2026年8月発表の米消費者物価指数(CPI)と市場の動き

はじめに

米国日付2026年8月12日(水)に2026年7月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2026年7月発表のCPIは予想外に抑えられた内容だったこともあって、7月に再び始まった米イランの軍事的応酬からのエネルギー価格高騰に伴うインフレ懸念による利上げ有力という見方がやや後退。ただアメリカがイランへの空爆を13日間も続けたことで、インフレ懸念の高まりが再び台頭し、月末のFOMCでは利上げは無かったもののウォーシュ議長の会見で次回9月FOMCでの利上げが有力視されるという結果。しかし8月初の米雇用統計では非農業部門雇用者数が2万3000人減と市場予想を大きく下回ったことで、9月のFOMCでの利上げ観測は後退し、前回CPI発表からの1ヶ月の間に利上げ観測が頻繁に変化する状況となっていた。

そして今回CPI発表前日時点でのCMEのフェドウォッチツールによる9月FOMCでの政策金利確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):51.6%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):48.4%

と据え置きがやや有力視されるが、利上げ・据え置きがほぼ半々となっている。

そんな中で今回発表のCPIはどういう結果となったのか、そしてそれを受けて市場がどう反応したかについて確認し、整理しておく。


2026年8月12日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年6月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2026年7月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月比0.1%の上昇、市場予想も0.1%の上昇

  • 2026年7月の前年比消費者物価指数は全品目では3.4%上昇、市場予想も3.4%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比2.5%上昇、市場予想も2.5%の上昇、前月比では0.2%上昇で、市場予想も0.2%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比2.7%上昇。2026年6月は前年比2.7%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比4.2%上昇。2026年6月は前年比4.0%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比3.2%上昇。2026年6月は前年比3.3%上昇

今回の主要CPI結果(前年比/前月比総合CPI指数、前年比/前月比コアCPI指数)はいずれも市場予想と一致。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

CPIの発表は米国株式市場開場前の米東部夏時間8:30。

今回のCPI結果は主要項目が市場予想と一致したこともあってか主要株式指数に大きな変動は無し。ただ中東情勢が思わしくない中でのややインフレ緩和となったためか、CPI発表後のCMEのフェドウォッチツールによる9月FOMCでの政策金利確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):59.9%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):40.1%

と冒頭に挙げた前日から据え置きの確率が更に上昇している。このためか資金調達を鑑みて金利政策に敏感なハイテク銘柄がやや上昇傾向で、市場はその比重が大きいNASDAQ総合、S&P 500、ダウ工業平均の順でのパフォーマンスとなった模様。

米国10年債

CPIが発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCST(米国中部夏時間)では7:30。

開場直後(上記チャートでは7:20)はCPI結果が出る前だったが、前日比で利回りが0.5%ほど低下して取引を開始。そしてCPI結果を受けて徐々に利回りは上昇。午後になって利回りは更に上昇し、結局最終的には前日とほぼ変わらない水準で取引を終えている。

CPI結果が出る前に利回りが前日比で低下して取引が始まった理由は定かではないが、最終的に前日とほぼ変わらずとなっているのは、市場予想通りのCPI結果だったためだろう。

ドル円為替

CPIの発表があった米東部夏時間8:30は上記ドル円チャートのGMT+1の13:30。

CPI発表の数時間前にやや不自然なドル安があったのは、トルコのアナドル通信がパキスタン政府筋の話として「イランと米国は6月の暫定合意に基づく60日間の停戦延長で合意した」と報じたため。しかし直ぐにロイター通信がイランの政府高官に取材し「米国との間で停戦延長に関する協議は行われていない。延長の話は出ていない」と報道したことで値を戻している。

いずれにせよCPI発表前はややドル安傾向で1ドル=159円近辺だったが、CPI結果を受けて少しだけドル安が進み1ドル=158.8円近辺に。しかし30分程でドル高に転じ1ドル=159円台を回復して159円台半ばまでドル高に。その後は1ドル159.3~5円の狭いレンジを中心とした推移が続いている。

CPI結果が予想通りで早期の利上げ観測はやや後退したのだが、7月末の為替介入後は再度の為替介入への警戒感はあるものの概ね緩やかな円安ドル高となっており、その流れを打ち消すほどのCPI結果では無かったということだろう。


まとめ

以上、2026年8月発表の7月米CPI結果と市場の動きについてまとめてみた。

今回の主なCPI結果が市場予想と一致したこともあり、いずれの市場も大きな変化は見られず。ただ逆に大きな変化が無かったことで、9月FOMCでの金利政策は据え置きがやや優勢となったもののFRBが政策金利の判断を下す有力な材料にはならなかったとも言える。

結果的に市場は今回のCPIイベントを無難に乗り切ったが、利上げの時期判断が先送りになったとも捉えることができ、FRBの判断はより難しくなった気がする。8月末のジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長の発言、9月FOMCまでの主要経済指標の重要度が増したとも言えるので、それらに注意を払うと共に、結果次第では市場に大きな変動があるかもしれない点は念頭に置いておきたい。

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