AT&T(T)株の配当据え置きなど最新動向整理(2020/12)

はじめに

一昨日2020年12月16日米国市場の閉場後に自分の主力株であるAT&T(T)傘下ワーナー・メディアのHBO MaxがRokuで視聴可能になるという発表があった。

その情報を確認しようと思いAT&Tの情報を収集したところ、掲題の発表の他いくつか今後のAT&Tの株価に影響を与えそうな情報があったので、以下にその内容を時系列順に整理してまとめておく。


AT&T to Sell Crunchyroll to Sony’s Funimation Global Group

日本のニュースでも報道されたが、2020年12月9日(現地時間)にAT&Tが傘下のCrunchyrollをソニー傘下の米ファニメーションに11億7500万ドルで売却と発表。

Crunchyrollは300万人以上のSVOD(Subscription Video on Demand)サブスクリプション(継続課金)会員を持ち、映像、モバイルゲーム、コミックなどを配信している。200以上の国、地域に9000万人の登録ユーザーがいる。

この発表があった翌日のAT&Tの株価は前日比2.45%のマイナス。

中核事業以外の資産売却はAT&Tの戦略でもあるのだが、この売却は市場に評価されなかった様子。


配当据え置きの発表

例年ならこのタイミングで増配の発表があるのだが、12月11日の発表で四半期の一株当たり配当を@0.52ドルで据え置いている。理由としては、

  • The company expects to have the financial flexibility in 2021 to continue to invest in growth areas, sustain the dividend at current levels and focus on debt reduction.
    当社は2021年に成長分野への投資を継続するための財務上の柔軟性がある事を期待し、現在のレベルで配当を維持し、債務削減に焦点を当てます

としている。配当増がないのは完全リタイアをした自分にとっては厳しいのだが、下手に配当増をして債務が懸念されて株価が下がるという可能性を考えると据え置きも止む無しだろうか。配当減にならないだけマシと考えるべきだろう。


HBO MaxがRokuでも視聴可能に

2020年12月16日の米国市場閉場後ににHBOMaxをRokuプラットフォームに導入することが発表。翌日12月17日から視聴可能になった。

先月11月17日からAmazon FireTVでもHBO Maxが視聴可能になった事に続き、これでアメリカの主要なTVストリーミングプラットフォームの全てでHBO Maxが視聴可能になった事になる。発表によるとRokuの視聴者数は1億人以上(more than 100 million people)との事。


モルガン・スタンレーがAT&Tを格下げ

2020年12月17日にモルガン・スタンレーがAT&Tの投資格付けを下方修正。

目標株価:36ドルから34ドルに下方修正

投資格付け:OverweightからEqual-weightに下方修正

以下はモルガン・スタンレーのアナリストSimon Flannery氏のAT&Tに対する分析要旨。

  • 1) We are increasingly concerned that the C-Band spectrum auction will be more expensive than expected, creating incremental strategic and financial risk for AT&T,
    Cバンド帯のオークションが予想よりも高額になり、AT&Tの戦略的および財務的リスクが増大することへの懸念が高まっている
  • 2) We see a robust 5G smartphone upgrade cycle in 2021 which creates risks for AT&T based on our proprietary AlphaWise analysis and
    2021年には我々独自のAlphaWise分析に基づき、AT&Tのリスクを生み出す堅牢な5Gスマートフォンへのアップグレードサイクルが見られる
  • 3) Lack of near-term catalysts after a dividend freeze and provision of early guidance on 2021 free cash flow,
    配当据え置き後の短期的な触媒、および2021年のフリーキャッシュフローに関する早期ガイダンスの提供が欠如している

1、2は5G計画に関連するリスクの懸念。HBO Maxなどが注目されがちではあるが、Telecommunicationは依然としてAT&Tの最も重要な事業であり、グループEBITDAの半分強を生み出していると指摘している。


まとめ

これらのアップデートの前には

HBO Maxの加入者情報アップデート、他(2020/12/9)

で予想外にHBO Maxの加入者が増えていたこともあり、株価が上昇していたのだがこれらのニュースを受けてAT&Tの株価がどうなっているのかというと、

HBO Max加入者の最新アップデート前の水準に戻ってしまっている。その際には、

「実際には上述のHBO Max以外も期待を持たせるカンファレンスでのアップデートを受けてAT&T株にしてはここしばらくでは珍しい株価上昇となった」

「このまま順調に推移してくれればいいのだが」

と書いていたのだが、その期待は叶わなかったようだ・・・。HBO Maxも好調ではあったが、ディズニー・プラスはそれ以上だったのも株価に影響をしているかもしれない。

また、配当が据え置きになったのは痛いが仕方あるまい。モルガンのアナリストも触れているが、据え置きになった配当を何に充てるのかの方針が早く明らかにって欲しいものだ。遅くとも2021年1月27日に予定されている2020年第4四半期決算発表時には明らかになるだろうが、それ以前の情報開示にも注意しておきたい。

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