シティグループが傘下メキシコのリテール銀売却撤回(2023/5)

はじめに

2023年5月24日(水)の米国市場は相変わらず最近の米債務上限問題の不透明感から

主要3市場ともに前日比下落して終えている。

そんな中、自分の所有しているシティグループ(C)は

3%を超える市場に比べて大幅なマイナス。掲題の件が株価に影響したらしいので、以下にその内容を確認し整理しておくことにする。


2023年5月24日(水)シティ発表資料の概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

発表資料のタイトルは

  • Citi to Pursue Initial Public Offering of its Consumer, Small Business and Middle Market Banking Operations in Mexico as it Executes Strategy to Simplify Firm and Deliver Value to Shareholders
    シティ、企業を簡素化し株主に価値を提供する戦略を実行するため、メキシコで消費者、中小企業、ミドルマーケット銀行業務の新規株式公開を目指す

となっており、ハイライトとして以下の3点を挙げている。

  • CITI TO RESUME SHARE BUYBACKS THIS QUARTER
    今四半期に自社株買いを再開
  • BUSINESS WILL RETAIN BANAMEX NAME AND CONTINUE TO SERVE AS ONE OF MEXICO’S LEADING BANKING PARTNERS FOR CONSUMER, SMALL AND MID-SIZED BUSINESS OWNERS
    ビジネスはBANAMEXの名前を保持し、メキシコの主要な銀行パートナーの1つとして消費者、中小企業の経営者にサービスを提供し続けます
  • CITI TO RETAIN AND CONTINUE TO GROW MARKET-LEADING INSTITUTIONAL CLIENTS BUSINESS IN MEXICO
    メキシコにおける市場をリードする機関投資家向けビジネスを維持し、成長を継続

その後詳細な説明が続いているのだが、主なものをピックアップすると以下の様なものが挙げられる。

  • After careful consideration, we concluded the optimal path to maximizing the value of Banamex for our shareholders and advancing our goal to simplify our firm is to pivot from our dual path approach to focus solely on an IPO of the business
    慎重に検討した結果、株主にとってバナメックスの価値を最大化し、会社を簡素化するという目標を前進させるための最適な道は(売却とIPOの)二重戦略のアプローチからバナメックスのIPOのみに絞るという戦略転換が最も適した道だとの判断に達した
  • Citi has been pursuing the carve out of the ICG business since announcing its plan to separate Banamex.This work, including obtaining the requisite regulatory approvals, is ongoing.Citi expects that the separation of the businesses will be completed in the second half of 2024 and that the IPO will take place in 2025.
    シティはバナメックスの分離計画を発表して以来ICG事業の切り離しを進めており、必要な規制当局の承認の取得を含むこの作業は進行中である。シティは両事業の分離が2024年下半期に完了し、IPOは2025年に行われると予想している
  • This decision demonstrates our commitment to choose the best outcome for our shareholders and allows us to resume a modest level of share buybacks this quarter. Given the uncertainty regarding regulatory capital requirements, we will continue to assess buybacks on a quarter-by-quarter basis.
    この決定は、株主にとって最善の結果を選択するという当社のコミットメントを示しており、当社は今四半期に適度なレベルの自社株買いを再開することができる。規制上の自己資本要件に関する不確実性を考慮して、当社は引き続き四半期ごとに自社株買いを評価していく

まとめ

上述の発表では自社株買い戻し再開などポジティブな内容もあったと思うのだが、何故この発表内容でシティ株が市場に比べて大きく下落したかを考えてみると

  • バナメックス売却の交渉は1年以上行われてきたが結局合意に至らず(売却額想定は報道によると70~80億ドル)市場の期待に沿えなかった
  • 今後IPOに絞って作業が進められるがそのプロセスはIPOが2025年想定と時間がかかることも市場の失望を誘った

といった点が影響したのだろう。

2023年第1四半期決算のあった4月14日(金)からのシティ株の推移を見てみると

ファースト・リパブリック・バンクの決算発表を受けての銀行株下落や、その後のファースト・リパブリック・バンク破綻があって低調ではあったが、思った程酷くは無い動きとなっていた。しかし今回の発表を受けて2023年第1四半期決算以降の最安値となってしまっている。

今回の発表が1日で株価に反映されていれば良いのだが、今後のシティ株はどうなるのだろうか。米国債務上限問題や6月13、14日のFOMC、6月下旬の米銀ストレステストを上手く乗り切って何とか持ち直して欲しいものだ。

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