2023/令和5年度分の確定申告手続き考慮事項(2024/1)

はじめに

楽天証券から2023年の年間支払通知書が交付されたので、それを元に2023/令和5年度分の確定申告手続きを始めることが出来るようになった。

自分は2020年10月末に退職し、それ以降は米国株式のドル配当金を元にリタイア生活を送っているのだが、昨年までの確定申告に際してのポイントをまとめると以下の様になる。

  • 米国株式のドル配当が主な収入
  • 米国株式の配当所得税は米国/日本で二重課税されているので、確定申告をすることで米国分の所得税が限度内で還付される
  • 米国株配当をドルで受け取っており、生活費に充当するためドルを円に変換する際の為替差益は雑所得として確定申告する必要がある
  • 上場株式の配当等に係る課税方式を所得税は分離課税、住民税は申告不要とすることで、住民税/国民健康保険料を最小化している

しかし今回の確定申告からは以下に述べる大きな注意点/変更点があるため、確定申告を行う前に整理しておくことにする。


2023/令和5年度分の確定申告手続き考慮事項

2022年度税制改正により、上場株式の配当等に係る課税方式を所得税・住民税で同じにする必要がある

これはいわゆる「住民税の申告不要制度」の変更で、令和6年の住民税、つまりその元となる今回の2023/令和5年度分の確定申告からは所得税・住民税の課税方式を同じ方式にする必要がある。

これにより昨年までは、米国株式の配当に関して所得税は分離課税で確定申告、住民税は申告不要とすることで

  • 所得税及び二重課税分が還付された
  • 住民税を申告不要としたため国民健康保険の算定額に組み入れられず、国民健康保険額が最小化された

というメリットを受けることが出来たのだが、今回からは別々にすることが出来ず

  • 総合課税あるいは分離課税で統一した場合:
    所得税及び二重課税分が還付されるが、国民健康保険の算定額に組み入れられるため国民健康保険料が高くなる
  • 申告不要の場合:
    所得税及び二重課税分は還付されないが、国民健康保険の算定額に組み入れられないため国民健康保険料が最小化される

というパターンからの選択となる。どのパターンを選択するかは実際にシミュレーションをすることになるが、昨年までのメリットは受けられなくなる。

2023年の途中から米国株配当の受け取り方式をドルから円に変更している

昨年までは自分の米国株ドル配当を生活費に充当するためにドルを円に変換する必要があり、その際には最近のドル高に伴い為替差益が発生していたので、その分を雑所得として申告する必要があった。

しかし2023年半ばから自分が使っている楽天証券で米国株の配当受取がドル固定からドル/円が選択できるようになり、円受取を選択することでドルを円に変換する必要がなくなり、雑所得が発生しないことになった。

そのため昨年2022年分の確定申告では約57万円分の為替差益/雑所得が発生していたのだが、今回2023年分の確定申告では前半までの約37万円の為替差益/雑所得に留まっている。

これが確定申告に及ぼす影響だが、昨年の確定申告後に整理した情報を振り返ると

  • 所得税基礎控除額:48万円(これにその他控除(生命保険料など)もある)
  • 住民税基礎控除額:43万円(これにその他控除(生命保険料など)もある)
  • 国民健康保険料控除額:43万円(これは43万円固定)

となり昨年は上場株式の配当等に係る住民税を申告不要にしても国民健康保険料控除額の限度を超えていたのだが、今回の雑所得は控除額の限度内に収まっており、申告不要制度を利用すれば最低限度の国民健康保険料で済むことになる。


まとめ

前回2022年度分の確定申告からの大きな変化は以上の2点になる。

特に上場株式の配当等に係る課税方式を所得税・住民税で同じにする必要がある点については、昨年までの良い所どりが出来なくなり、大まかに還付金を受けて高い国民健康保険料を支払うか、還付金をあきらめて国民健康保険料を最低限度にするかの2択になる。

そして米国株配当のドル円変換に伴う雑所得が国民健康保険料控除額内に収まったことにより、申告不要制度を選択した場合には昨年よりも国民健康保険料の支払いが減ることもどの課税方式を選択するかの際に考慮に入れる必要がある。

いずれを選択するにしても昨年までのキャッシュフローからは大きなマイナスの変更(還付金が無くなる/国民健康保険料が増える)となるため、よく精査して課税方式を選択し、併せて今後のキャッシュフローをアップデートして、配当金生活が破綻しないようにしたい。

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