米国株バイアンドホールド/長期投資の配当例(普通のケース:PG)

はじめに

少し前にバイアンドホールド/長期投資で上手くいっているケースとしてBMY(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)についてまとめてみたが、過去のデータを整理して書き進め2007年10月までブログとして公開している中で、PG(プロクター・アンド・ギャンブル)も2007年6月に購入したのが最後で、その後株式分割や買収も行われずに変わらない状態が続いている事に気が付いたので、BMYとの対照例としてまとめてみることにする。

とりあえず記事タイトルは「普通のケース」と仮置きしてみたが、BMYほど購入額が多くないので正直あまり気にかけていない銘柄のため、これを書き進めていく中でどのような結論になるかはまだ不明。さてどうなるか。


PG株の購入まとめ

PG株の購入まとめとは言っても、既に2005年10月の記事で書いた様に、PGは投資を始める前に想定したポートフォリオに入れていたG(ジレット)を買収したことから保有することになった銘柄である。

ここではGがPGに買収された際の金額、株も現在のPGの購入に入れておく。

それを踏まえてPG(G)の購入履歴は以下の通り。

2003年3月(G):購入金額300ドル。取得株数10株。平均取得価額@30.00ドル

2005年10月:PGがGを買収するにあたりG 1株あたり、PG 0.975株が付与。G10株がPG9株になる(端数は切り捨て)

2007年6月(PG):購入金額7,422.3ドル。取得株数120株。平均取得価額@61.8525ドル

まとめると、

購入回数:2回(G1回、PG1回)

所有株数:129株

全平均購入取得価額:@59.4023ドル

総投資金額(ドルベース):7,662.9ドル

総投資金額(円ベース):912,349円

購入時期:2003年3月、2007年6月

所有期間:2003年3月~

備考:所有期間においてスピンオフやM&Aなどは発生せず

ということになる。楽天証券Webサイト上のデータは以下の様になっている。

ここで平均取得価額が@57.5372ドルと、上で書いた@59.4023ドルと異なっているのは、Gが買収された際の9株を、楽天証券では無料で取得した扱いになってしまっているため。PGの購入金額は少ないので、あまり影響はないかもしれないが、他の金額の多い銘柄でこういった買収やスピンオフがあった場合には、自分できちんと把握しておかないといけないだろう。


PG/G株の考察

株式そのもの

購入理由

そもそもGを購入した理由は、米国株式投資をする前に色々考えてある程度業種ごとに分散したポートフォリオをくみ上げていく際の日用品・消費財銘柄の一つとして。それこそ何故最初にPGやJNJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)にしなかったかというと、まずJNJは当時の株価がGやPGに比べて高かったため。GとPGはほぼ同じ株価水準であり、財務情報もそれほど差が無かった(と当時の自分は判断していた)はずだが、最後の決め手にしたのは、自分が使っていた髭剃りがBraun(ジレットの子会社)だったこと。BMYの時もそうだったが、今振り返ってみても、あまり人には自慢できない決め方をしていたなあ…。


購入単価及び株価

購入理由はさておき、PGも最後に購入してから10年以上が経っており、バイアンドホールド/長期投資の一例としては参考になるだろう。

とはいえPG(G)はわずか2回しか購入しておらず、そのタイミングも2003年3月、2007年6月と期間が開いてしまっている上、2回目の購入時の金額が大半を占めるので、2007年6月時の@約60ドルがベースになるだろう。

上の画像はPGの2007年から2018年までの株価の動き。2009年を除くと大体60~90ドルの間に収まっている感じ。これを書いている2018年10月下旬では、取得価額からすると大体1.5倍になっている。ただ自分の他の所有銘柄に比べると、株価の動きは安定しているので、場合によっては今後買い増しをしても良いかもしれない、と上のグラフを見て思った。


配当

PG配当額の変遷

PG配当額の変遷とはいえ、PGがGを買収するまでの2003年3月から2005年10月まではGの配当となる。

しかしGの配当や株価は色々なサイトを探したのだがデータとして存在していない状況。楽天証券の受取配当データも、当時は円ベースでそのデータしかないので、正確なドルベースの配当が不明な状態となっている。ただ、Gの配当はその間10回受け取っているのだが、税引後の合計で1,407円なので、正確なドルベースの配当が分からなくても誤差の範囲ということにしよう。

気を取り直してPGの配当の変遷を。

2007年6月18日~2008年1月16日:1株当たり配当@0.35ドル

2008年4月16日~2009年1月21日:1株当たり配当@0.40ドル

2009年4月22日~2010年1月20日:1株当たり配当@0.44ドル

2010年4月28日~2011年1月19日:1株当たり配当@0.4818ドル

2011年4月27日~2012年1月18日:1株当たり配当@0.525ドル

2012年4月25日~2013年1月16日:1株当たり配当@0.562ドル

2013年4月24日~2014年1月22日:1株当たり配当@0.6015ドル

2014年4月23日~2015年1月21日:1株当たり配当@0.6436ドル

2015年4月23日~2016年1月20日:1株当たり配当@0.6629ドル

2016年4月14日~2017年1月18日:1株当たり配当@0.6695ドル

2017年4月19日~2018年1月18日:1株当たり配当@0.6896ドル

2018年4月19日~:1株当たり配当@0.7172ドル

期間中のPGの配当をグラフ化してみると以下の様になる。

2015年始めまでは大体同じ割合で増加していたが、2015年、2016年とやや増加率が鈍っている。とはいえ、所有期間中にいわゆる世界金融危機があったにもかかわらず配当減や配当停止がなく配当を続けていたのはありがたいところ。PGはその点バイアンドホールド/長期投資に適していた銘柄だったのだろう。

PG株が129株になった当初の配当と最新の配当を比較してみる。

2007年8月PG配当

税引後配当は4,222円。2007年8月の月末為替レートは1ドル=115.77円。

2018年8月PG配当

税引後配当は7,275円。為替レートは1ドル=109.61円。

為替レートがそれなりに違うのだが、PG129株の配当を受け取り始めた11年前から、受け取る配当は約1.7倍になっている。投資金額、株数が少ないので金額で見ると3,000円ほどの増加に過ぎないが、これが年4回ずつ積み重なっていくことを考えると、まずまず悪くないのではないだろうか。

今までのPG合計配当額(税引後)

今までPG(G含む)から受け取った配当の額がいくらだったかをまとめてみる。

G:1,407円

PG:249,694円

となり総合計で251,101円という結果だった。10年以上所有していて25万円というのは微妙な気もするのだが、上に書いた総投資金額が912,349円であることを考慮すると、投資金額の4分の1は配当で受け取っていることになる。

これが912,349円を預貯金にしていた場合には、利子は微々たるものであろうことは容易に想像がつく。

ただし、株式の場合は価値がなくなる可能性や、無配当になる場合もあるので、単純にPG株を購入していた方が良かったとは言えない点に注意。あくまでも10年以上経過した現時点での結果論としてはこの様になっている、ということで。


まとめ

冒頭に書いた通り、少し前に書いた長期間保有しているBMYの受取配当が思いのほか多かったので、その比較対象として、ブログで公開した情報以降に購入をしていなかったPGの状況について再確認してみたわけだが、思ったところをまとめてみる。

  • 投資金額が約90万円と、今現在の投資金額合計(約7,200万円)の中では少ない
  • 10年超の税引後配当合計が約25万円と思ったよりも多かった。約90万円の投資から考えると購入金額の四分の1強を配当で受け取っていたことになる
  • 毎年増配を実施していて、保有株数が変わらなくなってからの配当が最初に比べて約1.7倍に増加
  • 世界金融危機の時期でも減配や配当停止がなく、着実に配当を受け取れていた
  • 金額ベースで考えると、投資金額が少ないのでそれほど目立たないが、割合で考えると実はPGも上手くいっているケースかもしれない

書く前に思っていた「普通のケース」というよりは、これも成功しているケースといった方が良いのかもしれない。ただ、自分が所有している銘柄の中では特別良くも悪くもないので、「(自分の中での)普通のケース」とするのは適切だろう。ただし、あくまでこれを書いている現時点では、という注釈はつくのだが。

BMYとPGで良いケース、普通のケースとして考察をしてみたが、次はやはり悪いケースをまとめてみるべきだろうなあ。今まで公開している中ではEXDSが悪いケースになるのだが、これはバイアンドホールド/長期投資という趣旨からは外れるので、もう少しブログを書き進めて失敗した株の顛末を一通り公開してから、まとめて公開することにしよう。

【注】

BMYの考察時にも書いたが、繰り返すとバイアンドホールド/長期投資であればすべてうまくいくというわけではないことは忘れずに。

また、あくまでこの記事は2018年10月26日に書いたものなので、それ以降の最新状況に必ずしも合致しない可能性があることにも注意。

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