2023年3月発表の米消費者物価指数と市場(2023/3)

はじめに

2023年3月14日(火)に2023年2月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

先週末から

シリコンバレー銀行破綻と自分所有の米国銀行株雑感(2023/3)

続く米銀破綻の状況整理と自分所有の米国銀行株雑感(2023/3)

と米銀破綻が続き不安定な相場の中、前回鈍化傾向が鈍りその後の米国市場が下げ基調を加速させた米CPIの結果がどうなったか、そしてそれに応じて市場がどう反応したか非常に気になるところ。

以下発表された米消費者物価指数の内容を確認し、それを受けて市場がどう変動したかについて整理しておく。


2023年3月14日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2023年2月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2023年2月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.4%上昇、市場予想も0.4%の上昇

  • 2023年2月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では6.0%上昇、市場予想も6.0%の上昇で2021年9月以降最小の伸び率。変動の大きい食品及びエネルギーを除くと前年比5.5%上昇、市場予想も5.5%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比10.2%上昇。2023年1月は前年比11.3%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比12.9%上昇。2023年1月は前年比11.9%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占める)は前年比8.1%上昇。2023年1月は7.9%上昇

変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前月比0.5%の上昇で市場予想は0.4%の上昇。前年同月比では5.5%上昇で市場予想と同じ。

主な項目は概ね市場予想とほぼ同じとなり大きなサプライズは無かったと言える。


同日の市場の動き

米国市場

開場前にあったCPI発表を受けて市場は上昇して始まったのだが、昼過ぎから下げ基調となりダウ工業平均は15時過ぎに前日とほぼ同じ程度になったがその後上昇して終値ではいずれも1%を超える上昇となった。

日中の動きは安定的とは言えないが、全体で見ればCPIの伸びが減速した事に加え、バイデン米大統領や世界の政策当局者が危機を食い止めると表明したことを受けて米銀破綻の影響波及への懸念が緩和したという事なのだろう。

米国10年債

米国10年債は

前日に比べて大きく上昇。ここ数日の米銀破綻で利回りは大幅に低下(3月9日の3.93から13日は3.55)していたのだが、今回のCPIを受け米連邦準備理事会(FRB)が緩やかなペースながら利上げを継続するとの見方が強まったためだろう。

ドル円為替

ドル円為替は

CPI発表直後(上記チャートはGMTなので13:30の辺り)からドル高となったものの、その後はCPI発表前と同程度の134円~134円50銭ぐらいのレンジでの推移が続いている。米国市場や米国10年債ほどの顕著な影響は無かった模様。


まとめ

CPIの結果とそれを受けての市場の動きについて整理してみたが、冒頭に挙げた様にここ数日は米銀破綻の影響が大きいのでCPI後の市場の動きは割り引いて捉える必要があるだろう。

今回のCPIがどうFRBの政策金利に影響を与えるかは非常に判断がしづらい。CPI結果だけを見れば伸びは減速しているものの依然高い水準のインフレでありそれを考えると利上げが適切に見えるが、利上げの結果複数の銀行が破綻した現在の状況を考えると利上げの停止も考えられる。だが、利上げが停止されるとインフレ解消に時間がかかる(解消されない)事態も懸念される。

FRBが3月21日、22日のFOMC会合の政策金利にどう決定を下すか、そして市場がどう動くかはますます不透明になってきたが、大きな下落の可能性も頭に入れて精神的に備えておくことにしよう。何とか自分の資産にとって上手く行ってくれるといいのだがなあ。


追記

関連事項として補足しておくと、先ほどクレディ・スイス・グループの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク(SNB)は同行に追加投資をすることはないと、SNBのアンマル・フダリ会長がブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べている。

そのせいもあってかクレディ・スイス・グループはチューリヒ市場で大幅安の模様。そしてそれを受けて米銀株を中心に米国市場も時間前取引で大きく値を下げている。米国以外の要因も関わってるとなると、ますます米国市場は混沌としていくのだろう。先行き不透明が増すばかりだ。

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