GEエアロスペース2024年第1四半期決算(2024/4)

はじめに

2024年4月23日(火)には自分の所有銘柄であるGEエアロスペース(GE)の2024年第1四半期決算発表があった。

前回2024年1月の2023年第4四半期決算時点でのゼネラル・エレクトリックは2024年4月に予定通りにGEエアロスペース(GE)とGEベルノバ(GEV)に分割しているのだが、今回の2024年第1四半期決算は2024年1~3月期のものなので、分割前のゼネラル・エレクトリックのものもあるが、詳細や見通しなどは分割後のGEエアロスペース単体のものとなる。

分割して以降は好調に株価推移していた印象があるが、決算の内容そしてそれを受けての株価はどうなったか。以下に内容を確認し整理しておく。


2024年第1四半期決算概要

以下の内容は、GEエアロスペースの企業サイトより引用・抜粋。上述した様に分割前のゼネラル・エレクトリックのものであり、GEエアロスペース、GEベルノバを含む。

  • 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は160億5300万ドル、前年同期は144億8600万ドルで前年同期比11%の増加
  • 2024年第1四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.82ドル、前年同期は0.27ドルで前年同期比約3倍
  • 2024年第1四半期のフリーキャッシュフロー(純現金収支・Free Cash Flow)は8億5000万ドル、前年同期は1億200万ドルで前年同期比約8倍

GEエアロスペース単体分

こちらはGEエアロスペース単体のもの。ゼネラル・エレクトリック分離前のInvestor Daysで発表された様に、GEエアロスペースはCommercial Engines & Services(商用エンジン及びサービス)とDefense & Propulsion Technologies(防衛及び推進技術)の2事業部体制となる。

  • 受注(Orders):110億ドルで前年同期比34%増加
  • 売上(Adjusted Revenue):81億ドルで前年同期比15%増加
  • 収益(Operating Profit/(Loss)):15億ドルで前年同期比24%増加
  • マージン(Operating Profit/(Loss) Margin):19.1%で前年同期は17.7%
  • フリーキャッシュフロー(FCF):17億ドルで前年同期は8億ドル

事業部別業績

【Commercial Engines & Services(CES:商用エンジン及びサービス)】

  • 受注(Orders):83億ドルで前年同期比34%増加
  • 売上(Revenue):61億ドルで前年同期比16%増加
  • 収益(Operating Profit/(Loss)):14億ドルで前年同期比17%増加
  • マージン(Operating Profit/(Loss) Margin):23.3%で前年同期は23.2%

【Defense & Propulsion Technologies(DPT:防衛及び推進技術)】

  • 受注(Orders):30億ドルで前年同期比34%増加
  • 売上(Revenue):23億ドルで前年同期比18%増加
  • 収益(Operating Profit/(Loss)):3億ドルで前年同期比26%増加
  • マージン(Operating Profit/(Loss) Margin):11.0%で前年同期は10.2%

2024年見通し

2024年の通期見通しは以下の通り。2024年1月の決算時にGEエアロスペース単体の見通しは提示済みで、3月のInvestor Daysでは1月と変わらず。

  • 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):二桁台前半(LDD)(前回と変わらず)
  • 営業利益(Operating profits):62億~66億ドル(前回の60億~65億ドルから上方修正)
  • 調整後EPS(Adjusted EPS):3.80~4.05ドル(前回は提示無し)
  • Free cash flow:50億ドル超(前回と変わらず)

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • GEエアロスペースとGEベルノバの連結ベース
    • 2024年第1四半期に110万株を1億ドルで買戻し
    • 2024年第1四半期にGEエアロスペースとGEベルノバ双方で受注が大幅増加
  • GEエアロスペース単体
    • 通期営業利益見通しの引き上げに向けた今後の軌道に大きな自信を持ち、2028年までに100億ドルの営業利益を達成するという目標への道筋が見えている
    • 現在、サプライチェーンにおける納期課題の約80%を占める15のサプライヤーを絞り込んでおり、昨年比25%増の550名を超えるエンジニアを配置して品質と納品パフォーマンスの向上に取り組んでいる
    • 最近、施設とサプライチェーンの双方で6億5000万ドル以上を投資することを発表しており、これはお客様の長期的なニーズをより適切にサポートするために品質を強化し、生産を拡大するという当社の取り組みを反映している
    • 今月初めにゼネラル・エレクトリックの配当(@0.08ドル)から250%増の0.28ドルで四半期配当を開始した
    • Investor Daysで発表した通り150億ドルの自社株買いを発表
    • (新型LEAPエンジンに関連してボーイングとの調整*)明日4月24日のボーイング決算で詳しく説明されるだろう。ボーイング社との調整は十分にできている

*GEとSafranの合弁会社であるCFM Internationalは、ボーイングの737MAXシリーズのジェットエンジン唯一のサプライヤー


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第1四半期のGAAPベース総売上高(Total Revenues)は160億5300万ドル、市場予想の151億4000万ドルを上回っている
  • 2024年第1四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.82ドル、市場予想の0.66ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算を受けてGEエアロスペースの株価は

前日比8.28%の上昇。同日の米国市場も

GEエアロスペースを含めた決算発表企業が軒並み好調だったことに引っ張られて上昇となっている。市場予想を上回る決算内容に加えて、2024年通期見通しを引き上げたのが好感されたのだろう。また自分が思っていたよりもDPT(防衛及び推進技術)事業が好調でもあった。

年初来のGEエアロスペース株の推移(4月2日の分割調整反映済み)を市場と比べてみると

1月は決算での2024年第1四半期見通しが市場予想より悪かったため伸び悩んだが、その後は右肩上がりで市場を上回る上昇ペース。4月の分割後はさらに一段高となったものの市場が低調だったこともありやや横ばい。しかし今回の決算を受けて年初来で約60%の株価上昇となっている(S&P 500は6.3%)。

今後のGEエアロスペースだが、懸念があるとすればカンファレンスコールでも上がったボーイング(BA)へのエンジン供給。トラブルを抱えているボーイング737MAX型機の生産制限によってはGEエアロスペースの業績へ影響を及ぼす可能性もある。上述した様に4月24日にはそのボーイングの決算発表があるので、そちらにも注目したい。

最後に4月に同じくゼネラル・エレクトリックから分離したもう一方のGEベルノバ株は

8.15%の上昇。GEベルノバの決算発表は4月25日とまだなのだが、カンファレンスコールで好調を伺わせる点に言及されたり、分割前のゼネラル・エレクトリック決算からこのGEエアロスペース分を除いた推測から上昇したのだろう。実際の決算発表にも要注目。期待外れで大きく下落しないと良いのだが。

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