GEヘルスケア2026年第2四半期決算(2026/7)

はじめに

2026年7月29日(水)には自分の所有銘柄であるGEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)の2026年第2四半期決算発表があった。

前回2026年4月の2026年第1四半期決算では売上高は市場予想を上回ったものの、調整後EPSは市場予想に届かず、インフレによる2億5000万ドルのコスト圧力を明らかにし、通期見通しを引き下げたことが市場に嫌忌され13.16%の急落。その際には

「今後のGEヘルスケア株だが、決算前も市場が上昇基調にある中で冴えない動きだったこと、そして今回決算でインフレコスト増2億5000万ドルとして通期見通しを引き下げたことでの急落を考えると、しばらく株価には期待できないだろう。決算翌日、翌々日に下げ幅を拡大していないので悪材料が株価に織り込まれたことを願いたいが、更なる下落の可能性も頭に入れておきたい。」

と期待できない旨を書いており、実際その後の株価は低迷に終始していた印象がある。

今回のGEヘルスケアの決算とそれを受けての株価はどうだったのか。以下内容を確認し、整理しておく。


GEヘルスケア・テクノロジーズ2026年第2四半期決算概要

以下の内容は、GEヘルスケア・テクノロジーズの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2026年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は52億9500万ドル、前年同期は50億700万ドルで前年同期比5.7%の増加
  • 2026年第2四半期の希薄化一株あたり利益(Diluted EPS)は1.24ドル、前年同期は1.06ドルで前年同期比16.5%の増加

  • 2026年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は1.13ドル、前年同期は1.06ドルで前年同期比6.6%の増加

  • 2026年第2四半期のフリーキャッシュフローは6800万ドル、前年同期は700万ドルで835.5%の増加

2026年通期見通し

2026年の通期見通しは以下の通り。

  • 既存事業売上成長率(Organic Revenue Growth):3.0~4.0%(前回と変わらず)
  • Adjusted EBITマージン:15.4~15.7%(前回と変わらず)
  • Adjusted ETR(Effective Tax Rate):20.0~21.0%(前回と変わらず)
  • Adjusted EPS:4.80~5.00ドル(前回と変わらず)
  • Free cash flow:16億ドル(前回と変わらず)

見通しに際しての前提

  • 設備投資環境の堅調さを反映
  • 中国での売上高は引き続き前年割れを予想
  • 世界的なメモリチップ不足による売上高への重大な影響はなし
  • 現行の為替レートに基づき、売上高に対して約50ベーシスポイント(bps)の為替好影響
  • 約2億5000万ドルのコスト増を見込む一方、価格改定やコスト削減策によりその影響の半分以上を相殺できる見通し

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 2026年第2四半期
    • 受注は11%増加し、受注残高は前年同期比26億ドル増と好調で、受注残高対売上高比率は1.15倍といずれも過去最高水準
    • 3つの事業セグメントすべて、また地域を問わず、エンドマーケットの需要は堅調
    • 当社の営業組織における大幅な変更と、AIを活用した多くの新イノベーションの進展により、競争力が強化され、成果を上げている
    • パイプラインから複数の新製品を発売しており、今後もさらに発売予定
    • サービス事業も引き続き好調で、継続的な収益基盤を強化し、顧客にとっての価値を高めている
    • 当四半期の売上高成長は、医薬品診断と高度画像ソリューションの好調さによって牽引され、患者ケアソリューションの業績は引き続き厳しい状況だった
    • 当四半期の調整後EPSは1.13ドルで、前年同期比6.6%増
      • 調整後EPSは、関税還付金0.04ドルと税率低下による0.02ドルの恩恵を受けたが、これらの貢献を調整しても当社の予想を上回った
    • 当四半期のフリーキャッシュフローは6800万ドルで、これには1億700万ドルの関税還付金が含まれている
  • マージン実績の詳細について
    • 調整後EBITマージンは14.2%で、前年同期比40ベーシスポイント低下
    • 前年同期比のマージンは、PCSの厳しい四半期に加え、メモリチップ、石油、運賃、その他の部品によるインフレコストの増加によってマイナスの影響を受けた
    • これらの課題にもかかわらず、強力な営業活動及び事業の着実な推進により販売量は伸びた
    • 改善活動は第2四半期に定着し始め、事業への投資を継続しても、下半期と2027年には利益率にさらに大きく貢献すると見込んでいる
  • 通期見通しについて
    • 当社の事業の勢いは良好で、健全な最終市場の需要と継続的な商業的実行を反映しており、通期見通しに自信を持っている
  • 質疑応答
    • 第2四半期の受注好調の要因について
      • 今四半期の受注実績には大変満足しており、11%というのは素晴らしい数字だと思う
      • 下半期に入ってもその点では手応えを感じており当社のガイダンスに沿っていると考えている
      • 特に単発的な案件や新規事業があったわけではなく、主に既存ポートフォリオの事業における現場レベルでのチームの優れた実行力によるものであり、加えていくつかの新製品が成果に貢献した
    • 上半期の業績を踏まえての通期見通しについて
      • 過去数年間、売上高の約48%が上半期、52%が下半期となっている
      • 利益は下半期が約55%、上半期が約45%
      • 2026年の見通しも、基本的にこの過去の傾向と一致している
      • 下半期の成長を支える要因としては、PCSの安定化、Flyrcadoの成長、放射性医薬品の成長などが挙げられ、現時点では非常に確信を持っている
      • 重要なのは、第2四半期に実施した価格とコストに関する施策が下半期まで継続し、上半期から下半期にかけて300ベーシスポイント以上の成長をもたらすだろうこと
      • また、今後投入される高利益率の新製品が、下半期に向けて製品構成を大きく改善してくれるだろう
    • 好調だった医薬品診断事業(Flyrcade)について
      • 特に造影剤が好調で、放射性医薬品の幅広い分野でも好調だった
      • これは現在見られる多くのトレンドとまさに一致しており、以前にも説明したが、この事業は1桁台後半の成長が見込まれる
      • Flyrcadoはその分野における当社の主力製品であり、進捗状況には満足しているが、もちろんすべてが直線的に進むわけではないだろう。ただ2028年までに年間5億ドルという長期的な目標には自信を持っている
    • 新製品/イノベーションが好調な受注を牽引している主な要因なのか
      • 新製品のおかげで多少の成長はあったが、すべての製品の中では20%未満
      • 本当に牽引したのはコア製品ラインの幅広さであり、価格をある程度引き上げることができた非常に優れた製品があり、さらにコスト面でより有利な新製品があったことが反映されている
      • また顧客の前で実際に実行力を向上させ、他社ではなく当社を選ぶ理由を説明し、顧客の問題に焦点を当て、当社の製品を組み合わせて問題を解決する方法を提示する能力が、変化の要因の一つだと思う
    • 中期的目標達成について
      • 中期的な見通しを左右するのは以下の2つの要素と考えていた
        • 1つ目はイノベーションサイクルの実現と、それを推進していく商業化の実行
        • 2つ目は我々が「Heartbeat」と呼んでいるオペレーティングシステムの導入
      • どちらも既に導入され、非常に強固な基盤となっており、中期目標に関して現状にかなり強気な見方をしている
    • インフレが利益率に与える影響について
      • 年初は非常に不安定なマクロ経済環境だった
        • メモリーチップ問題があり、中東での戦争が物流や貨物輸送、特定の金属に影響を与えた
      • 前四半期には、ガイダンスを調整するアプローチを取らざるを得なかったが、それ以降は概ね予想通りに推移している
      • メモリーチップ問題は引き続き増加しているが、その増加幅ははるかに緩やかとなっている
      • 原油価格は依然として高水準だが、以前のピークからはやや下がっている
      • 我々が通期見通しにまとめた2億5000万ドルのコスト影響想定は、多少の余裕を持たせたものであり、現在の状況では依然として適切な金額と考えている
      • 2四半期のインフレ率は約120ベーシスポイントの逆風となり、これは我々の予想通りだった
      • 最も重要な点は、このグロスインフレと並行して、コストと価格の両面でそれを相殺するための一連のメカニズムを導入したことで、これらの取り組みはどちらも非常に順調に進んでおり、今年後半だけでなく2027年までの成長を支えるものとなるだろう
    • PCS事業における今四半期の業績悪化について
      • PCSの明るい兆しは、特にモニタリング分野で注文が伸びたことで、ここ数ヶ月はこの水準に達していなかった
      • これは第2四半期に営業組織を再編成したことと、いくつかの新製品に大きく関係している
      • 現実には、第2四半期には重要なコンポーネントの供給不足などの運用上の課題があり、特定の注文を履行できないという結果に終わった
      • 現時点では、チームが新たに重点的に取り組んでいることで、これらの課題を解決し、改善できると確信している
      • 最終的には、サプライチェーンを強化し、一貫性のある供給体制を確立することが重要で、下半期には、四半期ごとに、売上高と利益の両方で改善が見られると予想している
      • とはいえ競合する事業の地理的な構造、全体的なSG&Aレベルの構造を踏まえ、この事業を他の誰かに任せた方が良いのかという極端なものも含め、複数の選択肢を検討している
      • 今後数四半期にわたって、事業の改善に取り組みながら、同時にこれらの選択肢を検討していく
      • 適切なレベルのM&Aや小規模な買収は、この事業の成長を継続させる上で非常に有効だと考えており、キャッシュバックや自社株買いなど、他にも様々な施策を実施してきた。おそらく、あらゆることと同様に、単一の施策ではなく、時期に応じた適切な組み合わせが重要になるだろう
    • EPSガイダンスを引き上げなかった理由について
      • まだ年の半分が過ぎた時点であり、原油価格やチップ価格に関連する複数のコスト項目が変動しているため、現状維持が妥当だと考えた
      • もちろん、これらのコストが低い水準にとどまれば、ガイダンスには上振れ余地があると考えているが、現時点では現状維持が妥当だと判断した
    • 中国の現状について
      • 中国の状況は常に変化し続けているが、我々から見れば、そうした変化や進展は決して新しいものでも、我々の予想の範囲を逸脱するようなものでもない
      • 第2四半期の中国での業績は期待通りで満足しており、直近の四半期も順調に進んでいる
      • 2026年も前年比で減少傾向が続くと想定し続けるのが賢明だと考えているが、これは私たちの計画に組み込んでいる内容であり変更はない
    • 来年のメモリコストの上昇の可能性や原油価格の変動への対策について
      • 簡単に言うと、市場の変化を相殺できるだけの適切な価格設定ができるようにする必要があるということ
      • 今年実施した戦略、特にコスト管理とインフレを相殺するための価格設定は、確かにタイムラグがあり、第2四半期にはそれが確認されたが、そのタイムラグは第3四半期、第4四半期、そして来年までずっとプラスに作用すると考えている

市場予測との比較

  • 2026年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は52億9500万ドル、市場予想の52億6400万ドルを上回っている
  • 2026年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は1.13ドル、市場予想の1.04ドルを上回っている

まとめ

上記の様な決算を受けてGEヘルスケアの株価は

前日比12.15%の大幅上昇。同日の米国市場が

米国市場開場前にトランプ大統領がFOXニュースとのインタビューで「(イランを)激しく攻撃するつもりだ」などと発言したことで下落し、更にFOMC後のウォーシュ議長の会見が進むにつれて下げ幅を拡大していたのと比べると、GEヘルスケア株の上昇幅は急騰といっても差し支えないレベル。

売上、EPSは市場予想を上回ったものの通期見通しは据え置いたことを考えると、これ程の上昇をするとは思えないのだが、カンファレンスコールで業績が振るわないPCS事業の売却可能性を否定しなかったことが材料視されたのかもしれない。

決算後数日を含めた年初来のGEヘルスケアの株価推移を市場(S&P 500)と比べると

前四半期決算以降は冒頭に書いた印象の通り低迷が続いていたのだが、今回決算を受けての大幅上昇で第1四半期決算発表前の水準まで株価を戻している。決算後2営業日続落となったが、その後は概ね市場なりの動きとなって、第2四半期決算後の株価とほぼ同程度。

今後のGEヘルスケア株だが、今回決算を受けて大きく上昇した後に2営業日続落したものの、その後数日は市場なりの動きとなり決算での上昇分を消す様な事態にはなっていないことを考えると、前回四半期決算から今回決算前までの株価低迷時期は脱出したかもしれない。とはいえ明確な上昇傾向の兆しが決算後の株価の動きから見れらたわけではないので、この株価水準を維持できるかどうかがポイントになるだろう。またカンファレンスコールで言及された売却も含めたPCS事業に関するアップデート次第では、大きな株価変動の可能性もあると思われるのでその点にも注目しておきたい。

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