ゼネラル・エレクトリックが家庭用照明事業を売却(2020/5)

はじめに

昨日5月27日の米国市場閉場後の自分のポートフォリオの確認をしていたところ、ゼネラル・エレクトリック(GE)の株価が、

とダウ工業平均の2.21%、S&P 500の1.48%それぞれ上昇したのと比べて大きく上昇していたので理由を確認してみたところ、掲題の報道がなされたためのようだ。以下にその内容を整理しておく。


5月27日のGEの発表

以下はGEの企業サイトより引用・抜粋。

  • Deal will create an industry leader combining GE’s brand, lighting expertise and retailer channels with Savant’s innovative smart home technology and professional installation channels for the home
    取引により、GEのブランド、照明の専門知識、小売チャネルと、Savantの革新的なスマートホームテクノロジーおよび家庭用の専門的な設置チャネルを組み合わせた業界リーダーが誕生
  • Savant will continue use of the GE brand
    SavantはGEブランドの使用を継続
  • Furthers GE’s transformation into a more focused industrial company
    GEのより産業向け事業へ集中した変革を促進
  • GE Chairman and CEO H. Lawrence Culp, Jr., said, “Today’s transaction is another important step in the transformation of GE into a more focused industrial company. Our GE Lighting colleagues will join a fast-growing leader in home automation that shares their passion for bringing the future to light. Together with Savant, GE Lighting will continue its legacy of innovation, while we at GE will continue to advance the infrastructure technologies that are core to our company and draw on the roots of our founder, Thomas Edison.”
    GEの会長兼CEO(最高経営責任者)である H. Lawrence Culp, Jr.は、次のように述べています。「今日の取引は、GEをより焦点を絞った産業向け企業へと変えるためのもう1つの重要なステップです。 私たちのGE Lightingの同僚は、未来を照らすことへの情熱を共有するホームオートメーションの急成長しているリーダーに加わります。GE LightingはSavantとともに革新の遺産を継続し、GEは当社の中核となるインフラストラクチャテクノロジーを進化させ、創業者のトーマス・エジソンのルーツを利用します」

まとめ

ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると売却額は約2億5000万ドルとのこと。

近年(最近は回復傾向にあったが)そしてCOVID-19影響下で更に悪化したキャッシュフロー改善の一助になるという事で株価が上昇したのだろう。

個人的にはCEOが引用しているようにGEと言えばトーマス・エジソンと電球、そしてフィラメントに日本の竹というのがパッと頭に思い付く。その後も照明部門は1938年に蛍光灯の商品化、1959年にハロゲンランプの発明、1962年にLED照明の発明といった成果を上げており、GEの一時代を担ってきたと言える。

しかし技術の発達とそれに伴い電球の買い換え頻度が下がったこともあって照明事業の業績は落ち込み、2018年に照明事業は他会社に売却されることが決定されていた。その点では今回の発表は特に目新しいと言う訳でもないのだが、先に書いた様にGE=エジソンというイメージが無くなるのは残念な気がする。

ただ一方でGE株所有者としては、いくら歴史や思い入れがあったとしても業績、株価の観点から冷静に判断するのは正しいと思う。個人的には日本企業ではこういった判断はなかなか出来なかったのではないかとも感じる。

いずれにせよ昨日の発表もありここひと月のGEの株価は以下の様にやや持ち直して見える。

新型コロナウイルスで改善傾向にあったキャッシュフローがまた悪化してしまったが、その中でもこういった中核事業以外の売却や整理を淡々と進めるLawrence Culp氏の経営戦略は個人的には正しいと思うので、この姿勢を崩さずに業績ひいては株価の改善を続けていただきたいと思う。

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