JPモルガンが10年以上振りにGEを買いに推奨(2024/3)

はじめに

掲題の通り2024年3月8日にJP Morganが自分の所有銘柄であるゼネラル・エレクトリック(GE)株の投資格付けをNeutralからOverweight(買い)に上方修正した。JPモルガンがGE株をOverweightとしたのは2013年以来とのこと。

以下、内容を確認/整理しておく。


2024年3月8日のGE投資格付けアップデート

JPモルガンのアナリストSeth Seifman氏及びMark Strouse氏

投資格付け:NeutralからOverweightに上方修正

目標株価:166ドルから180ドルに上方修正

以下はSeth Seifman氏及びMark Strouse氏の投資格付けアップデートの要旨。

  • 今後を展望すると以下の観点からGEが民間航空宇宙分野で最高の大型資本企業であることは明らかである
    • 事業
    • その事業がサイクルのどの位置にあるか
    • 貸借対照表
    • 経営陣
  • これらの一部は株価に織り込まれておりバリュエーションが障害となっている。しかし現時点で我々にとって唯一の障害であり、GE株には上値余地が残っている
  • またGEの風力・ガス発電部門であるGE Vernovaは、マージンとキャッシュフローが回復しており有望である
  • 今週のInvestor DayにおけるGEの経営予測では複数年にわたる成長とマージンの拡大が見込まれている

JPモルガンのGEに対する過去の格付け

冒頭に挙げた様にJPモルガンがGEの投資格付けをOverweightにしたのは2013年以来とのこと。

特に2016年5月に他のほとんどのアナリストが買い推奨をしている中で、JPモルガンのアナリストStephen Tusa氏が1人だけUnderweight(売り)とした。株式併合調整後の当時のGE株は224ドル前後、アナリストの平均目標株価は256ドル、Tusa氏の目標株価は208ドルだった。

その後GEの株価は下落が続き2018年末には45ドル未満となり、Tusa氏には先見の明があったとされ彼のGE株投資格付けアップデートによってGE株が大きく動いていた。

Tusa氏は一貫してGEに厳しい見方をしており、ややGE株が落ち着きを見せつつあった2021年3月に他のアナリストがInvestor Dayを受けて目標株価を上方修正した中でも否定的な見解を崩さなかった(目標株価を設定できる状況ではないとしていた)。この時点でもTusa氏の見解は尊重されており、GE株は7%超の下落となった。

その後もGE株はパッとしないパフォーマンスが2022年秋ぐらいまで続いていたのだが、その頃の2022年第3四半期決算(2022年10月25日)まではTusa氏がGE決算のカンファレンスコールに出席していたのだが、2022年の第4四半期決算(2023年1月24日)にはJPモルガンからアナリストの出席は無く、2023年の第1四半期決算(2023年4月25日)からはSeth Seifman氏が出席するといった具合にJPモルガン内でのGE担当アナリストが変わったようだ。

ちなみにアナリストが変更される前のTusa氏の最後のGE目標株価は調整後で40ドルで、市場では87ドル前後で取引されていた。そして引き継いだSeth Seifman氏及びMark Strouse氏は目標株価88ドルで格付けをスタートしている。

過去10年程のGE株の推移(調整後)を見てみると

2016年にTusa氏がただ一人GE株をSellにして以降JPモルガンのアナリストが変更されるまでTusa氏のGE株に対する見方は概ね的を射ていたとも言えるが、今にして思えば変更される直前はGEの変化に乗り遅れていた気もする(そのためJPモルガン内でアナリストの変更があったのかは不明だが)。ちなみにTusa氏は現在もJPモルガンで他の企業をカバーしている。


まとめ

JPモルガンが10年以上振りにGEをOverweightにした2024年3月8日のGE株は

前日比0.88%上昇にとどまっているが、これは同日の米国市場が

下落したことや、前日のInvestor Dayを受けての上昇が大きく利益確定の動きがあったためだろう。日中の取引では一時前日比5%超上昇した局面もあったのだが。

それにしてもJPモルガンがGE株を10年以上振りに買い推奨としたことはなかなか感慨深いものがある。2020年には取得価額比で60%マイナスを超える局面もあったのだが、現在は取得価額比70%のプラス。今一つ最近のGE株上昇に自信が持てない面もあったのだが、ここ10年GE株に消極的だったJPモルガンが遂に買い推奨としたことで、GE株に対する自信が強まった気がする。このまま堅調な株価推移が続くことを期待したい。

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