【大幅減少も米相互関税直後からは回復】2025年4月末米国株資産

投資開始からの期間

2001年7月から数えて286ヶ月目(23年10ヶ月目)。


資産動向考察

2025年4月末の円ベース資産は以下の通り。

2025年4月末の円ベース資産は前月末に比べて約1600万円(約7.4%)の減少。これで円ベース資産は2月、3月、4月と3ヶ月連続で減少。そしてその減少幅も2.2%、3.1%、7.4%と大きくなり続けている。ちなみにひと月で円ベース資産がこれ程減少したのは2022年12月以来のことで、その際も同じ7.4%の減少(減少額は約1100万円程度)だった。

しかし4月前半時には前月比3000万円を超える減少となった事を考えれば、とりあえず(あくまでとりあえずだが)2億近くで4月を終えることが出来たのは望外の結果だったと言える。

2025年4月の市場推移

【ダウ工業平均】

2025年3月末終値:42,001.76

2025年4月末終値:40,669.36

2025年3月末/4月末終値差異:3.17%下落

【S&P 500】

2025年3月末終値:5,611.85

2025年4月末終値:5,569.06

2025年3月末/4月末終値差異:0.76%下落

【NASDAQ】

2025年3月末終値:17,299.29

2025年4月末終値:17,446.34

2025年3月末/4月末終値差異:0.85%上昇

2025年4月の米国主要3株式市場の傾向は上記チャートの通り概ね同様で、4月3日に米国の相互関税措置を受けて大きく下落。4月8日に上乗せ相互関税一時(90日)停止を受けて回復したものの、米中の関税合戦が続き不安定な動きが4月中旬まで続く。その後は米企業の決算が概ね好調なことや米中の関税緩和への期待などから上昇傾向となって4月を終えている。

傾向は同じだったがNASDAQ総合が0.85%上昇、S&P 500が0.76%下落、ダウ工業平均が3.17%下落となっており、構成要素から考えると4月後半の大型ハイテク銘柄の復調がこの結果を生み出したことになる。

4月にあった主な出来事

  • 4月2日に米国が相互関税を発表

これが以降の流れを決定づけた大きな事柄。詳細は

2025年4月2日発表の米国の相互関税内容と直後のドル円為替

で書いたが、「米国への全輸出国に基本税率10%」、「対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用」という点、特に対米貿易黒字の大きい国への上乗せ税率が想定されていたよりも大きかったことが市場心理を著しく悪化させ、発表直後の米国市場は

2025年4月2日発表の米国の相互関税発表後の市場と自分の資産

と大きく下落することになり、その後中国が

2025年4月の米相互関税に対する中国の報復等と市場/自分の資産

米国の中国への関税は計104%に、中国も報復(2025年4月)

と報復関税を課したこともあって、上述した米国市場チャートの様に下落傾向に歯止めがかからない状況だった。

しかしその後米国が

米相互関税の90日一時停止で米株市場は上昇、だが(2025/4)

でまとめた様に上乗せ関税分を90日間一時停止することを発表したため上昇。ただし10%の関税はそのまま継続している。

  • 米中の報復関税がエスカレート

米国の関税措置に対しては上述した中国の報復後も米中の応酬は続き

2025年4月発表の米CPIと米中の報復関税合戦(2025/4)

で触れた様に、基本米国が145%、中国が125%の関税をそれぞれに対して課している。4月中旬からはこの米中の関税動向、そして下に書いたFRBパウエル議長の解任懸念で株式市場が上下動する不安定な状態となっていた。4月下旬にかけて米株式市場が上昇した一因は米中間の関税緩和の兆しが見えたこととパウエル議長の解任を否定したことによるものだろう。

  • FRBパウエル議長の講演とトランプ政権の利下げ要求

4月16日にFRBパウエル議長はシカゴで講演を行い、その中で「関税は少なくとも一時的にインフレを上昇させる可能性が非常に高く、インフレ効果がより持続的になる可能性もある」「利下げに関しては引き続き、入手可能なデータ、変化する見通し、そしてリスクのバランスを分析していく」「FRBプット(市場介入)はしない」といった発言をしている

パウエル議長は4月上旬の講演でも利下げを急がないスタンスであったが、4月半ばの講演でもその姿勢を崩さず、そしてインフレ長期化/景気減速に言及し、市場介入も明確に否定したことでその日の市場はパウエル議長の講演後に下落幅を拡大することになった。

一方でトランプ政権はFRBに早期の利下げを望む姿勢を示しており、上記2つの講演時にトランプ大統領は自身のSNSでパウエル議長の動き(利下げ)が遅すぎるとしている。

その後政権がパウエル議長の解任を検討しているとの報道でFRBの独立性に疑義が称したことから21日の米国市場は下落。しかし22日にトランプ大統領がパウエル議長を解任するつもりはないとして市場は上昇している。以降もトランプ政権は(都合のいい)経済指標となった場合には早期利下げを要求しているが、今のところパウエル議長の解任懸念自体はやや和らいでいる。

  • 本格化する米企業の2025年1~3月期決算

2025年4月半ばから米企業の主に2025年1~3月期決算が始まった。

LSEGによると5月1日時点でS&P 500構成企業のうち325社が決算を発表、うち74%で利益、60%で売上高がアナリスト予想を上回っているとのことで、2025年1月末の前四半期期決算途中時点で書いていた「トランプ氏が大統領に就任した影響が四半期決算に表れてくるのは次の四半期決算からとなる。」という自分の見込みとは異なる結果となっている。

ただし決算結果自体は悪くないものの、自分の所有している決算を発表した銘柄のほとんどは関税の影響に言及し、通期見通しを引き下げたものもあるので今後への懸念は大きい。

  • まちまちな経済指標

4月はトランプ政権の関税政策、企業の四半期決算発表本格化など色々あったため、個別の経済指標とその影響を十分には追えていないのだが、結果はまちまちだった気がする。

そしてトランプ政権の主に関税政策とそれに対する市場の思惑が、経済指標の結果よりも市場の動きに表れていた様な気がする。例えば4月発表のCPI結果はインフレ圧力が弱まったが、市場は米中貿易紛争への懸念から大きく下落している。

5月になるとトランプ政権のもっとはっきりした影響/傾向が経済指標に出てくるのか、そしてそれが市場に及ぼす影響について引き続き注意しておきたい。

  • トランプ政権の一貫性のない動き

上述した様な相互関税発動⇒90日間一時停止、パウエル議長の解任の動き⇒解任しない、ハイテク機器に関する関税といった例に代表される様に4月はトランプ政権の動きに一貫性が感じられなかった。

そのために市場は今の状況がいつ変わるかという不安に苛まれている様に見受けられ、4月中盤までは懸念が、後半は期待が有力となったことが株式市場の動きに影響を与えた気がする。ただし、不安定な状況であることに変わりは無いので4月後半にかけての市場上昇がどこまで持続的なものかは不透明。

  • 大幅なドル安

先月3月のドル円為替は前月に比べて1ドルあたり0.65円、割合で言うと0.43%のドル安だったのだが、4月は前月比1ドルあたり6.93円、割合では4.62円の大幅ドル安。

これはトランプの関税政策により米国から資金が流出したためで、特に4月前半はドル安と共に、米国債の利回りが上昇(つまり米国債が売られた)、米国株式市場が大きく下落したことからも伺える。そしてこの傾向はドル対円ではなく他の通貨に対しても概ね同じである(ちなみに年初来の円ユーロ為替は4月末ではほとんど変わっていない)。

4月下旬にはドル安が落ち着いた感もあるが、現在の状況では株式市場同様まだまだ不安定で神経質な動きが続くのだろう。

ポートフォリオ

2025年3月末と4月末の自分の米国株ポートフォリオは以下の通り。

【2025年3月31日】

【2025年4月30日】

2025年4月に10%を超える上下動のあった銘柄は以下の8銘柄。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY):17.7%下落

デュポン・ドゥ・ヌムール(DD):11.6%下落

ダウ・インク(DOW):12.4%下落

GEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC):12.9%下落

GEベルノバ(GEV):21.5%上昇

WKケロッグ(KLG):10.0%下落

ワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD):19.2%下落

エクソン・モービル(XOM):11.2%下落

GEベルノバ株が上昇しているのは4月後半の大型ハイテク企業の決算が予想よりも好調でAI投資に対する懸念が和らいだ影響(GEベルノバの電力事業はAIに欠かせないデータセンターと関連)だろう。

自分の所有27銘柄中では上昇が10銘柄、下落が17銘柄と先月と同じで、4月前半に覚悟したよりはマシな結果。ポートフォリオ全体では前月比資産が5.9万ドル、割合では4.1%の減少となった。上述の10%を超える下落のブリストルが約2.4万ドル、エクソンが約1.6万ドル、所有株数の多いシティグループ(C)が約1.5万ドル(3.7%下落)の合計約5.5万ドルで下落分の大半を占めている。


為替

先月終値:2025年3月31日 1ドル=149.95円

今月終値:2025年4月30日 1ドル=143.02円

2025年4月末のドル円為替レートは前月に比べて1ドルあたり6.93円、割合で言うと4.2%のドル安。これで2025年に入ってから4ヶ月連続のドル安。雑感は上述部分を参照。


まとめ

累計投資:80,000,000円(今月追加投入なし)

米国株:194,754,949円

外貨MMF:52,418円

USドル:2,069,517円

日本円:2,868,916円

資産:199,745,800円

累計損益(累計投資と資産より):119,745,800円/149.7%

累計引落額:15,200,000円(今月引き落とし無し)

2025年4月は円ベースの資産が約1600万円(約7.4%)、米国株ドル資産が約5.9万ドル(約4.1%)と円、ドル双方ともに資産が減少。2025年3月に続いて2ヶ月連続の資産減少となり、円ベースでは遂に2億円割れとなってしまった。これは月末ベースでは2024年9月以来約半年ぶりの事。また累計損益は前月比でちょうどマイナス20%となり、これはCOVID-19初期の2020年3月のマイナス34.6%以来のこと。累計損益の金額でも2020年3月は前月比約2500万円減少していた。

2億円割れは残念だが、半年前程度の水準にとどまっていること、4月前半の大幅資産減少からは回復したことで残念感は限定的。ただしそう思うのはこれを書いているのが5月下旬で時間が経過したことと2億円台に戻ったことが大きいのだろう。4月直後、GW中では多分もっとネガティブな精神状態だったと思う。

5月も下旬となってしまい既に色々な出来事があったが上述してきた4月末時点での情報を元にすると、2025年5月は特に米中関税が懸念事項であったと思う。中国はこれ以上の関税引き上げには付き合わない旨発言していたため、これ以上の米中間関税上昇は想定しにくかったが4月末時点の米中関税の影響がどの様に経済指標/市場に表れてくるか予断を許さなかった。

実際には5月になって米中が90日間の関税大幅引き下げに合意したため懸念は幾分か解消されたのだが、期間限定であり今後どの様な合意に達するのか(あるいは達しないのか)はまだまだ懸念事項。そして中国以外の上乗せ関税賦課国との調整もどの様に落ち着くのかは不透明(5月に入って英国のみ米と同意)。残り少ないが4月同様、米トランプ政権の動きを中心に神経質な相場が続くのだろう。

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