AT&T(T)2020年第4四半期決算発表(2021/1)

はじめに

昨日2021年1月27日は自分が所有しているAT&T(T)の2020年第4四半期決算発表があった。所有株数が多く、配当額も高いことから自分にとっては重要な銘柄である。そのため前四半期の決算からまとめた記事も以下の様に多くなっている。

AT&T(T)2020年第3四半期決算発表(2020/10)

エリオット・マネジメントがAT&T(T)株売却(2020/11)

AT&TのCFOによる最新情報アップデート(2020/11)

ワーナーメディアがハイブリッド配給モデルを発表(2020/12)

HBO Maxの加入者情報アップデート、他(2020/12/9)

AT&T(T)株の配当据え置きなど最新動向整理(2020/12)

ワンダーウーマン1984の初動とHBO Max(2020/12)

AT&T(T)の格付け情報アップデート(2021/1/5)

AT&TのDirecTV売却がまた報道される(2021/1)

これらを念頭に置きつつ、昨日発表された最新の決算発表について確認・整理しておくことにする。


AT&T2020年第4四半期決算概要

以下の内容はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第4四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は456億9100万ドルで、前年同期の468億2100万ドルから2.1%減少
  • 2020年第4四半期のAT&T帰属の純利益(損失)(Net Income(Loss) Attributable to AT&T)は138億8300万ドルの損失で、前年同期の23億9400万ドルの利益

2020年第4四半期のAT&T帰属の純利益(損失)(Net Income(Loss) Attributable to AT&T)が前四半期の利益から損失に転じたのは上記表の「Asset impairments and abandonments(資産減損/除却)」で163億6500万ドルを計上していることが大きい。その内の155億ドルはVideo Business(DirecTVなど)のもの。ワーナーメディアも7億8000万ドルの評価損を計上している。

  • 2020年第4四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.75ドルで、前年同期の0.89ドルから15.7%減少

こちらも減損費用が大きく響いている。EPSに影響を及ぼした2.02ドルのうち、1.91ドルがVideo Business(DirecTVなど)、0.09ドルがワーナーメディアに関するもの。

各事業部を見てみると、

【Communications(通信)】

Revenues(売上)は前年比0.5%増。ここ最近の傾向と同様にビデオ、ブロードバンド、固定電話の減少をモバイル事業がカバーしている。ただ、Operating Income(営業利益)は6.5%減。

月額料金を支払う携帯電話契約者数(Postpaid phone)が前四半期も645,000の純増だったのだが、今四半期も800,000の純増。

一方でDirecTVを含むPremium TV subscribersは617,000の減少。

【ワーナーメディア】

ワーナーメディアのRevenues(売上)は前年同期比9.5%減。引き続きCOVID-19の影響による映画館の閉鎖などが足を引っ張っている(Estimated ($1.6B) revenue)。

HBO Max(HBO含む)の米国内加入者数は、

350万増加して4150万(全世界では6100万)。HBO Maxのサービス開始前の5年目標は米国内で5000万、全世界で7500万~9000万としており、AT&Tによると当初の予想より2年早いとしている。

2020年第4四半期のCOVID-19による財務的な影響度は以下の通りで、全体として売上高に24億8000万ドルの影響があったとしている。前四半期の25億2500万ドルとほぼ変わらず。

今回の決算では2021年の通期見通しも発表している。

ここしばらくCOVID-19の影響もあって通期見通しは発表されていなかったし、Revenue Growth、Adjusted EPSも2020年とほぼ変わらずとしているので、何とも判断のしようがない。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第4四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は456億9100万ドルで、市場予想の445億6600万ドルを上回っている
  • 2020年第4四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.75ドルで、市場予想の0.73ドルを上回っている
  • 2020年第4四半期の月額料金を支払う携帯電話契約者数は80万人の純増、アナリスト予想は47万5300人増

となっていた。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてAT&Tの株価は、

2.05%の下落。ただこの日はダウ工業平均が2.05%、S&P 500が2.57%、NASDAQが2.61%それぞれ下落しているので、AT&Tの決算が株価にどう影響を及ぼしたのかを判断するのが非常に難しい。

一日のAT&T株の動きを見てみると開場前に決算発表およびアナリストとのカンファレンスコールを行っており、市場開場時は市場と同様に下落したものの一時前日株価を上回るときもあった。ただ、昼前に大きく下がった後は概ね市場と似たような動きとなっていた。

AT&Tの株価をいったん忘れて決算内容を考えてみると、特に目立って悪くは無かった、というところだろうか(特に良くもないのだが)。COVID-19の影響がまだまだ大きいが、徐々で良いので業績改善を続けて欲しいものだ。

最後に自分にとっては特に気になる配当であるが、アナリストとのカンファレンスコールで最高経営責任者(CEO)のJohn Stankey氏は

  • We plan to use free cash flow after dividends for the next couple of years to pay down debt. We remain focused on monetizing noncore assets and using those funds for debt reduction as well.
    今後数年間は配当後のフリーキャッシュフローを利用して債務を返済する予定です。 非中核資産の収益化と、それらの資金を債務削減にも使用することに引き続き注力していきます
  • We’re committed to sustaining our dividend at current levels, and we’ll give top priority to debt reduction at this time.
    現在の水準での配当の維持に努めており、現時点では債務削減を最優先します

と述べており、これから判断すると現在の配当は維持されそうだが、増配はしばらく期待できない気がする。AT&T株はここ数年0.01ドルの四半期配当増をしていたので、現在AT&T株を7990株保有している自分としては、年間で7990×0.01×4=319.6ドル(税引前)が無くなることになる。これは完全リタイア生活を始めた自分にとっては微妙に痛いのだが、債務削減を最優先するというのは長い目で見ると納得できる方針なので、致し方無いだろう。

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