ゴールドマン・サックスの原油価格見通し(2021/3)

はじめに

2021年3月15日週のニューヨーク原油先物は以下の様に下落傾向にあり、特に3月18日(木)はフランスで3回目のロックダウンとなった事から大きく下落となった。

原油価格は

エクソンの委任状争奪戦/プロキシーファイト(2021/3/17)

で少し触れたが、自分の所有しているエクソン・モービル(XOM)株の上下動に大きな影響をもたらしている(と思っている)ので、直近の原油価格の下落要因についてロックダウン以外の理由を調べていたところ、掲題の様にゴールドマン・サックスが18日付のリサーチノートで原油価格(ブレント原油)の見通しについて述べていたのでまとめておく。


3月15日週の原油先物価格下落について

以下に3月15日週の原油先物価格の下落要因として考えられるものを列挙しておく。

【コロナ第三波の懸念】

先に述べた3月18日にフランスで3回目のロックダウンがされたように、欧州ではコロナ第三波の懸念が高まっている。というよりももう第三波になっているのかもしれない。実際Third Waveという言葉がここ最近欧米の報道で使われ出している(アメリカでは感染者数の減少傾向は続いているがそれでも1日の新規感染者数は5~6万人)。

またワクチン接種プログラムの流通や潜在的な副作用への懸念もあり、燃料需要回復への期待が弱まった事が下落の一因と考えられる。

【ドル高の影響】

原油取引はドル建てで行われるため、ドルが上昇するとドル以外の通貨を保有する買い手にとって原油は割高となるため、高値を嫌って取引量が減少し、それに伴い原油価格が下がる、という流れも影響しているだろう。

【アメリカでの生産】

アメリカの石油サービス会社ベーカー・ヒューズ社の3月5日のデータによると、米国内の石油・天然ガス掘削リグの稼働数は403基で2020年5月以来の高水準で、石油・天然ガス掘削リグの稼働数は、2020年8月に記録した過去最低の244基から7ヶ月連続で増加している。

アメリカはOPECプラスに加盟していないため、現在OPECプラスが実施している協調減産の枠外にあり、原油が2019年以来の高値となっていることもあり生産を増やしているものと思われ、原油の供給過多が懸念されるのも下落要因の一つではないだろうか。


ゴールドマン・サックスの原油価格見通し

そんな中でゴールドマン・サックスの原油価格見通しは以下の様になっている。

  • COVID-19ワクチン接種率の高い地域の需要に支えられ、今後数ヶ月で世界の石油需要は大幅に増加すると予想される
  • ブレント原油価格は3月の1バレルあたり65ドルから、今年の夏には1バレルあたり80ドルに上昇する
  • 欧州連合の需要とイランの供給に関連する逆風が、第2四半期の石油市場のリバランスを1日あたり75万バレル(bpd)遅らせる(slow the oil market rebalancing by 750,000 barrels per day)が、OPECプラスはそれを相殺するように行動すると予想
  • イランの輸出は年初から日量70万バレル増加したとみられるが、原油市場は2月以降日量250万バレルという大幅な供給不足になっていると推定
  • 米国でのワクチン接種ペースが速く財政支出が多い場合、需要予測に上振れリスク(可能性)が生じる

まとめ

個人的には欧州でのコロナ第三波懸念やOPECプラスの協調減産が4月以降どうなるかが不明な点もあり、原油価格は現在の60ドル台ぐらいが続いてくれれば、もしくは下手をすると下落する可能性もあると思っていたので、ゴールドマン・サックスの原油価格見通しは意外の感がある。

個人的には楽観的過ぎるのではないか、と思うのだが自分は原油価格にさほど精通している訳でもなく断片的な情報から何となく考えているだけなので、ここは専門家の見通しが正しいことを期待し、自分が所有しているエクソン・モービル株もその流れに乗って欲しいところ。

懸念が残るエクソンの経営方針先行きがなるべく早く落ち着いてくれればいいのだが。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。