P&G(PG)2026年第4四半期決算内容(2026/7)

はじめに

現地時間2026年7月29日(水)には自分の保有しているプロクター・アンド・ギャンブル(PG)の2026年第4四半期決算発表があった。

PGの四半期決算期間は4~6月と他の多くの米企業と同じだが、期の違いにより2026年第4四半期(他の多くは2026年第2四半期)となっている点には注意。

前回2026年4月の決算では2027年度には原油価格上昇による税引き後10億ドルのコスト影響が出る見通しとしたが、市場予想を上回る売上、EPSの方が評価されたのか2.46%の上昇。その際には

「今後のP&G株だが、今回の決算を受けて決算前までのほぼ横ばいから上昇に転じることが出来るかがポイントだろう。好調な四半期決算ではあったものの2027会計年度(P&Gは2026年7月から2027会計年度)の原油価格高騰による10億ドルの税引き後コストとしている点が気になるところ。元々あまり大きく上昇する銘柄ではないので市場と同程度のパフォーマンスを維持してくれれば有難いところだが、どうなるだろうか。」

と書いていた。

今回の決算結果及びそれを受けてP&G株がどうだったのかついて以下に確認・整理しておく。


P&G2026年第4四半期決算概要

以下は、プロクター・アンド・ギャンブルの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2026年第4四半期の総売上高(Net Sales)は212億300万ドル、前年同期は208億8900万ドルで前年同期比2%の増加
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースの中核事業一株当たり利益(Non-GAAP Core EPS)は1.43ドル、前年同期は1.48ドルで前年同期比3%の減少

2026年第4四半期の主な結果は以下の通り。

Adjusted Free Cash Flow Productivity以外は全て前四半期より減少。

2027年通期見通し

FY2027の見通しは以下の通り。

  • Organic Sales Growth(既存事業売上成長率):1%~3%
  • Net Sales Growth(総売上成長率):1%~3%
  • Core EPS Growth(中核事業EPS成長率):0%~3%(2026年の6.89ドルをベースにすると6.89~7.11ドル)
  • All-in EPS Growth(全EPS成長率):1%~5%
  • Currency Neutral Core EPS Growth(恒常為替ベース中核事業EPS成長率):0%~3%
  • Core Effective Tax Rate(中核事業実効税率):20%
  • Adjusted Free Cash Flow Productivity(調整後FCF生産性):85%~90%
  • Capital Spending, % Sales(設備投資、売上に対する割合):4.5~5.5%
  • Dividends(配当):100億ドル
  • Direct Share Repurchase(直接自社株買い戻し):50億ドル

上記見通しには以下の潜在的な逆風は含まれていない。

  • 市場成長率の大幅な減速
  • 大幅な通貨安
  • 大幅な商品コストの上昇
  • さらなる地政学的混乱
  • サプライチェーンの大規模な混乱または店舗閉鎖
  • 大幅な関税変更

その他

その他決算発表資料とアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 今朝発表したようにJon Moeller執行会長が7月31日付で取締役会を8月14日付でプロクター・アンド・ギャンブル社から退任し、現社長兼最高経営責任者(CEO)のShailesh Jejurikar氏が8月1日から執行会長も兼務する
  • 2026年度について
    • 予想外の逆風にもかかわらず、コア目標を達成
    • 非常に変動の激しい環境を乗り切り、当初のガイダンスの範囲内で、既存事業売上高、コアEPS、株主へのキャッシュリターンを実現
    • インフレ率の上昇に伴い基調的な市場成長がやや鈍化したにもかかわらず、下半期には市場シェアも改善しており、来年にはこうした好調な傾向をさらに発展させていく
  • 第4四半期について
    • 前期比では世界的なシェアの動向が改善したが、主要な業績は米国の貿易動向と投入コストの急騰の影響を受けた
    • 成長軌道はこれまでも、そしてこれからも、四半期ごとに直線的ではない
    • 既存事業売上は前年同期比2%増加
    • コアEPSは1.43ドルで、前年比3%減。為替変動の影響を除いたベースでは、コアEPSは5%減少
    • 替変動の影響を除いたコア営業利益率は130ベーシスポイント減少
    • 配当金26億ドル、自社株買い約9億ドルを通じて株主に還元
  • 2027年通期見通し
    • コスト、通貨、消費者、競合他社、小売業者、地政学的動向など、当社を取り巻く環境は引き続き不安定で厳しい状況が続くと予想
    • 2027年度の当社の見通しは、こうした現在の市場状況を慎重に反映したものと考えている
    • なお見通しには、ブランド、製品形態、市場開拓戦略の再構築による30~50ベーシスポイントの逆風が含まれている
    • また見通しには、中東紛争に起因する原材料、エネルギー輸送コスト、その他のプレミアムの上昇による税引き後約10億ドルのコスト逆風が含まれており、ブレント原油の実効価格を1バレル当たり90ドルと想定している
    • 当社は通常、四半期ごとのガイダンスは提供していないが、コスト変動により、第1四半期のEPSは前年同期比で5%以上減少すると推定している
  • 質疑応答
    • 組織再編を発表してから1年以上が経過したが、組織再編において既に実施された施策と比較して、今後取り組むべき最大の分野や取り組みは何か
      • 特に新規ユーザー獲得におけるパフォーマンスなど、消費者向けサービスの回復には満足しており、これはグローバルシェアが安定し、3ヶ月間横ばいを維持していることからも明らか
      • 現在進行中の施策のいくつかは、2027会計年度の前半、つまり2026年の7月、12月に行われる予定
      • 進めている進捗状況には満足しており、消費が堅調である限り、売上が好調になると確信している
    • カンファレンス中に、進捗は直線的ではないと話されていた点について詳しく
      • 核心は、カテゴリー、国、顧客シェアの成長のマトリックスを構築し、目標達成を増やしているということ
      • 直線的に伸びるだろうか?No。来年、力強く確固たるシェア成長で終えられるという自信はあるか?Yes
    • 2027年度の見通しを評価する上で、過去数四半期最も影響が大きいと思われる北米、欧州市場について
      • 基本的な点として、北米と重点を置くヨーロッパの2つの市場では、過去12~18ヶ月で市場成長率が1~2ポイント鈍化している
      • 中核となる市場、つまり当社が大きなシェアを占め、カテゴリーの成長が鈍化すると、その影響はより大きくなる
      • 同時に今後5年間でこれら2つの市場には、はるかに大きな成長機会があると考えている
      • 今後の最大の成長機会は依然として米国とヨーロッパを中心とした市場にあると考えており、米国と欧州では、カテゴリーの成長率を高めることができるよう、イノベーション計画を修正・調整している
    • 投資/マーケティング支出の増加と見通しの関係について
      • 投資の仕組みは、事業の具体的な内容によって異なる
      • 持続的なシェア拡大、ひいてはアルゴリズム取引への回帰を実現するために必要なこれらの介入策の組み合わせは、弊社が提示した見通しに含まれている
      • 原油価格と中東情勢が想定通りに推移すれば、見通し範囲の中間値で十分だと考えている。なぜなら、弊社がコントロールできる介入策と実行によって成果が得られると確信しているから
      • 見通し範囲の不確実性は、すべて中東の原油価格と根底にある消費者の購買力に起因するもの
    • コスト削減と投資戦略について
      • 生産性向上によるコスト削減効果が今まさに現れ始めている
        • 人員削減の半分は既に実施済みで、主要な市場再編も完了。コスト面でのメリットは2027年度から現れ始めるだろう
      • 我々は事業に全力で投資を続けており、過去3~5年間のメディア支出と広告支出は増加の一途を辿っている。その支出の100%が効果的だったとは考えていないし、効果を高めるために努力していくつもり
      • コストを削減すると共に事業への投資を維持し、消費者が求める価値のバランスを提供することで、市場シェアの拡大を実現していく
    • 既存事業売上高見通し(1~3%)について詳しく
      • 基本前提は、市場で現在見られる水準である2%のカテゴリー成長率
      • その中で2%の既存事業売上高成長率を達成するには、約2.5ポイントの成長が必要となる
        • 何故なら先ほど説明した様にる市場再編による約40~50ベーシスポイントの逆風があるため
      • それを達成するには北米、ヨーロッパ両方の地域でより強い成長を達成し、これらのダイナミクスがそれほど影響を与えないようにする必要がある
    • イノベーション戦略について
      • 消費者は価値をより重視するようになっているだけでなく、それが重要な要素であると同時に、今後はブランド構築の取り組みを増幅させる要素にもなると考えているため、イノベーションに求められる水準を引き上げ続けている
    • 好調だった中国市場(今四半期の既存事業売上高は4%、年間でも4%)についてもう少し詳しく
      • 中国市場は引き続き厳しい状況にあるため、追い風を受けているわけではない
      • 最新のデータでは、市場全体としては依然として約2%のマイナス
      • これまでオフライン、つまり実店舗に重点を置いてきたが、オンライン/ソーシャルプラットフォームにも力を入れる取り組みの効果が表れてきた
      • 中国ではいくつかの分野でまだ幅広い機会があり、我々にはやるべき事がある
    • アメリカの消費者におけるガソリン価格高騰の影響について
      • 中東紛争が長引き、原油価格が上昇し、ガソリン価格が高止まりし、インフレが進むと、長期的に消費者心理に影響を与えるだろうが、まだその段階には達していないと思っている
      • ただその事態も想定しているため、当社は見通しに幅広い範囲を設定している
    • 小売業界との関係について
      • 我々は小売パートナーとの連携方法を根本的に変えることに注力している
      • これは小売業界におけるパフォーマンスの差別化が顕著になったこと、そして従来のマーチャントパートナーシップを超えた新たな可能性が広がったことが大きな要因
      • 特に注力しているのは、マーケティングコンテンツへの需要シグナル生成を大幅に改善し、大手小売パートナー各社との購買プロセスを短縮すること
      • おそらくそれが最大の領域であり、実際に規模の大きさが有利に働く領域
      • 当然ながら、当社はその点で優れた顧客であり、当社は小売パートナーとの共同資産を活用したブランド構築と需要創出におけるパートナーシップにおいて、多くの機会と大きな進歩を見出しており、それは今後も続くだろう
      • 実際、これは長期的に見て当社に有利に働く傾向だと考えている
    • 2027年度を上半期と下半期に分けた場合
      • 当社が行っている施策は一斉に完了するものではなく、段階的に適用されていくものとして捉えており、後半にはその適用において間違いなくかなり進捗が見られるだろう
      • また事業そのものに対する施策の多くは上半期に実施されるため、下半期に入るとコスト削減の節目を迎えるとともに、売上高が継続的に改善していくと予想している

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2026年第4四半期の総売上高(Net Sales)は212億300万ドル、市場予想の213億8000万ドルを下回っている
  • 2026年第4四半期のNon-GAAPベースの中核事業一株当たり利益(Non-GAAP Core EPS)は1.43ドル、市場予想の1.41ドルを上回っている
  • 2027年のNon-GAAPベースの中核事業一株当たり利益(Non-GAAP Core EPS)見通しは6.89~7.11ドル、市場予想は7.04ドル

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてP&Gの株価は

前日比1.87%の下落。同日の米国市場が

米国市場開場前にトランプ大統領がFOXニュースとのインタビューで「(イランを)激しく攻撃するつもりだ」などと発言したことで下落し、更にFOMC後のウォーシュ議長の会見が進むにつれて下げ幅を拡大していたのと比べると、P&G株の変動は市場と同程度。売上は市場予想を下回ったが、EPSは市場を上回るというまちまちな結果だったが、2027年の中核事業一株当たり利益の中間値が市場予想に届かなかったことが下落の要因となったのだろう。

決算後数日を含めた年初来のP&G株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回2026年4月の決算以降は冒頭にポイントとして挙げていた上昇傾向とは残念ながらならず、市場がやや上昇する中、ほぼ横ばいから微上昇に留まっていた。そして迎えた今回決算では市場も下落していたがPG株も下落。そして翌日は市場は上昇したのに対して、PG株は続落したことを考えると、やはり決算に対する市場の評価は高くなかった言える。ただその後は市場の上昇傾向に助けられている側面はあるが、続落となっていない点は救いだろう。

今後のPG株だが、今回決算を受けての市場の反応、PGの2027年会計年度(つまり2026年7月から)の通期見通し中間値が市場予想に届いていないことを考えるとあまり期待は出来ないだろう。決算後数日(市場の上昇傾向に助けられている側面はあるが)持ちこたえている現在の株価を何とか維持してもらいたいが、どうなるだろうか。

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