はじめに
本日2021年9月9日(木)に米国のニュースを見ていたら掲題の米債務上限問題に関するイエレン米財務長官の発言が報道されていた。
以下に現時点での今回の米債務上限問題の状況を確認しておくことにする。
2021年9月上旬における米債務上限問題の状況まとめ
まずは気が付いた発端となったイエレン米財務長官に関する報道から。以下は議員リーダーにイエレン米財務長官が送付したレターより。
- “A delay that calls into question the federal government’s ability to meet all its obligations would likely cause irreparable damage to the U.S. economy and global financial markets”
「連邦政府がすべての義務を果たす能力に疑問を投げかける遅延は、米国経済と世界の金融市場に取り返しのつかない損害をもたらす可能性が高い」 - “At a time when American families, communities, and businesses are still suffering from the effects of the ongoing global pandemic, it would be particularly irresponsible to put the full faith and credit of the United States at risk”
「米国の家族、地域社会、企業が依然として進行中の世界的大流行の影響に苦しんでいるとき、米国の完全な信頼と信用を危険にさらすことは特に無責任だろう」 - “most likely outcome is that cash and extraordinary measures will be exhausted during the month of October”
「最も可能性の高い結果は、現金と特別措置が10月中に使い果たされることだ」
この発言の背景には、
- 米国が法律で借りることができる最大額である債務制限はトランプ大統領の下で2019年に2年間停止されたがその停止が2021年7月末に終了した
- 現在米財務省は一部の公的年金基金への新たな資金拠出を制限するなどの特別措置を講じ手元資金をやり繰りしている
- 制限を引き上げないと一部の連邦政府の業務が停止する可能性があり、国債の新規発行ができなくなるため債務不履行(デフォルト)に陥る
という事がある。
米下院では今週気候変動への取り組み、教育の強化、高齢者と子供のための社会福祉の拡大、企業への増税などを含む3.5兆ドル規模の財政支出を審議予定だが、その中に債務限度引き上げは含まれないと米下院議長のナンシー・ペロシ氏が発言しており、議会で債務限度引き上げがどのように取り扱われるのかは不透明。
まとめ
また一つ米株式市場に不確定要素が出てきたのかと思ったが、7月23日の時点でイエレン財務長官は議会上下院に債務上限の引き上げなどの早急な対応を要請していたらしい。
自分が気が付いていなかっただけで市場はこの問題を織り込み済みなのかもしれないが、時間が進む中で進展が見られないことから債務上限問題がクローズアップされてきた可能性もある。
この先どういう風にこの債務上限問題が取り扱われ決着するのかは全く定かではない。最終的には現在の米議会で民主党が上院半数、下院過半数を占めていることから民主党の意向が通り債務不履行(デフォルト)に至ることは無いと思っているのだが、それに至る過程・政治的駆け引きによって米市場(そして自分の米国株資産)に対してここ1~2ヶ月は影響を及ぼしそうな気がする。
気が付くとS&P 500は昨日で3日続落しているし、8月の資産まとめでは
「基本的にはインフレ懸念、長短金利差、COVID-19の再拡大といった要素が市場に織り込まれた感があるため、8月と同様にあまり大きな変動が無い月になりそうな気がするのだが。」
と書いたが今回の債務上限問題も考えると9月は結構厳しい月になるのかもしれない。