ウォルトディズニー(DIS)2020年4Q決算(2020/11)

はじめに

2020年11月12日の米国市場閉場後に自分が所有しているウォルト・ディズニー(DIS)の2020年第4四半期決算発表があった。決算の内容も気になるが上半期停止となった配当に何らかのアップデートがあったのか。10月時点では

ディズニー(DIS)の組織再編と配当(2020/10/13)

でまとめた様にあまり配当には期待できないのだが、以下に決算の内容を整理しておく。


2020年第4四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第4四半期の売上高(Revenues)は147億700万ドル、前年同期は191億1800万ドルで前年同期比23%の減少
  • 2020年第4四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items affecting comparability)は0.20ドルの損失、前年同期は1.07ドルの利益

2020年第4四半期の各事業セグメントごとの売上(Revenues)、営業利益/損失(operating income/loss)は以下の通り。

メディア・ネットワークス部門

売上は72億1300万ドルで前年同期比11%増、営業利益は18億6400万ドルで前年同期比5%増。

ケーブルネットワークからの売上が11%増加して47億2000万ドル、放送収入が前年比10%増の24億9000万ドル。COVID-19の営業利益への影響が約5億ドルあったとしている。

テーマパーク部門

売上は25億8000万ドルで前年同期比61%減少、営業損失は10億9800万ドル。

今四半期もほとんどのテーマパークが閉鎖されていたため。COVID-19の営業利益への影響が約24億ドルあったとしている。

映画部門

売上は15億9500万ドルで前年同期比52%減、営業利益は4億1900万ドルで前年同期比61%減少。

今四半期もCOVID-19の影響で世界的に映画館の閉鎖が続いた事と、この四半期に主要な新作が配給されなかった事が影響したとしている。

ディレクト・トゥ・コンシューマー・アンド・インターナショナル部門

売上は48億5300万ドルで前年同期比41%増加、営業損失は5億8000万ドルで前年同期比23%改善。

以下はディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2020年第4四半期末有料視聴者数と月平均利用額。

【有料視聴者数(単位100万)】

ディズニー・プラスの加入者数は7370万人。前四半期は5750万人(決算発表時は6050万人)であり、今四半期も1000万人超加入者数が増加している。その他サービスも軒並み前年比プラスとなっている。

【月平均利用額】

2019年11月にDisney +、ESPN +、Huluのバンドルサブスクリプションパッケージの提供を開始しているため、HuluのLive TV + SVODを除いて前年比では月平均利用額が減少している。


配当に関して

配当については四半期決算と同日に別で以下の発表をしている。

  • The Walt Disney Company (NYSE: DIS) Board of Directors today announced that it will not declare a semi-annual cash dividend for the second half of fiscal 2020, in light of the ongoing impact of COVID-19 and the Company’s decision to prioritize investment in its direct-to-consumer initiatives.
    Walt Disney Company(NYSE:DIS)の取締役会は本日、COVID-19の継続的な影響と、DTCイニチアチブへの投資を優先するという当社の決定に照らして2020年度下半期の半期現金配当を宣言しないことを発表しました

冒頭に上げた1月前の

ディズニー(DIS)の組織再編と配当(2020/10/13)

方針と変わらず、DTC部門への投資を優先するという判断となった。想定通りとも言える。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第4四半期の売上高(Revenues)は147億700万ドル、市場予想の142億ドルを上回っている
  • 2020年第4四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items affecting comparability)は0.20ドルの損失、市場予想は0.70ドルの損失
  • 2020年第4四半期のDTC部門の営業利益は5億8000万ドルの損失、市場予想は10億ドルの損失

となっている。


まとめ

上記決算発表を受けてウォルト・ディズニーの株価は、

2.10%の上昇。同日のダウ工業平均が1.37%、S&P 500が1.36%、NASDAQが1.02%それぞれ上昇しているので、それよりは多少マシといった程度。

市場予想よりは良かったものの、まだCOVID-19の悪影響が続いており、先行きが不透明であるので仕方がないだろう。アナリストとのカンファレンスコールで最高財務責任者(CFO)のChristine McCarthy氏は、

  • As we look forward, we expect that our results in fiscal 2021 will continue to be impacted by COVID-19. Our visibility is limited and will be influenced by a number of factors, including, but not limited to, the recovery of theatrical exhibition, confidence in consumer travel and the continued resumption of live sports.
    今後2021年度の業績もCOVID-19の影響を受け続けると見込んでいます。 私たちの可視性は限られており、劇場上映の回復、消費者の旅行への信頼、スポーツの継続的な再開など、多くの要因の影響を受けます

と述べるにとどまり明確な業績への影響についての言及までは無かった。

とはいえ年初来の株価パフォーマンスを見ると、

となっており、テーマパーク、映画館の閉鎖等があった割にはそれ程悪くない。ただこれグラフを見ての通り11月10日のコロナワクチン報道に拠るところが大きい。その日のディズニー株は

15.13ドル、11.87%上昇している。この報道がなければ株価は前四半期決算発表時点とあまり変わらずだったのではないだろうか。

やはりコロナワクチン報道はあったものの、欧米のコロナ第2波に伴うロックダウン等を考えると次四半期も過度な期待は抱かない方がいい様な気がする。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。