GE分離前最後のInvestor Dayまとめ(2024/3)

はじめに

2024年3月6日、7日にには4月2日にGEが分離してできるGE Vernova(GEV)、GE Aerospace(GE)のInvestor Dayがそれぞれ行われた。

ゼネラルエレクトリック2023年第4四半期決算(2024/1)

2024年4月のGE事業分割の新株付与割合確定(2024/3)

である程度の分割後企業の情報は提示されていたが、今回のInvestor Dayで何か新しい情報はあったのか。以下に内容を確認し整理しておく。


GE分離後企業のInvestor Day

以下はGEの企業サイトより主な項目を引用・抜粋。

GE Vernova(2024年3月6日)

【事業体制】

分離前のGE決算ではPower(電力)、Renewable Energy(再生エネルギー)で報告されていたのだが、分離後はRenewable Energyが細分化されWind(風力発電)とElectrification(電化)と既存のPowerの3事業部体制となる。

【財務見通し】

2024年見通し(2023年第4四半期決算時と変わらず)

  • 売上(Revenue):340億~350億ドル
  • 調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin):一桁台半ば(上方)(MSD(higher end))
  • Free cash flow:7億~11億ドル

2025年見通し(新たに提示)

  • 売上(Revenue):一桁台半ば(MSD:Mid Single Digit)
  • 調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin):一桁台後半(下方)(HSD(Lower end))
  • Free cash flow:12億~18億ドル

2028年までの見込み(新たに提示)

  • 売上(Revenue):一桁台半ば(MSD:Mid Single Digit)
  • 調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin):10%
  • Free cash flow conversion:90~110%

【その他】

新たな3事業部ではWind事業が過去損失を計上しているのだが、質疑応答の際にGE Vernovaの最高経営責任者(CEO)Scott Strazik氏は

  • 過去2年間で約40億ドルの洋上風力発電設備の設備受注残に直面している
  • (設備受注残は)今後2年間で実質的に収益に変わるだろう。我々は現在の受注残よりも経済性や条件が改善された受注のみを増やすだろう

と風力発電の好転を見込む発言をしている。ただし2024年中の黒字化は見込まれていない。

GE Aerospace(2024年3月7日)

【事業体制】

分離前のGE決算ではGE Aerospaceで報告されていたのだが、分離後は細分化されCommercial Engines & Services(商用エンジン及びサービス)とDefense & Propulsion Technologies(防衛及び推進技術)の2事業部体制となる。

【財務見通し】

2024年見通し(2023年第4四半期決算時と変わらず)

  • 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):二桁台前半(LDD:Low Double Digits)
  • 営業利益(Operating profits):60億~65億ドル
  • Free cash flow:50億ドル超

2025年見通し(新たに提示)

  • 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):二桁台前半(LDD:Low Double Digits)
  • 営業利益(Operating profits):71億~75億ドル
  • Free cash flow conversion:100%超

2028年の見込み(新たに提示)

  • 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):一桁台後半(HSD:High Single Digit)
  • 営業利益(Operating profits):~100億ドル
  • Free cash flow conversion:~100%

【その他】

主に質疑応答におけるGE Aerospaceの最高経営責任者(CEO)Lawrence Culp氏の発言。

  • 我々はまさに需要が我々のチャレンジではない時点に来ている。そして我々の前にはかなりの滑走路があると考えている(And we think we’ve got quite a runway in front of us)
  • 2030年代まで受注残があるとすれば、やるべきことがたくさんあることはおわかりだろう。そしてそれは日々のチャレンジでもある
  • (GEの)生産能力をボーイングからエアバスに切り替えることは考えていない。ボーイングの関係はかつてないほど強くなっている(never been stronger)
  • 配当と自社株買いを通じて現金の約70~75%を株主に還元することを目指す
    • 150億ドルの自社株買い
    • 当初の配当は純利益の30%を目標

まとめ

以上3月6、7日に行われたGE Vernova(GEV)、GE Aerospace(GE)のInvestor Dayイベントから主な点を確認してみた。

3月6日、7日それぞれの米国市場とGE株が

【3月6日】

【3月7日】

となっていることからGE Vernovaの発表はそこそこ(1.04%)、GE Aerospaceの発表はかなり(4.39%)評価されたということなのだろう。

GE Vernovaは損失を計上している風力発電事業への懸念が質疑応答により多少和らいだものの目新しい発表はなかったため市場よりやや上回る程度の株価に留まり、GE Aerospaceの方は配当と自社株買いを通じて現金の約70~75%を株主に還元するという資本配分計画が新規に発表されたことが好感されて株価が大きく上昇したのだろう。

これで年初来のGE株は

と市場(S&P 500)の8.12%上昇に対し30%を超えるパフォーマンスとなっている。

2024年1月23日の2023年第4四半期決算では2024年第1四半期が2023年第4四半期と同程度とされたことでやや値を下げ、

「これまで堅調に推移していた流れが今回の四半期決算(2024年第1四半期の見込み)で変わってしまうのか、それとも今回の決算で悪材料を吸収できたのかに注目。しばらくは様子を見ていく必要があるだろう」

と書いていたのだが自分の懸念に反してその後も好調に推移している。分割後の両社ともこのペースを維持して欲しいものだが、直近の決算や今回のInvestor Dayでの株価の動きを見る鍵ではGE Vernovaの方はあまり期待できないのだろうなあ。

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