はじめに
本日2021年5月28日に昨日の自分のポートフォリオ銘柄を確認したところ、ゼネラル・エレクトリック(GE)が
前日比7.09%の大幅上昇となっていた。
理由を調べてみるといくつかの発表、情報がこの日のGE株上昇に寄与したようだ。以下それらについて整理・確認しておくことにする。
2021年5月27日のGE株7%超上昇の要因
5月27日のGE株上昇要因を調べる前に、まず過去5日間の株価を確認してみる。
27日の上昇が急すぎるので分かりにくいが、前日の26日も右肩上がりで上昇しており前日比2.13%の上昇だったことが目に付く。これも念頭に置きつつ27日のGE株上昇要因について調べてみたところ、以下の様な要因がGE株の上昇に寄与したと考えられる。
GE Renewable Energy(再生可能エネルギー)の契約獲得
GEのRenewable Energy部門は5月26、27日の2日間で3件の契約獲得を発表している。
【5月27日】
ベトナムのBIM Energy HoldingとフィリピンのAC Energyの合弁会社であるBIM Wind JSCとの契約でベトナムの風力発電所にGEのCypress onshore turbinesを供給。15年間のフルサービスの運用および保守契約。風力発電所は2021年の第3四半期末までに稼働を開始する予定
【5月26日】
フィンランドの風力発電所に16基の5.5 MW-158 Cypress turbinesを供給。30年間のフルサービス契約。複数企業による共同プロジェクト
オーストリア最大の電力生産者VERBUNDに対し、海抜2300メートルにあるCarinthiaのReisseckII揚水発電所(Pumped Hydro Storage Power Plant)の拡張用に45MWの発電機を1台供給
いずれも金額規模は明らかにされていないが、5月27日に発表された契約が一番大きそうではある。金額規模が明らかではないので株価にどれほどの影響があったかの判断は難しいのだが、26日にも2%程度上昇していることを考えるとある程度はGE株価の上昇要因となったのだろう。
ボーイング(BA)に関する報道
昨日は同じく自分が保有しているボーイング株も
3.87%と大きく上昇。
昨日のボーイング株上昇は以下の2点が27日にあったことが大きいと思われる。
- 同業他社のAirbusが強気な生産見通しが報道されたことによる連想買い
- A320シリーズジェット(主力機)の生産を2年以内にパンデミック前の水準以上に
- 2023年第2四半期までに生産数を月間64機に引き上げる意向をサプライヤーに伝えた
- 2024年に月間70機、2025年までに75機まで拡大する可能性
- ボーイング737のトップ顧客であるサウスウエスト航空(LUV)が、米国内の航空ルートを拡大するため、最大500機の新しい航空機が必要になる可能性が報道
- ダラスモーニングニュースがサウスウエスト航空最高経営責任者(CEO) Gary Kelly氏にインタビュー
- (COVID時期に削減した)航空ネットワークを復元するには、さらに多くの飛行機を購入する必要があります
- 私たちは(737以外の)別の飛行機についてはまったく考えていません
GEの航空機部門(GE Aviation)はこれまでにも書いてきたが、ボーイングにエンジン及びサービスを供給しておりかつ利益率が高いので、ボーイングの業績・株価が改善するとGE株も上昇するケースが多い。
個人的にはこのボーイング株上昇が昨日のGE株7%超上昇で一番の要因ではないかと思っている。
GEの第2四半期キャッシュフローが前年と比べ小幅な純流出
正直に言うとGEの情報を調べてこれが最初に目が付き、昨日のGE株上昇の原因はこれだろうと思っていたのだが、これは現地時間の15:20~15:50のイベントで言及された内容だったようで、上の昨日のGE株の動きから判るように限定的な影響。
以下はWolfe Research Transportation and Industrials Conferenceにおける最高財務責任者(CFO)Carolina Dybeck Happe氏の発言要旨。
- 第2四半期のキャッシュフローは前年同期よりも小幅な純流出にとどまり改善が続く
- キャッシュフローは第1四半期と同レベルの改善を示す見込み
具体的な金額には言及されず、元々市場予想(Refinitiveまとめ)で前年同期が21億ドルの純流出だった第2四半期キャッシュフローのアナリスト予想は7億4600万ドルの純流出となっているので、市場の予想範囲内に留まっている。
まとめ
昨日のGE株上昇の要因について調べてみた。これが最も影響を与えたという情報の判断は難しいが、時間的に見てキャッシュフロー以外の再生可能エネルギー関連とボーイング株(すなわちGEの航空機部門)の複合効果で7%超の上昇という結果になった気がする(個人的にはボーイング/GE Aviationが大きいとは思うが)。
また、いみじくも昨日
エクソンの委任状争奪戦暫定結果と気候変動対策関連(2021/5)
でエクソンが気候変動対策に更に力を入れていかなければならないことに触れた次の日に、GEが再生可能エネルギーの契約を獲得し、株価も上昇したことは興味深い。GEが世界的な気候変動対策の流れに乗って長い目で見て市場シェアを拡大することができれば、と期待してしまう(過度な期待は禁物だが)。
ひと月前の4月27日の第1四半期決算発表で株価を下げその後は以下の様に概ね市場なり(青線はS&P 500)の株価変動だったが、
年初来で見ると
昨日の株価は年初来最高値となっている。今後この2日で上昇した株価レベルを維持できるかどうかを注目しておきたい。