2026年8月発表の米雇用統計と市場の動き(2026/8)

はじめに

現地日付2026年8月7日(金)には2026年7月の米雇用統計が米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された。

前回7月発表の米雇用統計は3ヶ月連続で市場予想を上回った非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、FRBがインフレ退治のための利上げを行う時期が後ずれし、労働市場のテコ入れのために現状の金利を維持する可能性が強くなるという結果だった。

その後は7月14日の米CPIが予想外に抑えられた内容だったこともあって早期の利上げ観測は再び後退。しかしトランプ大統領の「停戦は終わった」発言以降、アメリカがイランへの空爆を13日間も続けたことでインフレ懸念の高まりが再び台頭。そんな中で迎えた7月末のFOMCでは利上げは無かったものの、ウォーシュ議長の会見では次回9月FOMCでの利上げが有力視される様になっており、今回の米雇用統計発表前日のCMEフェドウォッチツールでの2026年9月の金利政策確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):45.0%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):55.0%

となっていた。

そんな状況の中、今回発表された2026年7月の米雇用統計の内容、及びそれを受けて市場がどう反応したのかについて確認し、整理しておく。


2026年8月7日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年7月米雇用統計

  • 2026年7月の季節調整済み失業率は4.1%、市場予想の4.2%を下回っている
  • 2026年7月の非農業部門雇用者数は前月比2万3000人減、市場予想の8万人増を大きく下回っている

また2026年5月の非農業部門雇用者数は12万9000人増から6万6000人下方修正されて6万3000人増となり、6月も5万7000人増から3万7000人下方修正されて2万人増となっている。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

米雇用統計の発表は米国株式市場開始の1時間前。

主要3株式指数ともに前日比上昇で取引を開始しハイテク銘柄を中心に上昇。NASDAQ総合の上昇幅が大きいのはSpaceXがエヌビディア(NVDA)との宇宙AIインフラ提携報道で15.83%急騰したことが影響しているのだろう(SpaceXは現時点では主要3株式指数のうちNASDAQ総合のみの構成銘柄。指数に占める比重は10番目前後)。

また市場予想を下回る米雇用統計を受け、FRBが利上げに動く可能性が後退し、金利動向に敏感なハイテク銘柄が買われた側面もあるだろう。実際米雇用統計発表を受けたCMEフェドウォッチツールでの2026年9月の金利政策確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):55.6%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):44.4%

と、冒頭に示した前日の利上げ有力から、据え置き有力に変わっている。

米国10年債

米雇用統計が発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCDT(米国中部夏時間)では7:30。

市場予想を下回る米雇用統計を受け前日比1.25%程度まで利回りが低下。ただその後は徐々に利回りは上昇し、結局前日比0.2%程度の利回り低下で取引を終えている。9月FOMCでの利上げ確率は後退したが、翌10月FOMCでの利上げが有力視されていることが利回りが大きく低下しなかった理由かもしれない。

ドル円為替

米雇用統計が発表された米東部夏時間8:30は上記ドル円チャートのGMT+1の13:30。

米雇用統計発表前には1ドル=158.3円台での推移が続いていたが、発表を受けて1ドル=156円台へと急激にドル安に。その後はリバウンドし、方向感に乏しく変動幅も大きいながらも1ドル=157.74円で週の取引を終えている。

やはり米雇用統計で雇用者数が予想に反して減少したことを受け、米景気の先行きへの懸念が強まり、FRBによる利上げ観測が後退したことが大きくドル円為替が変動した要因だろう。ただその後の動きを見ると、未だ円安圧力は根強いのかもしれない。


まとめ

以上、2026年8月7日発表の2026年7月米雇用統計と市場の動きについてまとめてみた。

市場予想では8万人増だった非農業部門雇用者数が2万3000人減と市場予想を大きく下回ったのは大きなサプライズ。ただそのサプライズにもかかわらず、市場自体は冷静な反応をしており、総じて大きな変動はなかった。9月FOMCでの利上げ観測は後退したものの、年内利上げの基本路線に大きな変化はない(CMEのフェドウォッチツールでは年内利上げ確率は77%)との見方が根強いことが大きな変動がなかった要因だろうか。

予想外に低調だった今回の米雇用統計を受けて、注目されるのは8月12日発表予定の米消費者物価指数(CPI)、8月26日発表予定の米個人消費支出(PCE)。これらでインフレ圧力が強い結果が示されると、雇用創出のための利下げ、インフレ緩和のための利上げ、という基本的な判断が更に難しくなってくる。

また8月末に行われるジャクソンホール経済シンポジウム(Jackson Hole Economic Policy Symposium)でFRBウォーシュ議長がどの様な発言を行うかにも注目。過去はここでのFRB議長の発言により市場が大きく変動することもあったので、経済指標と同様に注意しておきたい。

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