はじめに
昨日2020年12月11日、自分が所有しているウォルト・ディズニー(DIS)株は掲題の通り、
13.59%の大幅上昇。同日ダウ工業平均は0.16%の上昇、S&P 500が0.13%、NASDAQが0.23%下落している。
これは先日AT&T(T)のストリーミングサービスHBO Maxについて以下にまとめた際
HBO Maxの加入者情報アップデート、他(2020/12/9)
最後に少し触れた2020年12月10日の時間外後に行われたディズニーのInvestor Dayの内容に拠るものだったようだ。以下にその内容をまとめておく。
ちなみに今回のInvestor Dayは、focused on the Company’s direct-to-consumer streaming services(DTCストリーミングサービスにフォーカス)したものであるので、テーマパークその他の部門は含まれていない。
2020年12月10日のディズニーInvestor Dayまとめ
以下はウォルト・ディズニーの企業ページより引用・抜粋(ちなみにプレゼンテーション資料は111ページもある)。
プレスリリースのタイトルは、
- The Walt Disney Company Surpasses 137M Paid Subscriptions Across Its Direct-To-Consumer Services, Shattering Previous Guidance; Increases Paid Subscriptions Target To 300-350M By 2024
Walt Disney Companyは、DTCサービス全体で1億3700万の有料サブスクリプションを上回り以前のガイダンスを上回りました。2024年までに有料サブスクリプションの目標を3億~3億5000万に増やします
となっている。それに続いて以下の3点が強調されている。
- Company Announces Target of 100+ New Titles Per Year for Disney+ and Reveals Vast Slate of Incredible Content from Disney, Pixar, Marvel, Star Wars, and National Geographic
同社はディズニー・プラスの年間100以上の新しいタイトルの目標を発表し、Disney、Pixar、Marvel、Star Wars、およびNationalGeographicからの信じられないほどのコンテンツの膨大なスレートを明らかにします - Star to Launch in Select Overseas Markets in February 2021 As A Fully-Integrated part of Disney+, with its Own Brand Tile and a Wide Array of General Entertainment from the Company’s Renowned Television and Film Studios that will Double the Content Catalog
スターはディズニー・プラスの完全に統合された部分として、2021年2月に一部の海外市場で発売され、独自のブランドタイルと、コンテンツカタログを2倍にする同社の有名なテレビおよび映画スタジオからの幅広い一般的なエンターテインメントを備えています - Standalone Streaming Service Star+ to Launch in Latin America in June 2021, Featuring Both General Entertainment Content and Live Sports
一般的なエンターテインメントコンテンツとライブスポーツの両方を備えたスタンドアロンストリーミングサービススター・プラスが2021年6月にラテンアメリカで開始
以下は細かい説明が続くのだが、ポイントを絞って整理してみる。
- DTCサービス全体で1億3700万の有料サブスクリプションの内訳
- ESPN+が1150万
- Huluが3880万
- ディズニー・プラスが8680万
ちなみに以前のディズニー・プラスのガイダンスは「2024年までに有料サブスクリプション数が6000万~9000万に到達する」というものであったので、現時点でその範囲に到達している。
- 2021年3月26日以降、ディズニー・プラスの価格は米国で月額$7.99または年額$79.99になり、ディズニー・プラス、Hulu、およびESPN+のDisneyBundleの価格は月額$ 13.99になる
この値上げは今年9月に既に報道されていた模様。現行価格は月額$6.99ドル。欧州では29%値上げして月額8.99ユーロになるとのこと。
- 2021年3月5日に劇場リリース予定の「ラーヤと龍の王国(Raya and the Last Dragon)」はディズニー・プラスのプレミアムアクセスでほとんどの地域で利用可能になる。プレミアアクセスの価格は$29.99ドル
先日HBO Maxが2021年のタイトルを劇場とHBO Maxで配給するハイブリッド型のモデルを発表したが、Investor Dayでの発表は上記のみ。
- ディズニー・プラスの営業損失が2021年度にピークに達すると予想し、ストリーミングサービスは2024年度に収益性を達成すると予測している
2019年4月のInvestor Dayでは、営業損失のピークは2020~2022年度、収益化は2024年度していたのでほぼ変わらず。
まとめ
やはり株価の大幅な上昇はディズニー・プラスの加入者及びその拡大ペースが予想よりも大幅に上回っていたためだろう。料金値上げも既報されていたためかそれほど株価への影響はなかったようだ。
これだけ順調に加入者数が増えていれば、HBO Maxの様に劇場とストリーミングをどうタイミングで行う施策も取る必要はないだろう。それでも「ラーヤと龍の王国(Raya and the Last Dragon)」は30ドルのプレミアムで視聴できるようだが、この結果を見てから判断するかもしれない。
調べたところでは、バンク・オブ・アメリカのアナリストJessica Reif Ehrlich氏が目標株価を166ドルから192ドルに引き上げている(格付けはBuyを維持)。
ただこのInvestor Dayは最初に述べた様にあくまでDTCにフォーカスしたものであるので、ウォルト・ディズニー全体としてはどうなのだろう、という危惧は少なからずある。少し上がり過ぎではないだろうか。
以下に前四半期の決算資料を再掲するが、DTCはあくまでも(まだ)一部門に過ぎないことには留意しておくべきだろう(将来は分からないが)。
アナリストのもう少し詳しい分析状況が気になるところ。
最後に個人的にはこのディズニー・プラスの好調さがHBO Maxの加入者数に悪影響を及ぼさないで欲しい。両社ともコンテンツを自前で制作し提供しているので大丈夫だとは思うが、視聴者が費やせるお金と時間は限られている訳なので、パイの取り合いにならないか多少心配ではある。
ウォルト・ディズニー(DIS)もHBO Maxを提供しているAT&T(T)も自分の所有銘柄であるわけだが、投資している額がディズニーとAT&Tでは文字通り桁が1つ違っているし、完全リタイアした今ではAT&Tから出ている高配当は重要なので、それを損なう可能性がある事柄には注意が必要だろう。