シティグループ(C)2023年第3四半期決算(2023/10)

はじめに

2023年10月13日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、シティグループ(C)などの米銀株が先陣を切って決算を発表している。

前回2023年7月の第2四半期決算で4%を超える下落となったシティ株であり、その際に

「決算発表当日の下落でマイナス要因が株価に反映されてしまっていればいいのだが、しばらくは冴えない株価が続きそうな気もする。我慢の期間が続きそうだ。」

と書いていた通り低調な動きだった印象がある。

そんな中で今回第3四半期の決算内容はどうだったのか。以下シティの2023年第3四半期決算を確認し整理しておく。


シティグループ2023年第3四半期の決算概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Total Revenues)は201億3900万ドルで前四半期より4%増、前年同期比9%増
  • 純利益(Net Income)は35億4600万ドルで前四半期より22%増、前年同期比2%増
  • 希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.63ドルで前四半期より23%増、前年同期と変わらず
  • 売却関連の影響を除いた調整後1株当たり純利益は1.52ドル

経費はコスト増と管理システムへの投資により前年同期比6%増の135億1100万ドル。これには一部の国際消費者事業の売却に伴い解雇された従業員への退職金が含まれている。

今四半期の貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)は計2億300万ドル、総与信費用は18億4000万ドル(前四半期は18億2400万ドル)となっている。

2023年通期見通し

2023年通期見通しは以下の通り。

  • Revenues(収入):780億ドル~790億ドル(前四半期から変わらず)
  • Net interest income excluding Markets(純金利収入):475億ドル超(前四半期の460億ドル超から増加)
  • Expenses(経費):~540億ドル(前四半期から変わらず)

その他

その他決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 部門別の業績は以下の通り
    • Institutional Clients Group:純利益24億2900万ドル(前四半期比11%増、前年同期比12%増)
    • Personal Banking and Wealth Management:純利益8億300万ドル(前四半期比63%増、前年同期比1%増)
    • Legacy Franchises:純利益1億2500万ドル(この部門は売却を進めているためあまり参考にはならず)
  • 第3四半期末の預金残高は1兆3000億ドルで、顧客が高利回りの資産に移行したため前年同期比3%減少
  • 抜本的な再編成の一環として経営陣を13人から8人に削減すると発表。2023年9月には業務をトレーディングやバンキング、ウェルスマネジメントなど5つの主要部門に分割するという組織再編を発表している
  • 組織再編に伴うレイオフやコスト削減の規模は第4四半期に見積もる予定
  • カンファレンスコールでの主な発言
    • シティを真に変革するためにはシティの運営方法を変える必要がある
    • 米国はその回復力で我々を驚かせ続けているが、来年前半には穏やかな景気後退になると予測している
    • 悪化したローンをカバーするためにより多くの資金を確保したが過去の水準と比較すると延滞レベルはまだ低い
    • 第4四半期には小幅な自社株買いを計画している
    • 最近の新規株式公開や債券発行は投資銀行業務にとって好材料であり、合併・買収の話も順調に進んでいる。しかし、先行き不透明な経済情勢は依然として企業活動を抑制している

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第3四半期の収入(Total Revenues)は201億3900万ドル、市場予想の192億5000万ドルを上回っている
  • 2023年第3四半期の売却関連の影響を除いた調整後1株当たり純利益は1.52ドル、市場予想の1.26ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比0.24%下落。同日の米国市場は

序盤は前日比プラスで始まったものの、米ミシガン大学が発表した10月の消費者信頼感指数(速報値)が3ヶ月連続で低下し市場予想中央値を下回ったことやイスラエル軍主席報道官のダニエル・ハガリ氏が、イスラエル軍の歩兵部隊と戦車部隊がイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ内で局地的な奇襲を実施したと発表したこともあって下落幅を拡大し、ダウを除いて前日比マイナスで取引を終えている。

シティの決算結果は市場予想を上回り通年の純金利収も上方修正したこともあり入開場直後には前日比4%を超える局面もあったのだが、時間の経過と共にその上昇を徐々に打ち消して最終的には前日比マイナスとなってしまった。

市場に引っ張られた面もあったのだろうが、同日に決算を発表したJPモルガンがやはり開場直後に4%を超える上昇となった後に下落したものの、前日比プラス1.5%で終えているのとは対照的。シティグループはJPモルガンに比べて堅実性に欠けている気がする。

年初来のシティグループ株の推移を市場(S&P 500)、そしてJPモルガンと比べてみると

シティが8.4%下落しているのに対して、S&P 500は12.7%上昇、そして同業のJPモルガンも10%を超える上昇となっており、やはりJPモルガンに比べると不安定に見える。

今回の四半期決算自体は好内容だったたけにシティ株が上昇に転じてくれることを期待したいが、今後もシティの決算ではあまり触れられなかったバーゼルⅢ対応や、組織再編が期待通り効果を産むのか等が懸念される。まだまだシティ株に関して落ち着かない日が続きそうだ。

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