はじめに
昨日の米国市場は2021年5月10日(月)ぐらいから2週間ほど続いており終わる兆しが見えないインフレ懸念による神経質な動きを反映し、
ダウ工業平均が0.36%上昇したものの、S&P 500は0.08%、NASDAQは0.48%下落という結果になった。
そんな状況の中、自分のポートフォリオを確認してみるとボーイング(BA)が
3.15%の上昇をしていた。ボーイングはダウの構成銘柄でもあるので、ダウがプラスとなったのはこのボーイングの上昇も寄与しているはず。
ボーイング株については2021年4月末に2021年第1四半期決算の確認をして以来、情報の確認を積極的には行っていなかったので、昨日の株価上昇の原因確認とともにここ半月程度でアップデートが無かったかについても確認しておくことにする。
2021年4月末からのボーイング関連アップデート
737MAXの電気系統トラブル解決
まず4月末にボーイングの決算発表をまとめた際には、
でまとめた737MAXの一部機体においてバックアップの電源制御装置に関連した問題から当該機の運航停止や納入の停止が続いていたのだが、今回確認してみたところ、
- 2021年5月12日に米連邦航空局(FAA)が改修を承認
していた。これを受けて改修(3~4日間)が行われ運航再開となるらしい。その後の報道では納入は5月19日に再開された模様。
737MAXの4月引き渡し数は4機
5月11日に発表されたデータでは、4月の737MAXの引き渡しは4機で、前月の19機から減少。これは上記の電気系統の問題による納入停止の影響だろう。
4月の商用機引き渡し総数は17機。内訳は737MAXが4機、787ドリームライナーが9機、767が2機、777輸送機が2機となっており、年初からの引き渡し総数は94機。
4月の新規受注は25機。ただし注文済みの737MAXのキャンセルが17機あり、受注数は差し引き8機となっている。
737MAXの月間生産機数を2022年秋に最大42機に引き上げ
昨日2021年5月21日(金)のボーイング株が冒頭の様に3%超上昇したのは、737MAX機の月間生産数を引き上げるとのロイター報道によるものだったようだ。
以下はロイター通信報道より引用・抜粋。
- Planemaker Boeing Co has drawn up preliminary plans for a fresh sprint in 737 MAX output to as many as 42 jets a month in fall 2022, industry sources said
業界筋によると、航空機製造メーカーのボーイングは737MAXの月間生産機数を2022年秋に最大42機に引き上げる新しい予備計画を策定しました - The plans would lift output beyond an early 2022 target of 31 a month, which the sources said Boeing aims to reach in March.
この計画はボーイングの2022年初頭の目標である月間生産機数31を超え、業界筋によるとボーイングは3月に31機の目標達成を目指している - But implementation will depend on a cocktail of factors including demand, the uncertain capacity of some suppliers and Boeing’s success in reducing a surplus of jets already built.
ただし、予備計画は需要や一部の部品会社の不確実な生産能力、ボーイングによる製造済み旅客機の余剰分の削減などに依存するでしょう - Boeing declined to comment and pointed to its latest guidance. Last month it reaffirmed plans to raise MAX output from an unspecified “low” rate to 31 a month by early 2022.
ボーイングはコメントを控え最新のガイダンスを繰り返した。ボーイングは先月2022年初頭までにMAX生産数を不特定の「低」レートから月間生産機数31に引き上げる計画を再確認している
まとめ
ボーイングの株価の上昇具合から元々の2022年初頭の737MAX月間生産機数31という見込がそのまま42機に上方修正されたのかと思ったのだが、よく見てみるとあくまで2022年秋に最大42機という予備計画で時期が少し違っている。
とはいえ市場に比べてボーイングの株価が大きく上昇していることから、それでも市場には評価されたということなのだろう。
ここひと月ほどのボーイングの株価を見てみると、
4月28日の決算発表を受けて下落した後は、やや市場(S&P 500)より低いパフォーマンスで推移していたのが、20日、21日の上昇で市場とほぼ同じまで戻している。
また先に挙げた737MAXの電気系統トラブル解決や、737MAXの4月引き渡し数などは市場の動きの影響が強かったためか既に織り込み済みだったためか、あまりボーイング株の上下には影響を与えなかった模様。
取り合えず737MAXの製造数引き上げ計画よりも、737MAXの修正承認による運航・引き渡し再開の方が個人的には安心材料。後はCOVIDのワクチン接種展開が進むにつれて、航空機需要が増え、それにつれてボーイングの業績・株価が上昇してくれるといいのだが・・・。