きく下落したが、冷静に長いスパンで考えてみると先日AT&T株についてまとめた時点から何かを変えるという状況ではないと思う。
やはり3ヵ年計画の進捗と2020年5月に開始予定のHBO MAXがどうなるかで業績、株価に大きな影響を及ぼすのだろう。今の所はAT&Tの発表を「素直に受け取ると」順調な気はするのだが…。
ちなみに1月30日にはUBSのアナリストJohn Hodulik氏がAT&Tの格付けをBuyからSellに格下げし、目標株価も42ドルから39ドルに引き下げているのだが、前日に大幅な株価下落があったためかこの影響はなく、実際には株価は上昇していた。株価の動きは本当に難しいものだ。