バイアンドホールドと無価値証券(失敗事例など)

無価値証券

とてもイヤなタイトルではあるが、バイアンドホールドで長期投資をしているとこのようなことも起こり得るということで。

実際には多くの人がこのような状況になる前に売却していると思うので、ある意味ここまでの状況になるのは珍しいケースではないだろうか。


EXDS(エクソダス・コミュニケーションズ)株に対する考察

EXDSを購入した事情等については2001年の8月にある程度書いてはいるが再度考察してみよう。元々短期売買を目的に購入した銘柄であったのだが、何故EXDSを購入しようとしたのだろうか。

当時はEXDSはWWWホスティングの最大手企業とも呼ばれており、またホスティングサービス市場自体も拡大する、という予測が一般的であったことから多少値動きが激しくても、最終的にはプラスになるだろうと考えたのだろう。日本でもサービスを提供しており馴染みのある企業であった。まさか潰れるようなことはないだろうと思っていたはずである。

しかし実際には2002年8月に購入してからわずか1か月後の2001年9月26日に、米国破産法の会社再建手続きであるチャプター11の申請をすることになるのだが。

やはり自分の情報収集/分析が甘かった、というのが銘柄選定時の最大の要因。

そして結局売却をせず、バイアンドホールドを続けて上場廃止になってしまったわけだが、手を打たなかった理由は何だったのか。元々短期売買であれば売却してもよかったのではなかったか。

①あまりに状況の動きが早くて手を打てなかった

EXDS単体の状況に加えて、2001年9月には米国同時多発テロが発生し、市場の不安定さが増加。さらにその頃は正確な株式/市場状況をタイムリーに把握できていなかったと思われる。これはまだWebからの情報ソースが今に比べて限定されていたことと、当時の自分の英語力によるところが大きい。

②そもそもどう手を打つか考えていなかった

甘い考えではあるが、短期売買では10%上がったら売却しようとは考えていたが、何%下がったら売却しようというルールが欠落していた。したがって①の様な状況になった際に、何もできずにそのまま放っておいてしまった。期せずしてバイアンドホールドをする羽目に陥ってしまった。

この2つが主な理由だと思うが、実はこれを書いている現在(2018年7月)でも②のルールがないのが実情である。EXDSに懲りて短期目的の銘柄を購入していないこともあるが、実際には自分が短期銘柄あるいは長期保有銘柄と考えても、値動きがその通りになるかどうかは分からないわけで。


バイアンドホールド(Buy and Hold)を忠実に行っていると大きく下がる場合があり、このように無価値証券(Worthless Security)となる可能性があったり、その他にも資産に大きな影響を与えるケースがあると思うので、自分の経験から自分のポートフォリオで取得価額比がマイナス80%を超えたケースに絞って簡単にまとめてみようと思う。


大きく下がった(取得価額比マイナス80%超)のバイ・アンド・ホールドのパターン

パターン1:価格がそのまま下がり続けて無価値証券化

上に挙げたEXDS(エクソダス・コミュニケーションズ)がこのパターン。詳細については上記を参照のこと。


パターン2:無価値証券とまでは行かないが、大きく下がってしまい動かしようがない、いわゆる塩漬け化

2018年7月の楽天証券Web画像より。

JCP(JCペニー)をご覧の通りマイナス84%という状況で保有している。これもバイアンドホールドの典型的事例の一つと考えられる。

上記はYahoo!Financeから2003年3月~のJCPのチャート。恐ろしいことに一時75ドルを超えていたのが現在2ドル台半ば。

2003年3月に10株購入してからずっと手付かずだったのだが、2013年に740株追加購入している。2003年購入時と2013年購入時の株価はあまり差異がなかったので、値頃感があると思って購入したのだろう。唯一の救いはある程度下がった時点で値頃感がなくなったとみなしてそのまま塩漬けにした点だろうか。ここは初期の自分とは違って情報収集がうまくできたおかげではあると思う。そもそも値頃感がないという情報もつかんでおくべきだったのだが…。

金額的には紙くずになったEXDSよりも含み損が現在約100万円なので、自分の資産に対するインパクトはこちらの方が実は大きかったりする。

さらに付け加えると2012年5月を最後に無配当にもなっているので、自分のポートフォリオに何の寄与もしていない状態が続いている。

追記(2020年5月):

JCペニー株は結局この流れから脱却することが出来ずに2020年5月に破産法適用となった。エクソダスとは異なり、確定申告に活かすために無価値証券になる前に売却している。詳しくはこちらを参照


パターン3:無価値証券直前になったがその後大きく値を上げた

結果論として(今のところ)バイアンドホールドでうまくいったケースも挙げておく。C(シティグループ)の昔の購買履歴の一部を。

時期を見れば分かるように、世界金融危機、日本でいうリーマンショックの頃。こちらはJCPとは異なり、塩漬けにしないで株価下落中も買い続けていた。基本的にはCはつぶれない(だろう)、かつ持ち直すだろうと何らかの理由で考えたのだろう。2008年末から2012年末まで購入を続け、それ以降はCの買い足しはしていない。結局現在はその際に買い続けたのが効果を発揮しており、今では自分のポートフォリオの中で最も大きい資産額となっている。

これもあくまで結果論だからこう言えるのであって、何が正しいのかはわからない。

Cはこの後2011年5月に株式併合(10株を1株に併合)をしているので、チャートはあまり参考にならないかもしれないが一応JCPと同じように上げておく。

Cは一旦配当停止の時期が続き(上の画像で「D(Dividend)」のマークがない期間。2009年4月~2011年5月)、配当を再開してからも1株あたり0.01ドルという時期が続いていた(2011年6月~2015年3月)のだが、それ以降は持ち直してきている。


まとめ

結局のところ、バイアンドホールドを株式投資の方針とした場合、どうすればいいのかを自分なりにまとめておく。あくまで自分なりに、だが。

想定されうる投資スタンス

とにかく愚直にバイアンドホールドの方針を守る

無価値証券となっても仕方ない、とあきらめる。ただしこれは投資金額/及びポートフォリオに占める銘柄の割合を考慮する必要がある。自分のポートフォリオの半分を占めるような銘柄が暴落して値頃感もなくなった場合に本当にあきらめきれるのだろうか。

方針はあくまで方針なので、バイアンドホールドであっても何%下がったら売却する

これは最初にしきい値を設定して機械的に売却する方法。ある程度の回数をこなせば慣れるような気はする。ただし、これはそもそもバイアンドホールドではない、ということになるし、場合によっては後で(その後での期間が分からないのが困るのだが)上昇する可能性も全くないことではない。

その場その場に応じて臨機応変に対応する

本当はこれができれば(かつ結果としてうまくいけば)一番いいのだろうが、自分の能力にそれほど信頼を置いてはいないのでこのスタンスは素直に諦める。所有株に臨機応変に対応するためにはまず、①かなり情報収集に費やす時間が大きくなり、②その情報の分析にも時間を費やすことになる。さらに③その結果が正しいものになるとは限らない、と思うので、今の自分の生活/投資スタイルからしてもこの方針は取りにくい。


実際のところ自分はバイアンドホールドを続けているのだが。

多分銘柄を分散させて、各銘柄に対する投資額もあまり集中させない方法が、特定銘柄が無価値化した際の影響度をある程度は下げられるのではないだろうか。ただし、その場合は後で上昇に転じた場合の利益は当然少なくなるわけで。全ての銘柄がダメになるような場合は市場全体がダメな場合なので、素直にあきらめるしかないのでは、と思ったりもする。

また本来なら債権など別の資産に分散投資をして株式資産だけではない資産のポートフォリオを組むのが正しいのだろうが、時期を逸してしまった感がある。スタート時点で米国株式以外の資産も考慮すべきだったのだろう。今から別資産を揃えてポートフォリオを組もうと思っても、なまじ米国株の資産額が大きいので納得のいく資産ポートフォリオを組むには数年かかってしまうであろうし。

つらつらと書いてきたが、結局どうするのがいいのか?ということに対する明確な解はないとなってしまう。明確な解があるのであれば、誰かが既に理路整然と説明しているだろうし。

スタンスを変えないというのは良く言えば、投資スタンスが一貫していると言えるが、融通が利かない、あるいは考え方が硬直しているとも言える。

スタイルを変えるのは良く言えば、臨機応変な投資スタンスと言えるが、場当たり的な投資スタンスとも言える。

また忘れてはいけないのは、自分の投資スタンスに関するルールなどについてはアンテナを張って情報を収集しておくこと(例えば税制(国内、海外双方)など)。これらはバイアンドホールドに限らず投資スタンスの前提であるので、その点が変わってしまうと、今までのスタンスが最適かどうかは変わる可能性があるので注意が必要。前提が変わってしまったらそれに合わせてスタンスも調整する必要があるかもしれない。前提が変わったのにもかかわらず、その点を考えないのは単なる思考放棄になってしまう。

個人的には上記のようなことを考え、自分で納得した上で投資に臨むのが良いのだろう、と思う。それが今の時点(2018年)ではバイアンドホールドのスタイルを保持する、ということになっている。とはいえそれに固執するつもりもない。実際細かい点では投資スタイルも変わってきているので(例えば配当金の重要視)、今後バイアンドホールドが変わる可能性も全くないとは言えない。こうしてブログを書いたり、適宜色々考えながら自分の投資スタイルを見直すのがいいだろう。特に経年による生活スタイルの変化は、今後の投資スタイルに影響を及ぼすような気がする。

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