世界金融危機時における長期投資/バイアンドホールドの米国株投資

はじめに

2001年7月から始めた米国株式投資を整理しているブログであるが、ようやく世界金融危機時の長期間の投資資金比マイナス期間が終わるところまで振り返りが終わったので、マイナス期間について色々まとめてみる。


マイナス期間考察

投資金額に対して円ベース資産がプラスだったのは2008年1月末までで、そこから2012年の12月まではずっとマイナスが続いていた。59ヶ月、約6年間マイナスの期間が続いたことになる。

実際にはその前にもマイナスの期間だったことはあり、主に投資初期段階の2001年7月から2003年12月までの30ヶ月間がマイナス、その後プラスマイナスを行ったり来たりの期間を経て、2005年5月から2008年1月までの33ヶ月間、約3年弱はプラスだった。

2001年7月の投資開始時から2012年末まで、累計投資から見た損益のプラス、マイナスを整理すると、

プラス期間:38ヶ月

マイナス期間:100ヶ月

という具合で、多くの期間は投資金額に対してマイナスの期間になっている。それ以降はプラスが続いて2019年3月まで来ているので、何とかプラス期間の方が少しだけ多くなっている。

円ベース資産

以下は、損益マイナス時の投資金額と円ベース資産のグラフ

最も投資金額と資産の乖離が大きかったのは2008年2月末で、投資金額に対する資産の割合が49.8%、つまり投資金額のほぼ半分にまで落ち込んでいたことになる。投資費でマイナス40%を超えていたのは、2008年11月から2009年4月までの6ヶ月間。多分この時が自分の17年を超える投資の中で一番キツイ時期だったのだろう。

金額ベースでみると、2011年の9月が一番大きく10,195,233円のマイナス(割合ではマイナス35.4%)と1,000万円を超えるマイナス(累計投資額は28,762,230円)。2011年9月から11月はギリシャの債務不履行(デフォルト)の可能性が高まったり、対応策が打ち出されたりして、それによって市場も大きく動いていた。

グラフで見ると2010年4月に最も乖離幅が少なくなっている(マイナス15.7%)

ギリシャの債務問題は、2012年6月の総選挙で財政緊縮支持派の第1党が票を伸ばし連立政権の樹立に成功したことで、ようやく事態は沈静化へと向かうこととなった。ちなみにその前月の2012年5月の総選挙では、財政緊縮反対を掲げる左翼政党が大幅に躍進していたのだが、連立交渉がまとまらず6月の再選挙となっている。確かに2012年5月は大幅に下落しており、その翌月2012年6月からは右肩上がりで、半年で約900万円を一気に回復している。そういう意味では2012年6月がターニングポイントだったのだろう。これでようやくサブプライムローン問題、世界金融危機、欧州債務危機の影響から自分のポートフォリオは脱したと言えるだろう。

投資金額

一方で、この投資低迷期間(2008年~2013年)においても、右肩上がりで投資金額は順調に増えていたことも分かる。逆に言うと、1回あたり(3ヶ月毎)の投資金額はこの頃の100万円から2019年現在でも変わっていない(増えていない)。

この頃から年棒は増えていない(実際にはこの期間中に、勤務先で一律年棒5%カットの期間が数年あったり、給与体系がインセンティブに変わったりの変化はある)ので、投資金額という点ではこの頃にスタイルが確立されて、現在まで続いていることになる。

投資金額が増えなかった理由は、上記の様にベースとなる年棒が増えない、つまり余剰資金が増えなかったからであるが、投資金額を減らすことにならなかった理由は何だったのか。

ここで自信をもって、長期投資/バイアンドホールドなのでいつかは上がるだろうと思っていたから、と言えれば良いのだが、正直に言うとルーチン化していたためだろう。米国株投資の書籍を読んだ結果、統計的にはいつか上がるのだろうが、①マイナス/低調な期間がいつまで続くかは分からないし、②その間に自分の年棒(サラリー)が変わらない保証はない(リストラ、病気など)、という事を考えると、そこまでの自信があって投資金額を減らさなかった訳ではない。ちなみに②に関しては投資を始める前に生活防衛資金を投資と別にしていたので、たとえ投資がゼロになってもしばらくは何とかなっただろう。

配当

この期間(2008年~2012年)の配当は以下の通り。

配当に影響が出るのは経済/株価下落から少しズレるので、配当の減少は2009年から顕著になっている。2009年は2008年に比べて約3割減。それ以降は小幅な上昇に留まっている。

この時期配当が減少した理由としては、

①企業業績/株価の低下に伴い配当減、無配の銘柄が出たこと。

この時期配当減、無配になった主な銘柄は、

・シティグループ:

2008年8月まで受取配当一株あたり@0.32ドル

2008年12月受取配当一株あたり@0.16ドル

2009年3月受取配当一株あたり@0.01ドル

2009年6月~2011年3月までの2年弱無配

2011年6月~2012年末まで受取配当一株あたり@0.01ドル

・ゼネラル・エレクトリック(GE):

2009年5月まで受取配当一株あたり@0.31ドル

2009年7月~2010年7月までの1年強受取配当一株あたり@0.1ドル

2010年10月受取配当一株あたり@0.12ドル

2011年1、4月受取配当一株あたり@0.14ドル

2011年7、10月受取配当一株あたり@0.15ドル

2012年1月~2012年末まで受取配当一株あたり@0.17ドル

・JPモルガン・チェース(JPM):

2009年2月まで受取配当一株あたり@0.38ドル

2009年5月~2011年2月までの2年弱受取配当一株あたり@0.05ドル

2011年5月~2012年2月までの1年間受取配当一株あたり@0.25ドル

2012年5月~2012年末まで受取配当一株あたり@0.3ドル

②為替の影響

以下は2008年から2012年の月末為替レート。

この期間は基本的にドル安が続いたため、円ベースで資産/配当を管理している自分の場合、影響が大きかったと言える。

③この期間に資金投入して購入した銘柄のほとんどが無配の期間が長かったシティグループ(C)だった

ただ書いていて思ったのだが、①で挙げた3銘柄以外の15程度の保有銘柄はこの低調な期間であっても配当減/無配は無かった(配当変わらずのものもあったが)ということになる。


まとめ

最初に方に書いた通り、59ヶ月、約6年間続いたマイナスの期間を振り返ってみた。今となっては簡単に書けるのだが、実際問題6年間のマイナスは長すぎるだろう。まさに喉元過ぎれば熱さを忘れる、と言ったところだろうか。

この6年のマイナス期間(2008年~2012年)にバイアンドホールド/長期投資のスタイルを止めなかったのは、現時点(2019年)では正解だったようだ。あくまで「現時点では」という注釈がつき今後どうなるかは分からないのだが、この期間を何とか乗り越えたことは特に投資が上手くいっていない時の精神的耐性をつける点では良かったと思う。

15年以上もバイアンドホールド/長期投資の投資スタイルを続けてきたので、今更投資のやり方を根本的に変えるのは難しいが、この期間の様にバイアンドホールド/長期投資が上手くいかないこともある、という点を忘れずに、自分の年齢/生活も加味してこの経験を今後の投資に活かしていきたい。

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