はじめに
2024年1月も末となり本日のFOMC会合及びパウエル議長の会見を控えて大きな動きはないだろうと思っていた中、実際2024年1月30日の米国市場は
NASDAQ総合がやや下げ幅が大きいものの全体的には前日とあまり変わらず。
そんな状況で既に決算も発表済んでいる大手米銀株が
軒並み市場に比べて大きく上昇していた。
調べてみると、原因は掲題の投資格付けアップデートによるものだった。以下簡単にその内容をまとめておく。
2024年1月30日の大手米銀に関する投資格付けアップデート
Morgan StanleyのアナリストBetsy Graseck氏
投資格付け:
バンク・オブ・アメリカ:Equal-WeightからOverweightに上方修正
シティグループ:UnderweightからOverweightに上方修正
JPモルガン・チェース:Overweightで変わらず
ウェルズ・ファーゴ:Overweightで変わらず
目標株価:
バンク・オブ・アメリカ:32ドルから41ドルに上方修正
シティグループ:46ドルから65ドルに上方修正
JPモルガン・チェース:191ドルから221ドルに上方修正
ウェルズ・ファーゴ:54ドルから63ドルに上方修正
以下はBetsy Graseck氏の投資格付けアップデートの要旨。
- 未来を占うとバーゼルIII最終案は明るくなりそうだ
- 大手銀行経営陣の大多数がルールが緩和されると公に示唆している
- 最終的なルールセットは(欧州の銀行が不当に有利にならないよう)世界基準とより整合し、銀行が当初開示していたよりも低いリスク加重資産の増加を促すと予想している
- 大手銀行は過去最高の過剰資本水準にあるため、これにより自社株買いの大幅な増加への扉が開かれる
- 最大の受益者は簿価の約半分から段階的な自社株買いをすることになるシティグループである
- (大手銀行株にとって重要なプラス材料として、合併・買収など)資本市場の活動は改善しており、今後も改善と加速が続くと予想している
まとめ
昨日の大手4米銀株をみると、Morgan Stanleyの投資格付けアップデートで述べられたメリットが多い銀行ほど上昇率が高くなっていることから、やはりこの内容が株価に影響したことになる。そして自分の主力銘柄であるシティの上昇率5.51%は2023年3月以来とのことだが、それは米銀破綻後の上下動の激しい中での揺り戻しの出来事に過ぎないので、これ程の上昇はずいぶん久しぶりの事になる。
シティ株に関しては年初に
シティグループ(C)の投資格付けアップデート(2024/1)
があって大きく上昇して2024年が始まったものの、1月12日の決算発表に先立って
シティグループが決算発表に先立ち費用計上を開示(2024/1)
費用計上を開示したことで下落。そして2023年第4四半期決算では
シティグループ(C)2023年第4四半期決算(2024/1)
意外にも上昇して終えるという上下動の激しい1月前半となっていた。
そして直近1ヶ月の株価推移を見てみると
決算後は下落が続いたが1月後半は市場の上昇もあってか持ち直し、昨日の上昇で大きく市場(S&P 500)を上回ることになった。ちなみにシティに関しては同じく昨日の朝にニューヨーク州司法長官事務所が、シティバンクが電子詐欺から顧客を守り、被害者への弁済を怠った疑いで同州に数百万ドルの損害を与えたとして24日にシティバンクを提訴したと発表しているのだが、日中のシティ株は
右肩上がりとなっているのでこの件は現時点ではあまり問題視されていない模様。
気になるのはこの1月後半の上昇傾向が今後も続くのかという点だが、バーゼルIII最終案がBetsy Graseck氏が予想するように米銀にとって有利なものとなるのか、そして本日も行われるFOMC会合における政策金利の影響が気にかかる。
シティ株は自分のポートフォリオに占める割合が最大であるので、アナリストの見込みが正しく堅調な業績・株価となってくれることを願いたい。