シティグループ(C)2021年第2四半期決算(2021/7)

はじめに

昨日は自分の主力銘柄の一つであるシティグループ(C)の2021年第2四半期決算発表があった。

前日は同じく所有銘柄で銀行株のJPモルガン・チェース(JPM)が決算発表を受けて下落し、シティも先月に今回の決算が思わしくないこと米銀ストレステストをパスしたにもかかわらず明確に増配に言及しなかったことなどを考えると、事前の想定ではどこまで株価が下がるのかと思っていたのだが、実際にはどうなったか。以下に決算内容とそれを受けての株価について整理しておく。


シティグループ2021年第2四半期決算発表の概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Revenues)は174億7400万ドルで前四半期より10%減、前年同期比12%減
  • 純利益(Net Income)は61億9300万ドルで前四半期より22%減、前年同期比486%増
  • 1株あたり純利益(EPS)は2.85ドルで前四半期より21%減、前年同期比650%増
  • 純金利マージン(調達金利と貸付金利の差)は前四半期の1.95%から1.92%に減少

貸し倒れ引当準備金(Net ACL(Allowance for Credit Losses)Build)は前四半期の38億5300万ドルに続き今四半期も24億200万ドルを差し戻している。

JPモルガンは貸し倒れ引当金の差し戻しがEPSへ与える影響を明示しているのだが、シティはなし。


その他2021年見通しなど

2021年の通期見通しについては相変わらず発表無し。ただ、アナリストとのカンファレンスコール中で

  • On the top line, for total Citigroup, we still expect revenues to be down mid-single digits on a reported basis.
    レポートベースで依然1桁台半ばの収入(revenues)減少を想定している
  • net interest revenues are down roughly $2.2 billion year to date
    金利収入は年初来でおよそ22億ドル減少
  • we now expect total Citigroup expenses to be up mid-single digits
    経費は1桁台半ば

としている。Stillとあるのはどこかで2021年の見通しを発表していたのだろうか。

過去の資料を確認してみたところ、プレゼンテーションや発表資料ではやはり明示されていなかったが、2020年第4四半期決算発表時のアナリストとのカンファレンスコールの際に以下の様に言及されていた。

  • we could see revenues down in the mid-to-high single-digit range this year
    1桁台半ばから後半の収入減少
  • on a full-year basis, a decline in net interest revenues of somewhere between $1 billion to $2 billion versus 2020
    金利収入が10~20億ドル減少
  • we expect full-year expenses to increase in the range of 2% to 3%
    経費が2~3%増加

2021年の見通しはアナリストとのカンファレンスコールで言及するのではなく、資料として提示して欲しい(もしかすると資料を自分が見落としている可能性はあるが)。

また2021年第2四半期中にシティグループは4000万株の普通株を買い戻している。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2021年第2四半期の収入(Revenues)は174億7400万ドル、市場予想の173億6000ドルを上回っている
  • 2021年第2四半期の1株あたり純利益(EPS)は2.85ドル、市場予想の1.96ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてのシティの株価はどうなったかというと

0.29%の下落。同日のダウ工業平均が0.13%、S&P 500が0.12%それぞれ上昇、NASDAQが0.22%の下落したのに比べてもあまり遜色がない動き。

ただしこれは終値ベースで見た場合で日中の動きは以下の様に結構激しかった。

最初は市場予想より良い決算内容だったために上昇したようだが、現地時間10時半過ぎに急落。シティのアナリストとのカンファレンスコールが現地時間10時から行われたので、その内容及び質疑が影響を与えたものと思われる。先に挙げたカンファレンスコールで言及された2021年見通しが下方修正となったのが嫌気されたのかもしれない。

この日はウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)も決算発表があったので自分の所有しているJPモルガンも併せて日中の動きを比較してみるとなかなか興味深い結果となった。

バンク・オブ・アメリカ(オレンジ)はEPSは市場予想を上回ったが純金利収入が市場予想を下回ったこともあり下落して始まり、ウェルズ・ファーゴはシティと同様に収入・EPS共に市場予想を上回ったため上昇して始まる。

ただ開場から昼前ぐらいまでは基本的に全行とも下落傾向。

そして昼前に何故かウェルズ・ファーゴだけが急上昇。ウェルズ・ファーゴはカリフォルニアに本社があるためアナリストとのカンファレンスコールが11時半から行われたのだが、上述のシティとは逆に事前に発表された資料には無いポジティブな発言がこのカンファレンスコール内であったのだろうと推測される(自分の所有株ではないので実際の内容までは調べない)。

取りあえずは自分のポートフォリオに占める割合が大きいシティグループが無難に決算発表を乗り越えたのは良かった。冒頭に挙げた先月の決算内容が思わしくないことの示唆や、米銀ストレステスト後の配当に関する発表の際にシティ株はそれなりに下落していたので、ある程度の悪材料は既に株価に織り込み済みだったことも、大幅下落に至らなかった原因の一つかもしれない。

とはいえ最近の米国債の長短金利差縮小やインフレ懸念など、米銀株に関する不安定材料は多いのでまだまだ安心できる状態ではないのは頭に入れておくべきだろう。

最後に配当についてはアナリストとのカンファレンスコールでもいくつか質問があったのだが、据え置き/増配(及びそのタイミング)に対する明確な回答は無かった。昨年2020年シティは第2四半期決算発表の翌日に配当を発表していたのだが今年はどうなるか(翌日に発表したのは優先株式。普通株の配当発表は9日後でした)。ただ先月の発表やアナリストとのカンファレンスコールのやり取りからの個人的な印象では、残念ながら配当は据え置きの可能性が高そうだ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。