JUULの電子タバコ米国販売禁止準備中⇒禁止決定(2022/6)

追記

以下を書いた6月22日の翌日6月23日に米食品医薬品局(FDA)が電子タバコ大手JUUL Labsに米国市場での電子タバコの販売禁止を命じ、報道通りとなった。

追記している6月24日米国市場開場前時点では、JUULがどういった対応をするのかは不明(訴訟になると即時撤去とはならない可能性もあり)。そして6月23日のアルトリア・グループ株は

何故か禁止決定にもかかわらず上昇。これは既に前日の報道による下落で禁止決定を織り込み済みだったためかもしれない。


はじめに

自分が所有している米国のタバコ企業アルトリア・グループ(MO)はここ1ヶ月と少しで

アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2022/5/11)

アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2022/6/9)

と2度の投資格付け下方修正があり、その都度株価は大きく下落している。

そんな冴えないアルトリア株が昨日2022年6月22日(水)には

さらに9%超の大幅下落となってしまった。同日の米国市場が

上下動は激しかったが前日比やや下落で終えているのと比べてもアルトリア株の急落は際立っている。原因はどうやら掲題のJUULの件らしいので、その内容について確認し整理しておく。


米FDAがJUULの電子タバコを米国内で販売禁止準備

以下はウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報じた内容より引用・抜粋。

  • 米食品医薬品局(FDA)は電子タバコ大手JUUL Labsに米国市場での電子タバコの販売禁止を命じる準備を進めていると複数の関係者が明らかにした
  • FDAは2年近くにわたりJUULが提出したデータを点検してきたが、関係者によれば今週中にも禁止判断を発表する可能性がある
  • 同業大手のレイノルズ・アメリカンとエンジョイ・ホールディングスはタバコ味の製品の販売継続を認められており、業界専門家はジュールにも同様の判断が出されるとみていた

アルトリアは2018年にJUULの株式35%を取得するため128億ドルを費やしているが、その後は何度も減損処理を繰り返しており、2022年第1四半期決算発表時の資料では投資に対する公正価値(Fair value)は16億ドルにまで減少している。


米政権、タバコのニコチン最大含有量を大幅に制限する提案を計画

ちなみに前日の2022年6月21日には、バイデン政権はタバコのニコチン最大含有量を制限する提案を計画していることを公表している。以下はFDA(米食品医薬品局)及びOMB(Office of Management and Budget:米行政管理予算局)のサイト及び関連報道より引用・抜粋。

  • バイデン米政権はタバコに含まれるニコチンをほぼ全て除去するよう義務付ける方針
  • 今回の計画は政府が掲げる規制措置の一環として21日に公表されたもので、施行されるのは数年後になる可能性が高い
  • 米食品医薬品局(FDA)は2023年5月に規制案を発表する予定で、その後に一般からの意見を公募し、最終的な規則を取りまとめる
  • タバコメーカーがその後に訴訟を起こす可能性があり、その場合施行は先延ばしされる可能性もある
  • ニコチン含有量引き下げの対象となるのは米国内で販売されているすべてのタバコで、従来の商品の輸入は禁止される

まとめ

個人的にはJUULの電子タバコ国内販売禁止報道よりも、その前日にバイデン政権がタバコのニコチン最大含有量を制限する方針を公表した事の方がアルトリア株には悪影響だと思うのだが、21日のアルトリア株は市場の上昇には劣るものの

0.86%の上昇と前日比プラスで終えている。これが市場に引っ張られたおかげなのか、まだ時間があるため株価への影響が限定的だったのかは、掲題の翌22日のJUUL電子タバコの米国内販売禁止報道のため不明。

いずれにせよこの21、22日の発表・報道で

  • 米政権はタバコに含まれるニコチンをほぼ全て除去するよう義務付ける方針
  • ニコチン含有量が極めて少ないタバコの開発・大量生産の実現には通常数年かかると想定される
  • 中長期的にタバコメーカーは規制に沿う低ニコチンタバコの投入あるいはニコチンを含まない電子タバコ等の代替品を探す必要がある
  • しかもアルトリアが投資しているJUULの電子タバコが米国内で販売禁止される可能性があり、一方で競合のレイノルズの電子タバコは販売継続が認められている
  • 中長期的にニコチンを含む米タバコ市場の縮小、そしてアルトリアの代替製品の弱さから業績に懸念

という流れでアルトリア株が急落したのではないだろうか。ちなみに22日の他大手タバコ関連メーカーの株価は

軒並み下落しているが、アルトリアの下落が際立つことからもJUUL関連報道の影響が大きかったのだろう。

過去3ヶ月のアルトリア株の動きは

と6月8日の投資格付け下方修正による大幅下落から更に下がったのだが、これは22日を除いては概ね市場(S&P 500)の動きと変わらず。

昨日の下落でアルトリア株の不安要素が株価に織り込まれていてくれればいいのだが、さてどうなのだろう。

2022年6月22日閉場後の自分のアルトリア株への投資は

と久々に取得価額を割り込むことになった(株価が下がったので税引前配当率は8%近くまで上昇している)。

もしかするとこのタイミングでアルトリア株を売却してしまった方が、中長期的には良いのかもしれないとも思うが、基本バイアンドホールドが自分の投資スタイルなので急には踏ん切りがつかない。ひとまずここしばらくはアルトリア株の動き・関連情報に注意して動向を見ておき、動き次第で改めて考えることにしよう。

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