アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2022/5/11)

はじめに

昨日2022年5月10日の米国市場は

上下動が激しく方向感がよく分からない動きだったのだが、結果的にはNASDAQがやや上昇、S&P 500とダウ工業平均はそれ程変わらずという結果だった。

そんな中自分の所有銘柄であるアルトリア・グループ(MO)が

6.68%の大幅下落となった。

直接の原因はアルトリアの投資格付けアップデートによるものだが、それに至るにはフィリップ・モリス(PM)の動きが絡んでいるので、以下にそれらを整理しておくことにする。


5月10日のアルトリア株下落に至る経緯

5月8日にウォール・ストリート・ジャーナルの報道

ウォール・ストリート・ジャーナルが関係者の話としてフィリップ・モリスがスウェーデンのライター/タバコ製品メーカーであるスウェディッシュ・マッチを150億ドル相当で買収する取引を交渉中と報じる。

5月9日にフィリップ・モリスが同業スウェディッシュ・マッチ買収で交渉中と発表

5月9日にウォール・ストリート・ジャーナルの報道を追認する形で、フィリップ・モリス(PM)がスウェーデンの無煙タバコ大手のスウェディッシュ・マッチ買収に向けて交渉中と発表。両社間の協議は進行中だが買収提案が行われるかどうかは不明とし、協議に関してはこれ以上コメントしない予定としている。

5月10日にBernsteinのアナリストがアルトリアの投資格付けをアップデート

これらを受けてBernsteinのアナリストCallum Elliott氏がアルトリア・グループ(MO)の投資格付けをアップデートしている。

投資格付け:OutperformからMarket Performに下方修正

目標株価:58ドルから53ドルに下方修正

以下はCallum Elliott氏の投資格付けアップデートの要旨。

  • フィリップ・モリスにとって、米国市場の拡大はフィリップ・モリスUSAを通じてアルトリアが収益を生み出しているためオプション的なものであるが、スウェディッシュ・マッチの買収によって米国での市場拡大はフィリップ・モリスの柱(Core Piller)になり得る
  • スウェディッシュ・マッチを買収することで、フィリップ・モリスに米国内で既成(ready-made)の流通ネットワークがもたらされる。そのためアルトリアが中長期的に米国の次世代製品(Next Generation Products)を支配する可能性が大幅に削減(significantly reduces)される
  • 過去数ヶ月の間に、アルトリアと以前の子会社であるフィリップ・モリスとの関係が悪化し、両者の間である種の冷戦が発生することについて、我々はますます懸念を抱いている
  • アルトリアの投資格付けをUnderperformに二重格下げすることも考えたが、戦術的には株式市場と経済状況の変動性を考えると、アルトリアの株式の防御的特性が短期的に投資家に利益をもたらす可能性がある
  • しかし間違いなくこれは長期投資家にとって良いニュースではない(Make no mistake though, this is NOT good news for long-term shareholders)

時系列でのアルトリア株とフィリップ・モリス株の動き

過去5日間のアルトリア株とフィリップ・モリス株(水色)の動きを見てみると以下の様になる。

5月8日のウォール・ストリート・ジャーナルの報道はそれ程材料視されなかったようだが、それを受けてフィリップ・モリスが9日の現地時間12時過ぎにプレスリリースを発表した際にフィリップ・モリス株が上昇、アルトリア株が下落とそれぞれ変動。そして10日の時間前のアナリストの投資格付けアップデートを受けてアルトリア株が大幅下落という流れになっている。

ちなみにスウェディッシュ・マッチの米国での主力商品はオーラルタバコ製品の「Zyn」であるが、これはアルトリアの「on!」との競合製品。先日のアルトリアの四半期決算プレゼンテーションにも名前が出ている。

「on!」のシェアが前年比向上していることを説明するスライドだが、スウェディッシュ・マッチの「Zyn」の方が高い成長率である事が判る。


まとめ

こうして情報を整理してみると、フィリップ・モリスのスウェディッシュ・マッチの買収報道及びフィリップ・モリスによる報道追認自体はアルトリア株にさほど影響を与えていなかったことが判る。これは上述した様にスウェディッシュ・マッチの米国での主力製品がオーラルタバコ製品の「Zyn」であり、米国でシェアを急拡大しているもののオーラルタバコ製品自体が紙巻きタバコ製品に比べて圧倒的に売上、出荷量が少ないため影響は限定的と捉えられたためだろう。

しかしアナリストの投資格付けアップデートで、スウェディッシュ・マッチの買収によりフィリップ・モリスが直接的に米国での市場拡大に乗り出し、将来的なアルトリアの次世代製品シェアが大幅に減少する可能性が言及された事でアルトリア株は大幅下落となった。

フィリップ・モリスは近年

フィリップモリスの配当増発表と直近のアップデート(2021/9)

でも触れた様に紙巻きタバコ製品以外への事業多角化を図っており、今回の買収交渉もその一環として戦略的に整合性が取れている。ただし、アナリストが示唆している様にそれが米国市場への直接参入となるものであれば、これまでの買収とはアルトリア株への影響が異なってくるのも理解できる。

フィリップ・モリスの米国市場参入可能性については

アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2021/3)

でシティのアナリストもフィリップ・モリスが直接IQOSを米国で販売する可能性(アルトリア傘下のフィリップ・モリスUSAがIQOSを取り扱っている。ただし現在は特許侵害のため販売停止中)を50%を大きく下回る(albeit well below 50%)としながら指摘している。

今回の買収はまだ協議中であり買収そのものがどうなるか不明な上、買収となった場合でもアナリストの想定通りとなるかも不透明。買収関連の続報に注意しておきたい。

取り合えず昨日の下落である程度下げ止まってくれることを期待したいが、実際に買収成立となった場合にはまた一段と下落するのだろう。アナリストの「しかし間違いなくこれは長期投資家にとって良いニュースではない(Make no mistake though, this is NOT good news for long-term shareholders)」というコメントも気に掛かる。株価はともかく配当は維持してもらいたいものだ。

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