はじめに
2025年4月2日発表の米国の相互関税を受けて、翌日4月3日の米国株式市場は
2025年4月2日発表の米国の相互関税発表後の市場と自分の資産
でまとめた様にダウ工業平均(3.98%)とS&P 500(4.84%)は2020年6月以来、NASDAQ総合(5.97%)は2020年3月以来の大幅下落となり、自分の米国株資産もドルベースで7.8万ドル、ドル円為替を含めた円ベース資産は1400万超の下落となった。
4月3日のまとめを書いた際には既に掲題に挙げた中国の報復関税が発表されており
「そして中国の報復関税が発表されたことを受けて、4月4日の米国株式市場は下落するだろうから2億円台を久々に割ることになるだろう。」
と書いていたのだが、実際にその通りになってしまった。
以下、非常に気は進まないが4月4日の米国市場と自分の資産について整理しておく。また、4月4日には米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長の講演などがあったので、それらにもまとめておく。
2025年4月4日の主な出来事
中国が報復関税を発表
日本時間の4日19時ぐらい(4日米国市場開場前)に中国が対抗措置として、4月10日からアメリカからの全ての輸入品に同じ34%の追加関税を課すことを発表している。
米雇用統計
米労働省が3月の非農業部門雇用者数は22万8000人増加、市場予想の13万5000人増を上回っている。失業率は4.2%で市場予想は4.1%、前月の4.1%から上昇している。
中国が米への関税対抗措置を取ると宣言したことで、雇用統計発表前には米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が早まるとの観測が高まっていたが、利下げ開始を6月の連邦公開市場委員会(FOMC)まで待つとの見方が高まった。
トランプ大統領のSNS投稿
以下はいずれも米現地時間。
【4月2日の関税措置署名後】
- THE OPERATION IS OVER! THE PATIENT LIVED, AND IS HEALING. THE PROGNOSIS IS THAT THE PATIENT WILL BE FAR STRONGER, BIGGER, BETTER, AND MORE RESILIENT THAN EVER BEFORE. MAKE AMERICA GREAT AGAIN!!!
手術は完了した。患者は生き延び、回復している。患者はこれまで以上に強く、大きく、良く、回復力がある状態になるという予後にある。アメリカを再び偉大な国にしよう!!!
【4月3日の米市場閉場後】
- TO THE MANY INVESTORS COMING INTO THE UNITED STATES AND INVESTING MASSIVE AMOUNTS OF MONEY, MY POLICIES WILL NEVER CHANGE. THIS IS A GREAT TIME TO GET RICH, RICHER THAN EVER BEFORE!!!
米国にやって来て巨額の資金を投資している多くの投資家の皆さん、私の方針は決して変わらない。今はかつてないほど裕福になる絶好の機会だ!!!
【4月4日の中国の報復関税発表後】
- CHINA PLAYED IT WRONG, THEY PANICKED – THE ONE THING THEY CANNOT AFFORD TO DO!
中国はパニックに陥り、間違った行動を取った – これは許されない唯一のことだ!
【4月4日のベトナムとの電話会談後】
- Just had a very productive call with To Lam, General Secretary of the Communist Party of Vietnam, who told me that Vietnam wants to cut their Tariffs down to ZERO if they are able to make an agreement with the U.S. I thanked him on behalf of our Country, and said I look forward to a meeting in the near future.
ベトナム共産党のTo Lam書記長と非常に有意義な電話会談をした。彼は、ベトナムは米国と合意できれば関税をゼロにしたいと私に話した。私は国を代表して彼に感謝し、近い将来に会えることを楽しみにしていると伝えた
【4月4日のパウエル議長講演前】
- This would be a PERFECT time for Fed Chairman Jerome Powell to cut Interest Rates. He is always “late,” but he could now change his image, and quickly. Energy prices are down, Interest Rates are down, Inflation is down, even Eggs are down 69%, and Jobs are UP, all within two months – A BIG WIN for America. CUT INTEREST RATES, JEROME, AND STOP PLAYING POLITICS!
連邦準備制度理事会議長ジェローム・パウエルが金利を引き下げるには、今が絶好のタイミングだ。彼はいつも「遅い」が今ならイメージを変えることができ、しかもすぐに変えることができる。エネルギー価格は下がり、金利は下がり、インフレは下がり、卵さえも69%下がり、雇用は増えている。これらはすべて2か月以内の出来事だ。アメリカにとっては大きな勝利だ。金利を引き下げろ、ジェローム、そして政治ごっこはやめろ!
【4月4日の米市場閉場後】
- Big business is not worried about the Tariffs, because they know they are here to stay, but they are focused on the BIG, BEAUTIFUL DEAL, which will SUPERCHARGE our Economy. Very important. Going on right now!!!
大企業は関税については心配していない、なぜなら関税が今後も続くとわかっているからだ。大企業は、私たちの経済を急成長させる、素晴らしい大きな取引に注力している。非常に重要なことだ。今まさに進行中!!!
FRBパウエル議長の講演
- トランプ関税は予想より高くインフレ高進と成長鈍化のリスクがあるが、金融政策の適切な道筋を語るには時期尚早であり、政策調整を検討する前により明確な情報が得られるまで待つ態勢が整っている
- 関税は今後数四半期でインフレ率を押し上げる可能性が高く、より持続的な影響が出る可能性もある
- FRBの義務は、一時的な物価上昇が継続的なインフレ問題にならないようにすることだが見通しは非常に不確実で、失業率の上昇やインフレ率の上昇のリスクが高まっている
- データは堅調な成長と労働市場の均衡、インフレは2%の目標にかなり近づいているがまだ上回っていることを示しているが、新たな連邦政策、特に貿易政策により不確実性が高まっていることも示されている
- 失業率は依然として低水準であり、雇用市場はインフレの原因ではない
- 質疑応答
- 景気後退について
- データは依然として経済が堅調であることを示しており、FRBは景気後退の確率を予測していないが外部の予測ではその確率は高まっている
- 関税を巡る不確実性について
- 関税はほぼ全員の想定よりも高いが、それがどこで止まるかはまだ分からない
- 1年後にはトランプ政権の政策の影響がより明確になり、不確実性は大幅に低下するはずだ
- 金融政策の対応がどうあるべきかを言うには時期尚早
- FRBのスタンスについて
- 人々はFRBが真実を語ることを期待しており、FRBはそれに応える
- 貿易や移民、財政などの政策はFRBの仕事ではない
- 長期的にFRBは冷静で合理的な分析と安定の源泉となるべき
- FRBは他の皆と同じ立場にあり政策とその影響についての明確化を待っている。急ぐ必要はない、時間はある
- 失業率上昇とインフレ上昇のリスクは困難な問題であり、その関係が明らかになった場合、それぞれの目標に戻るまでにかかる時間を検討することになるが難しい決断となる
- 景気後退について
上述した米雇用統計結果を受けての市場の見方と、パウエル議長の講演での利下げを急がないスタンスはほぼ同じ。
2025年4月4日の米市場の動き
米国主要3株式市場
前日に続いて主要市場は大きく下落し、いずれも5%を超える下落となっている。ダウ工業平均の下落幅は史上3番目の大きさ(前日は史上5番目)だったとのこと。
取引開始前の中国の報復関税発表で大きく下落してスタート。ベトナムとの電話会談後のトランプ大統領のSNS投稿で少し持ち直したが、パウエル議長が講演で利下げを急がない姿勢を示したことで下げ幅を徐々に拡大して取引を終えている。
米国10年債
中国の報復関税発表を受けて前日に続き利回りは大きく低下し3.9%を割って取引を開始したが、堅調な米雇用統計を受けて徐々に利回りは上昇。最終的に利回りは4%を割って取引を終えている。
ドル円為替
米国の相互関税発表からのドル安傾向は長く続いていたが、1ドル=146円台を挟んでの荒い動きに変化。その後中国の報復関税で1ドル=145円を割り込む局面もあったが、その後の米雇用統計やパウエル議長の講演でFRBは利下げを急がないとの見方からドル高となり、1ドル=147円をわずかに下回って取引を終えている。
まとめ
以上、4月4日の主な出来事と米国市場の動きについて整理してみた。
そして自分の資産がどうなったかというと
昨日4月3日はConsumer Defensiveセクターではプラスもあったのだが4月4日は全面安となり、
米国株資産は1日で約9.3万ドル減少と、前日の約7.8万ドルを上回る大幅減少。円ベース資産は
前日比1200万近い減少となり、冒頭に挙げた前日の想定通り2億円台を割ってしまっている。
「下げが一段落した時点で下落の程度を整理し、その時点の資産を踏まえて再度心構えを考えることにしよう。」
としたかったのだが、4月4日の下落振りは酷かったのでまとめずにはいられなかった。
書いていて気が滅入ってきたことだし、取り合えず今日はこの程度で。それにしても一体どこまで下がるのだろうか・・・。週末から月曜日の米国株式市場前に、これ以上の悪材料が出ないことを願いたい。