はじめに
2026年7月30日(木)には自分が所有しているアルトリア・グループ(MO)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年4月の2026年第1四半期決算では売上、EPSが市場予想を上回り、旧来のタバコ製品出荷量の減少ペースが落ちたことも評価されてか6.52%の大幅上層。その際には
「今後のアルトリア株だが、今回決算で大きく上昇して年初来25%を超える上昇となってはいるものの、今後も同様なパフォーマンスとなるかは個人的には疑問。やはり旧来のタバコ製品が売上、利益に占める割合が大きいままなのがどうしても気にかかる。係争中の電子タバコNJOYが業績に貢献するようになってくれればいいのだが。」
とそれ程期待は抱かない旨を書いていた。
実際その後は5月半ばまでは概ね上昇傾向となったが、それ以降は上下動が激しく方向感が定まらない株価の動きが続き、全体的にはやや下落傾向となっていた印象がある。
以下、今回の決算結果及びそれを受けてのアルトリア株はどうだったのかを確認し整理しておく。
アルトリア・グループ2026年第2四半期決算概要
以下の内容はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の売上高(Net Revenues)は61億1100万ドル、前年同期比0.1%増
- 2026年第2四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は53億5600万ドル、前年同期比1.2%増
- 2026年第2四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.48ドル、前年同期比2.8%増

- 2026年第2四半期のタバコ製品の出荷量は前年同期比2.9%の減少

- 2026年第2四半期の売上高(Net Revenues)に占める割合
- タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):88.23%
- オーラルタバコ製品(嗅ぎタバコなど):11.67%
- その他:0.1%

- 2026年第2四半期の営業損益(Operating Companies Income(Loss))に占める割合
- タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):90.63%
- オーラルタバコ製品(嗅ぎタバコなど):11.74%
- その他:‐2.37%

オーラルタバコ製品の売上、営業損益が前年同期に比べ減少(売上は5.3%減、営業損益は23.5%減)しているが、これは2025年の販売量がプロモーションのタイミングと競合他社の供給混乱の恩恵を受けたことが主な要因としている。
2026年通期見通し
2026年通期の見通しは以下の通り。

- 2026通期の調整済希薄化後EPS(Adjusted Diluted EPS)見通し:5.61~5.72ドル(前回の5.56~5.72ドルから下限を上方修正)
- 2025年実績(5.42ドル)比成長率:3.5%~5.5%(前回は2.5%~5.5%)
この絞り込まれたガイダンス範囲には、紙巻タバコの輸出入から得られる利益が、上半期よりも下半期において大きくなるという見通しが引き続き反映されている。
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 第2四半期ハイライト
- 年初に概説した優先事項を着実に実行し、無煙タバコ製品ポートフォリオの拡大、従来のタバコ事業の強化、株主への大幅な利益還元を実現した
- 無煙タバコ分野では、Helix! PLUSを全国12万店舗に拡大し、試用促進活動に取り組み、今年後半に予定されているさらなる製品ライン拡張の準備を進めている
- 喫煙製品分野では、PM USAはデータに基づいたポートフォリオ全体のアプローチを推進して収益性の向上を図り、マルボロ・カウボーイカットは高級喫煙者の間で強い関心を集め、ベーシックはディスカウント市場で引き続き好調な売れ行きを見せた
- 上半期は好調な業績を達成し、調整後希薄化後1株当たり利益は4.9%増加、配当と自社株買いを合わせて約39億ドルを株主に還元した
- この業績は、着実かつ規律ある事業遂行と通期計画への自信を反映したものであり、これにより通期業績見通しを絞り込むことができた
- 年初に概説した優先事項を着実に実行し、無煙タバコ製品ポートフォリオの拡大、従来のタバコ事業の強化、株主への大幅な利益還元を実現した
- on!の第2四半期および上半期の業績について
- on!のニコチンパウチは、口腔用タバコカテゴリーの販売量増加を牽引し続けており、過去6ヶ月間で6%増加したと推定
- 第2四半期には、ニコチンパウチのシェアは8.1ポイント増加し、現在では口腔用タバコカテゴリー全体の約60%を占めている
- 第2四半期on! の出荷量は4990万缶で、前年同期比4.2%減となった。これは販売在庫の変動によるもの
- 年初来ではon! の出荷量は5.1%増加し、これは全国展開後のon! PLUSの初期効果を反映している
- 第2四半期にon! の小売市場シェアはon! PLUSの導入効果により8.6%に達し、前期比0.8ポイント、前年同期比0.3ポイント上昇
- 初期データによると、on! PLUSはon!の既存顧客と競合するニコチンパウチの顧客の両方に受け入れられ、ブランドの販売量と市場シェアの拡大に貢献していることが示唆されている
- ニコチンパウチ市場における競争は激化しており、競合他社は新製品や新フレーバーを次々と市場に投入しており、Helixは差別化された製品体験と拡大し続ける製品ポートフォリオでこの状況に対応している
- 最近のFDAの措置
- FDAは最近、特定の電子タバコおよびニコチンパウチ製品に対する執行の優先順位を更新(販売承認(PMTA)をまだ取得していない電子タバコやニコチンパウチであっても、「申請書が受理され、現在審査中」である製品については、原則として販売差し止めなどの摘発・取り締まりを優先しない方針)しており、当社はこれを規制の明確性と透明性の向上に向けた前向きな一歩と捉えている
- これは正式な承認の必要性をなくすものではないが、FDAの審査が進んでいる製品は、規制当局の監視を完全に回避している製品とは異なる扱いを受けるべきであることを認識している
- Helixにとって、このガイダンスは今後の製品発売における規制上の明確性をもたらし、昨年取得したon! PLUSの承認によって将来の製品ライン拡張のための追加PMTA経路が迅速化される可能性が高まるため、Helixの強力な立場をさらに強化するものと考えている
- 電子タバコ市場の動向
- 連邦政府および州政府機関がより強力な法執行に取り組む姿勢を示しているという心強い兆候も引き続き見られる
- 当四半期には、総額2億5000万ドルを超える違法製品の連邦当局による継続的な押収、ミネソタ州司法長官による大手違法電子タバコメーカーに対する訴訟、そして主要な商取引・決済プラットフォームによる違法電子タバコ販売の制限措置などがみられた
- 違法なフレーバー付き使い捨て製品は依然として広く流通しているが、第2四半期も成長鈍化の兆候が続き、消費者データにもその影響が現れ始めている
- 6月末時点で成人の電子タバコ使用者は約2000万人と推定され前年比ほぼ横ばい、使い捨て電子タバコの消費者数はわずかに減少したと推定される
- これらの傾向を総合すると、この分野の違法取引に起因する成長軌道は、過去数年間に見られた成長から鈍化し始めていることが示唆されている
- タバコ製品販売量
- 喫煙可能なタバコの販売量の減少は当四半期を通して緩やかに推移し、第2四半期に3.2%、上半期に2.8%減少。貿易在庫の変動を調整すると、国内タバコ販売量は第2四半期に推定4.5%、上半期に推定4%減少した
- 業界レベルでは、同じ要因で調整した場合、国内のタバコ販売量は第2四半期と上半期ともに5%減少したと推定され、タバコ業界の減少幅は4四半期連続で緩やかになった
- この傾向は主にタバコと違法なフレーバー付き使い捨て電子タバコ製品間のカテゴリー間移動の減少によってもたらされたと推定される
- 財務関連
- 上半期には約36億ドルの配当金を支払い、3億3500万ドルで530万株の自社株買いを実施
- 第2四半期末時点で、年末に期限を迎える自社株買いプログラム残高は6億6500万ドル
- バランスシートは引き続き健全で、6月30日時点の負債対EBITDA比率は1.9倍、目標とする約2倍の範囲内
- 通期見通し関連
- 輸入タバコにかかる税金と関税の還付額は、タイミング要因により当四半期は前期比横ばいだったが、輸出量とそれに伴う税金還付額は下半期に増加し、第3四半期と第4四半期にかけてよりバランスの取れた恩恵が得られると引き続き予想
- 質疑応答
- 通期見通しの下限を引き上げたが、下限は好調な上半期の実績を下回っている点についての詳細
- 消費者は依然としてプレッシャーにさらされている。ガソリン価格とインフレは依然として高止まりしている
- 上半期の業績には非常に満足しているが、展開は年初の予想とは少し異なってており、下半期に入るにあたり消費者の財務状況を注視していくことが重要だと考えている
- 緩和傾向にあるタバコ販売量減少の要因及びこの傾向は今後も続くかどうか
- 業界全体の販売量減少という観点では、長期的な減少傾向、価格弾力性、そして横断的なマクロ経済状況が複雑に関係している
- 高水準かつ持続的なインフレ、高騰したガソリン価格が続いており、タバコ分野ではディスカウントカテゴリーの成長が見られ、これは消費者がダウングレードを選択していることを示している
- そのためプレミアムカテゴリーからディスカウントカテゴリーへ移動が全体の販売量減少を緩和していると思われるが、今後状況がカテゴリー間の動きにどのような影響を与えるかを見守る必要がある
- 主力であるマールボロの業績(ディスカウントカテゴリーの成長含む)について
- 収益性の高いプレミアムセグメントで非常に安定した業績を維持していることに非常に満足
- ディスカウントにおける我々の戦略は、ディスカウントに参加することであり、必ずしもディスカウントカテゴリーの成長を加速させることではない
- このカテゴリーの成長は、困難な経済状況下で消費者がより低い価格帯の商品に切り替えるという決定によって推進されていると考えている
- プレミアムは依然として収益性の大部分を占めるカテゴリーまたはセグメントであり、(マールボロ販売を担う)PM USAは引き続きそこに注力いく
- 全国展開したにもかかわらず、販売量が大幅に増加してはいない「on!」事業について
- 確かに第2四半期には比較対象となる前年同期に主要な競合他社がサプライチェーンの混乱に見舞われたためプロモーション活動により販売量が増加したため出荷量は前年比で減少した
- 一方で冒頭に説明した通りon! PLUSの販売によりシェアは前期比0.8%増加している
- 消費者からのフィードバックも好評であり、第3四半期に高濃度の12mg製品を全国展開できること、第4四半期にはこのカテゴリーでは重要なフレーバーを拡充して展開てきるであることをを嬉しく思っている
- 下半期以降、ディスカウントとプレミアムのポートフォリオ構成について
- 戦略的な観点から我々が目指しているのは、長期的に収益性を最大化することであり、ポートフォリオ全体でそれを一貫して行っている
- 消費者が依然としてプレッシャーにさらされていることは承知しており、彼らをマールボロファミリーに留めておくために、時折、プレッシャーにさらされているプレミアム消費者に価値を提供していく(今年投入したマールボロ・カウボーイカットの様に)
- 電子タバコ製品の発売について
- 先程も述べたようにFDAの最近のガイダンスは建設的だと考えている
- ご記憶のとおり、NJOY ACEは、ITCに提出された4件の特許に関連して市場から撤退しているが、当社はこれらの製品を改良し、もはや特許を侵害していない。米国税関・国境警備局もこの見解に同意している
- 当社は補足的なPMTAを提出しており、NJOY ACEでいずれ市場に再参入する予定で製品やデザインが固まったら、FDAの承認申請に向けて最適な方法を検討していく
- 通期見通しの下限を引き上げたが、下限は好調な上半期の実績を下回っている点についての詳細
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は53億5600万ドル、市場予想の53億6200万ドルを下回っている
- 2026年第2四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.48ドル、市場予想の1.50ドルを下回っている
- 修正された最新の2026通期の調整済希薄化後EPS(Adjusted Diluted EPS)見通しは5.61~5.72ドル(中間値5.665ドル)、市場予想の5.69ドルよりも中間値は下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてアルトリア・グループの株価は

前日比9.32%の大幅下落。同日の米国市場が

マイクロソフト(MSFT)がAIインフラへの巨額投資を巡る懸念を和らげる好調な見通しを示したことがAIへの懸念をやわらげ、市場全体が大きく上昇していたのと比べると急落といって差し支えない。売上、EPSが市場予想を下回り、下限を引き上げた通期見通しも中間値が市場予想に届かなかったことが市場の失望を誘ったのだろう。
決算後数日を含めた年初来のアルトリア株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回四半期決算以降は冒頭に書いた印象とはやや異なり、今回決算前までは方向感がなく大きな上下動を繰り返したものの、最終的にはほぼ前回四半期決算と同水準の株価。そして今回決算で大きく下落して、決算後数日を経過しても市場の上昇にかかわらず横ばいでの推移が続いている。
今後のアルトリア株だが、今回の決算内容とそれを受けての大幅下落を考えると期待は出来ないだろう。ただ決算後数日が経過しても続落することなく、横ばい水準が続いているのが救いではある。何とか現在の株価水準に踏みとどまり、次回決算で何らかの株価上昇の兆しがあることを願いたい。