新型コロナ影響後の航空需要について(2020/5)

はじめに

いつものように所有米国株のニュースをチェックしていたところ、ボーイング(BA)の最高刑責任者(CEO)であるDavid Calhoun氏が、米国時間の5月12日に放送されるNBCのインタビューで今後の航空需要について語っているとの報道があった。

放送前のため報道記事が一部を引用しただけに過ぎないが、その内容と他の航空需要についても併せて整理しておくことにする。


2020年5月12日放送予定のDavid Calhoun氏発言概要

  • (インタビュアーの米国の大手航空会社で破綻する企業も出てくるかとの質問に対して)
    “Yes, most likely,”
    「はい。その可能性は非常に高い」
  • “Something will happen when September comes around”
    「9月が近づくにつれ何かが起こるだろう」
  • “Traffic levels will not be back to 100%. They won’t even be back to 25%,”
    「旅客利用レベルは100%に戻ることはなく、25%にさえ戻らないだろう」
  • “Maybe by the end of the year we approach 50%. So there will definitely be adjustments that have to be made on the part of the airlines.”
    「恐らく年末までには50%に近づく。従って航空業界側で調整を余儀なくされるのは間違いないだろう」

ここで9月としているのは、米国の航空会社は、コロナウイルス救済に業界に250億ドルを提供した先月のCARES法に基づき、10月1日まですべてのスタッフを保持することが法的に義務付けられていることを踏まえて、その期限が迫る9月が近づくにつれ何らかの動きがあるとしているのだろう。


IATA(International Air Transport Association:国際航空運送協会)のデータ

以下はIATAの最近発表された情報。

  • 2020年3月の全世界の航空旅客数が2006年以来最低レベルに落ち込み、売上高は昨年の同時期から52.9%減少
  • 2020年3月の全世界の貨物輸送量は前年比で15%減少し、2020年全体で前年比14%から31%の減少になるとしている
  • コロナウイルスの症例数が減り、世界中の国々が旅行制限を解除したとしても需要は数ヶ月間抑制され続ける可能性が高く、業界全体で収益に3140億ドル、業界関連の約2500万人の仕事にインパクトを及ぼす可能性があるとしている

まとめ

David Calhoun氏の発言の全貌が分かるのは、本日の米国時間の放送後(多分米国時間の夜)なので、ボーイングの株価にどのような影響を及ぼすかは分からないが、航空業界全体がしばらく低迷するであろうことは先日の四半期決算発表でも言及していたので、個人的にはあまり目新しい情報ではない。

そもそもこの発言自体が正しい見通しであるかどうかも不確定要素が多過ぎるだろう。

ただし、航空会社の破綻とその時期について言及したのは興味深い点ではある。先日の決算発表時にボーイングは商用機の生産数の調整についても発表していたが、もし航空会社が破綻することになればボーイング株自体も今年の秋口に更なる下落・調整が起こる可能性もある。

いずれにせよ737MAXの運航再開問題も解決していないし、ボーイング株には不安要素がまだまだ山積みであることを再確認した。年次総会のまとめや四半期決算でも言及したが、ボーイング株をこのまま持っているか、それとも思い切って売却してしまうか。悩ましい。

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